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【インプレ】ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」を徹底解説|街乗りからオフロードにまで対応する魅惑のライディングモード

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【インプレ】ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」を徹底解説|街乗りからオフロードにまで対応する魅惑のライディングモード

オールラウンドなアドベンチャーツアラー的モデルとして、2003年からドゥカティが手がけているからムルティストラーダ・シリーズ。現行モデルの中で937cc水冷Lツインエンジンを搭載したシリーズのミドルバージョンが「ムルティストラーダ950 S」だ。
文:山口銀次郎、小松信夫/写真:柴田直行

ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」インプレ・解説(山口銀次郎)
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あらゆる路面状況をものともせず、ロングトリップまで可能にしてしまう居住性を構築し、包容力に満ちたチカラを提供する、そんな幅広い対応力を備えるムルティストラーダ・シリーズ。

スポーツ性能やラフロードの走破性、ロングトリップでの快適性に付き合いやすいフレンドリーさ等々、カテゴライズし特化されるべき特性を1台のバイクに凝縮し、オリジナルの個性として昇華させ、デビュー以降人気を博しているモデルとなっている。

ムルティストラーダ・シリーズは、1158ccのV4エンジンを搭載した「ムルティストラーダV4」、さらに伝統の1260ccLツインエンジンを搭載した「ムルティストラーダ1260エンデューロ」、そして今回試乗した「ムルティストラーダ950 S」の3タイプを用意。

シリーズ最小排気量モデルとなるムルティストラーダ950 Sは、リッターモデルに迫る排気量を誇るが、他の2モデルを前にするとどことなくミドルクラスの様な立ち位置に感じてしまうが、熟成に熟成を重ねたパフォーマンスは特級品といって過言ではないだろう。

2021年モデルは、見た目に大きな変化はないものの、新デザインの19インチスポークホイールを採用し、MotoGPマシンからヒントを得たカラーリングを採用するほか、ムルティストラーダの真骨頂ともいえる足まわりの装備を強化させている。

今回の試乗では、ライディングモードと足まわりの調整機能の相乗効果について注目してみたいと思う。

エンジンの出力特性を変化させる4タイプのライディング・モード設定(ツーリング、スポーツ、アーバン、エンデューロ)と、乗車人数や荷物の搭載有無など負荷条件(ライダーのみ、+パニアケース、ライダーとタンデムライダー、+パニアケース)に対応するショックアブソーバーの調整機能(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション:DSS EVO)を備えており、それぞれボタンひとつで簡単に調整変更が可能となっている。

本来ならば初期設定のキャラクターや方向性、さらにはパフォーマンスを探りどういったモデルであるか知り伝えていきたいのだが、それではどこか本筋を違えている様に感じられてならない…。

設定や調整のひとつひとつが「微妙な変化」ではなく、確固たる、しかもダイナミックなほどの変化を見せるため、走りの個性があまりにも変化してしまうのだ。

ライディングモード切替は、エンジン出力の特性を変化させるだけではなく、それぞれにあった足まわりの設定まで盛り込まれており、例えるならスポーツモデルがオフロードモデルに、ツアラーが街乗り仕様にと、細かな調整を抜きに大きな変化をもたらす。

それこそ、走行状況に合わない設定で走行すると気持ち悪さすら感じるほどの設定の振り幅をみせるのだ。

ワインディングでは、荒れた路面や濡れた路面、高低差があるコークスクリュー的コーナー等多岐に渡るシチュエーションをおよそ100kmほど走行。

それぞれのライディングモード設定に加え、前後ショックアブソーバーの調整が手軽に素早く変更出来るので、走行状況に不釣り合いな設定を乗りこなすのとは真逆に、イメージした走行ラインを苦せずスッと抵抗なくなぞることが出来た。

それは無駄なく、それでいて攻めたラインに残る余韻が生まれるような、絶妙な走りを提供してくれた。もちろん、微調整でトライ&エラーを繰り返し導き出した答えであったからこそ、極上の瞬間に身を委ねることが出来たのだろう。

特筆するポイントとして、それぞれの設定が新しくなった高解像度のTFTカラー液晶ディスプレイとバックライト付きハンドルバースイッチとの組み合わせは使い勝手を追求したガジェットの様に、悩むことなく好きなように操作できたことは正直嬉しかった。

デバイスが豊富であったとしても、使いこなせなかったり、難しすぎて一度設定したらそのままというのではもったいなさすぎる。早朝から走行をして昼前には、あらゆる設定をトライすることが出来た。ただワンディングを楽しむというベクトルとは異なる楽しみ方に夢中になっていた。

新ムルティストラーダ950 Sは、型にハマったキャラクター付けがまったく出来ず、ある意味その増強したといえる多面性こそが最大の個性ではないだろうかと実感した。

ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」各部装備・ディテール解説
フェイスデザイン

バンク角に合わせ照明を最適化するコーナリング・ライト(DCL )を採用したデュアルヘッドライトや、クチバシのようなノーズが目立つムルティストラーダ950 Sのフロントマスク。大型スクリーンやハンドガードといったアドベンチャーモデルらしい装備も備えていて、ムルティストラーダ独特の個性に優れた機能性が融合させられている。





ウインドスクリーン

大きなサイズで効果的にライダーを走行風からプロテクトするウインドスクリーン。つまみを握ってスライドさせるという簡単な操作で60mmの範囲内で高さを調整することができるようになっている。



エンジン

ドゥカティの多くのモデルに採用されている、デスモドロミック機構を採用した937cc水冷Lツイン、テスタストレッタ11°エンジンを搭載。ユーロ4規制に適合し、最高出力は113 PS、最大トルクは9.8kg-m/ 7750rpm という強力なスペック。53mm径のスロットルボディを備え、最先端のフルライドバイワイヤシステムも採用されている。



マフラー・リア 足まわり

ムルティストラーダ950 Sの標準モデルはキャストホイールを採用するが、前後ホイールにオフロード走行にも対応できるワイヤースポークホイールを採用したモデルもラインナップ。右出しのマフラーのサイレンサーが、後方に大きく跳ね上げられているのもオフロード走行に向けてのデザイン。



フロント 足まわり

インナーチューブ径Φ48mmの倒立フロントフォーク。ブレーキキャリパーはブレンボ製のラジアルマウントタイプというスーパースポーツのようなハイスペックなもの。ムルティストラーダ950 SではこのフロントサスペンションもDSS EVOシステムでコントロール。



フレーム・スイングアーム・リアサスペンション

フレームはドゥカティ伝統のスチールパイプを組み合わせたトレリス構造を採用したもので、スイングアームはアルミ製。ムルティストラーダ950 Sで採用されたセミアクティブサスペンションシステムのドゥカティ・スカイフック・サスペンション(DSS)EVOシステムは、あらゆる路面や状況に対応。簡単な操作でセッティング変更もできる。



燃料タンク

燃料タンクは容量20Lという余裕のビッグサイズで、ロングツーリングに求められる長大な航続距離を実現。スペック上で公表されている燃費で計算すると約360km。タンク自体の形状はライダーがホールドしやすいような、人間工学に基づいたデザインとされている。



ハンドル

大柄なボディをコントロール、さらに快適性の高いライディングポジションとするための、フラットでワイドなハンドルバーはテーオアーバーを採用。多機能液晶メーターに加えて、ハンズフリーキーの採用もあって、ハンドルスイッチのデザインなども最新のものとなった。



メーター

昼間でも視認性の高い、高解像度のTFTカラー液晶メーターパネルは、優れたデザインというだけでなく、新しいヒューマン・マシン・インターフェイスを採用。メニューの検索や設定の変更などの多彩な機能を、直感的に操作できるようにされた。



ハンドガード・ウインカー

走行風から手をカバーして快適性を高める効果的な形状のハンドガードも標準装備されている。LEDウインカーも内蔵。



シート

ムルティストラーダの長年のノウハウを生かした、長距離ツーリングやタンデムでも快適なようにデザインされたシート。日本仕様のシート高は820mmだが、オプションで840mmのローシート、860mmのハイシートが用意されていて、ライダーの体格などに合わせて選択することも可能だ。



テールまわり

テールカウルの最後方、トップケースのマウントになるタンデムグリップの下に埋め込まれているテールランプも、光源に被視認性に優れ、信頼性も高いLEDを採用している。



ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」カラーバリエーション
ボディカラーは「GPホワイト」と「ドゥカティレッド」の2タイプ用意されている。

【アンケート】あなたはどちらのカラーが好きですか?
お好きなカラーをポチっとお選びください。投票後、集計結果をご覧いただけます。

元サイトで投票・回答



キャストホイール仕様もラインアップ

ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」主なスペックと価格
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]

[ アルバム : 【写真17枚】ドゥカティ「ムルティストラーダ950 S」 はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:山口銀次郎、小松信夫/写真:柴田直行

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