水素燃料電池の時代 BEVの次に到来
ホンダは「バッテリーEV時代」の到来後、水素を使うFCEV(燃料電池車)に重要な役割があると考えている。
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ホンダは、トヨタやヒョンデと並ぶ水素自動車の推進者であり、2008年にFCXクラリティを発売し、2017年には後継のクラリティ・フューエルセルを発売(2021年に生産終了)した。
最近では、米ゼネラルモーターズとの共同開発によるCR-VのFCEVバージョンを披露した。そして今、FCEVがグローバルラインナップの主力になる可能性を示唆している。
電動事業開発本部長の井上勝史氏は、水素自動車の将来像について本誌の取材でこう語った。「わたしの考えは、まず(バッテリー)EVの時代が来て、その次の段階がFCEVではないかというものです」
「燃料電池の時代が来るまでもう少し時間がかかるかもしれません」とし、2040年頃が現実的との考えを示した。
ホンダは2040年までに新車販売の100%をバッテリーEVまたはFCEVにする計画だが、その割合については明らかにしていない。新EVラインナップ「0シリーズ」のどの車種にも、水素仕様車を発売する計画はない。
しかし、かつてクラリティの販売が伸び悩んだからといって、FCEVに可能性がないわけではないと井上氏は言う。「当時はインフラが十分でなく、実験的なモデルでコストが高すぎたところがあります。商用車でFCEVパワートレインが拡大していくのは確実ですが、時間がかかるでしょう」
CR-VのFCEVバージョンに搭載されるシステムを指して、「当社の次世代燃料電池は十分に競争力があります」と語った。
井上氏によると、インフラが普及し、サプライチェーンや市場ニーズがあればFCEVの幅広い展開も可能になるという。そのため、ホンダはまず商用車と産業分野に注力している。
「燃料電池のビジネスはまず商用車から始まり、それから乗用車へと広がっていきます。商用車については中国や他のいくつかの国ですでに始まっていますが、乗用車はもう少し後になります」
ホンダはいすゞと提携し、ギガ・フューエルセルという燃料電池トラックを開発、2027年の市場投入に向け、最近プロトタイプの公道テストを開始した。
また、三菱および化学メーカーのトクヤマと共同で、自動車から回収した燃料電池で動く発電所の開発プロジェクトにも取り組んでいる。その目的は、「定置用燃料電池システムを設置・運用する顧客の経済的負担を軽減し、電力の脱炭素化に貢献すること」だとされている。
ホンダの三部敏宏CEOも「燃料電池技術は乗用車だけでなく、もっと重い車両にも応用できると考えています」と述べている。
多くがディーゼルエンジンを使用している「大型車や非モビリティ」においては燃料電池で置き換えることができるという。
トヨタも燃料電池の主軸を商用車や産業分野に移しているが、クラウン・セダンのFCEVを投入するなど乗用車にも引き続き力を入れる。
一方、ヒョンデは2040年までに「水素の普及」を目指し、10年以内にFCEVの価格をBEVと同等にしようとしている。
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