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驚きの進化──新型ルノー・カングー試乗記

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驚きの進化──新型ルノー・カングー試乗記

フルモデルチェンジしたルノーの新型「カングー」を、小川フミオがテストドライブした!

あきらかに異なるクオリティ

ランボルギーニの“電動化”は、ファンの“夢”を壊すのか?

新しいルノーのカングー“究極のステーションワゴン”ともいうべきクルマだ。従来と比べ室内空間が大きくなった新型が、2023年3月2日に日本でも発売された。

新型カングーは、あたらしいプラットフォームを得て、ホイールベースが15mm長くなり、全長は210mm延長。荷室容量は115リッター増えて775リッターと驚異的である。

これまでカングーの魅力は、フランス流の実用性と使い勝手のよさが融合したデザインとされてきた。

全高が1810mmもあるうえ、荷室は出来るだけ隅っこまで使えるよう設計されている。5人が乗れて、かつ荷物もたっぷり搭載可能。セダンベースのステーションワゴン顔負けである。

新型カングーは、後席スライドドアや狭いスペースでも開閉可能の観音開きの大きなテールゲートを踏襲。しかしながら、というべきか、従来と比べ“乗用車的な魅力”をそなえて上陸した。

LEDをおさめた矩形ヘッドランプをそなえるフロントマスク、流れるようなキャラクターラインが前から後ろまで続くボディスタイル……。従来型と並べてみると、あきらかにクオリティが違う。

操縦感覚も、やはり数段ステップアップしたように感じられる。エンジンは今回、2種類用意されている。

ルノー日産三菱とメルセデス共同開発による1333cc直列4気筒ガソリンターボか、2021年に「カングー・リミテッドディーゼルターボ」として限定発売された1460cc直列4気筒ディーゼルターボが選べるのだ。

ドライブトレインの進化は、クオリティの高い2つのエンジンにくわえ、今回から湿式となってスムーズなシフトマナーをそなえた7段ツインクラッチ変速機によるところも大きいようだ。

最初に感じるのは、トルクの太さ。ガソリンで240Nm、ディーゼルで270Nm。アクセルペダルを軽く踏み込むだけで、1.5~1.6tのボディをパッと加速させる。

加速は鈍ることなく、日本の高速の法定速度までなら、なんの痛痒感もなく、ぐんぐん速度を上げていく。

ステアリングはギア比が従来型よりクイックになったため、クルマの応答性は高まっている。車高は低くないものの、重心高の設定のおかげだろう。速度にかかわらずじつに安定しているのにも感心。

フランス本社も仰天!?ただ、そもそも商業車との並行開発のため、多少のネガもある。ひとりとかふたり乗車だと、バネがやや硬すぎと感じられるのだ。でもこれ、すぐ慣れる。不快さはないからだ。

シートが固定式で、かつ2列に限られる。「欧州では40万km以上走るひともいることを前提に徹底的に耐久性を突き詰めていったときの結論です」と、ルノージャポンの担当者は説明してくれた。

プジョー「リフター」やシトロエン「ベルランゴ」といった競合車は2列シートがスライドしたりリクライニングしたり、またロングホイールベースモデルでは3列シートもある。

前出のルノージャポンの担当者によると、シートアレンジの多様性は(おもしろいものの)ユーザーへの最終的なアピールにならない、とする。

新型カングーのリアシートは「橫幅が広いうえに、ルノーの担当部署が人間工学的に正しい角度で座れるよう設計しているので、満足度は高いはずです」と、語ってくれた。

たしかに、後席シートは広々感があって、身体をあずけると、意外なほど快適だ。

ステーションワゴンはもとより、ふつうのSUVでも、シートアレンジの幅はごく狭い。それでもユーザーは不満を持っていないというのが、ルノージャポンの主張なのだろう。なるほど。

アダプティブクルーズコントロール、レーンセンタリングアシスト、アクティブエマージェンシーブレーキをはじめ、運転支援や安全支援装備はかなり充実している。

日本のルノーでは初導入のエマージェンシーレーンキープアシスト(操舵への介入により車線を維持)、ブラインドスポットインターベンション(後方からの車両との接触を避けるため操舵介入)も。

フランスのルノー本社が驚いたという車両が設定されている。「クレアティフ」なるグレードで、ブラック(未塗装)バンパーをそなえている。

従来のカングー(2020年の「クルール」など)で限定で発売したところ、大きな人気を博したというので、これまでのカングー・オーナーを惹きつけるために、カタログモデルとして設定したんだそう。

従来型のカングーは300万円にも届かない価格設定が魅力的だった。今回はガソリンモデルが384万円から、ディーゼルが419万円からと、部品や輸送費などのせいでだいぶ値上がりしてしまった。

ほんのすこしオモチャっぽいかわいさがスタイリング上に魅力だったが、そこからも卒業。全体におとなっぽくなり(装備も充実したけれど)、価格も上昇。

それでも、ファンだったひとにカングーを支えてほしいという願いが、ブラックバンパー仕様の設定などのかたちであらわれたとみてもいだろうか。

1度乗ってから、新型カングーを認めるかどうか、判断しても遅くない。少なくともルノーの日本法人は自信たっぷりのようだ。それ、よくわかる。

文・小川フミオ 写真・田村翔 編集・稲垣邦康(GQ)

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