MOTUL(モチュール)および日本総輸入販売元であるMOTUL Japanがサポートする、女性限定のレースシリーズ「KYOJO CUP」(運営:インタープロトモータースポーツ「IPMS」 )において、2025年シーズンよりフォーミュラ車両が採用されることが発表された。
「KYOJO CUP」は、ジェンダーレスが定着しつつある現代社会において、モータースポーツにおいても、全員が同じマシンを使って争う「ワンメイクレース」にとどまらず、ジェンダーによる身体能力の差を意識することなく戦えるフェアな舞台、女性ドライバー=競争女子(キョウジョ、KYOJO)だけの真剣勝負の舞台として設立された経緯を持つレースシリーズだ。
IPS/KYOJO CUPをオーガナイズする関谷正徳さんが「モータースポーツの未来」を語る
Motulは日本のモータースポーツのさらなる発展、存続に寄与するため、国際大会のみならずカートをはじめ多くの次世代モーターアスリートを生み出すイベントを支持、サポートしている。
「KYOJO CUP」も、女性レーシングドライバーを育成し彼女たちのアスリートとしての価値を上げることを目的のひとつとして掲げている。スター選手を生み出し、次世代の女性レーシングドライバーにとって重要なロールモデルを生み出すことで、運転技術をスポーツにつなげていき、モータースポーツ業界全体のさらなる発展と進化に寄与するという「KYOJO CUP」の理念に共感し、Motulとして2017年のスタート時からサポートを続けてきた。
初年度は10~15名のエントリーから始まり、車両は低コストで本格的なレースができるVITA倶楽部製のVITA-01を採用してきたが、2024年度には開幕戦で28名まで増加。初めて全日本スーパーフォーミュラ選手権との併催となる第2・3戦では29名のエントリーを数えるまでに成長した。
今回、スキルの高い次世代レーシングドライバーの誕生を目指し、日本の女性レーサーをネクストレベルに引き上げることを目的として、2025年シーズンから新たにハイブリッドフォーミュラ車両を導入する方針が決定された。
この新しい車両KC-MG01は、これまでのKYOJO CUPの運営や参戦車両だったVITA-01とは多くの点で異なっている。
シリーズ創設9年目となる2025年シーズンからは、全車を「KYOJO CUP」で管理し、可能な限りイコールコンディションを保ってエントラント(各チーム)に貸し出され、競争女子の真剣勝負をよりエキサイティングなものにする。
エントラントは、マシンの車高やサスペンションセッティング(アライメント)、リアウイング(ダウンフォース)などの変更が許されるが、変更個所はごく一部に限られ、エントラントの負担軽減やイコールコンディション化に重点を置いている。
また、公平性を保つため、1年ごとにマシンの抽選を行う予定だ。細かいルールに関しては現在協議中とのことだ。
搭載されるPU(パワーユニット)は、フィアット製1.4Lターボ(176bhp) + ハイブリッドシステム(12kW)のハイブリッド。エネルギー回生システムを併せ持つ。シャシーはカーボンコンポジットモノコック製で車両重量は635kg。
VITA-01は、トヨタ・ヴィッツRSのエンジンが搭載され、トランスミッションは市販車に近いHパターンの5速マニュアルだったが、新マシンのKC-MG01は、SADEV製6速パドルシフトが採用される。
フロントとリアのウイングには、ガーニーフラップが取り付けられている。この空力パーツの目的は、レース中のバトルを増やしレースをよりエキサイティングにすることにあるという。
近年のフォーミュラカーは、風の力で車体を地面に押し付けて速く走ろうとするダウンフォースを重要視する傾向が顕著になってきた。しかし、バトル中などで直前を走るマシンに近づくと、前走車が作る空気の乱れで後続車の空力性能が低下する問題が発生する。
そこで、スポイラー後部に取り付けられたガーニーフラップにより強制的に風を上に跳ね上げ、スポイラー下面を流れるエアを加速させることでダウンフォースをより生み出し、後続車の空力性能低下を防ぐ役割があると予想される。
新マシンは、スピードレンジ的にはFIA F4マシンに近いと予想されているが、「F4という言葉が一人歩きするのは避けたい」とKYOJO CUPを運営するIPMSの代表、関谷正徳氏は語る。
あくまで、日本における女性ドライバー=競争女子たちのための最速マシンに仕立てることを目標に掲げ、ジェンダーによる身体能力の差を意識することなく戦えるフェアなシリーズにふさわしいマシンを目指しているようだ。
7月18日に開催されたエントラント向けの説明会では金額面のアナウンスも行われた。現在VITA-01で開催されているKYOJO CUPよりもエントリー費用は高い金額となっていたが、円安の影響などを考慮すると妥当な金額のように感じた。
また、2025年シーズンにおいてもVITA-01を使用したKYOJO CUPの開催や、カートレースなども検討中とのアナウンスされた。関谷正徳氏が掲げる「モータースポーツの価値をもっと高めたい、スポーツとして観るモータースポーツを確立していきたい」という理念は今後も盛り上がりを見せるだろう。
■新型車両諸元
車両名:KC-MG01
全長:4150mm
ホイールベース:2753mm
全幅:1506mm
全高:980mm
車両重量:635kg
シャシー:カーボンコンポジットモノコック(FIA公認Haloシステム採用)
エンジン:1.4Lターボ(176bhp) + ハイブリッドシステム(12kW)
トランスミッション:6速パドルシフト
サスペンション:プッシュロッド式4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション
ブレーキ:AP Racing製 2ポッドキャリパー、ブレーキパッド / Brembo製ベンチレーテッドディスク
オイル:MOTUL
ホイール:OZ Racing製 フロント:8x13 / リヤ:10x13
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みんなのコメント
特に、ジェントルマンドライバーからすれば、レンタルやリースの費用を出し続けて、女性ドライバーを乗せるだけになるので、単純なパトロン状態だから手を挙げるジェントルマン少ないと思うけどね。