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【ジュニアM5に近づいた】BMW M3 コンペティションへ試乗 最新G80型 510ps 後編

掲載 更新 15
【ジュニアM5に近づいた】BMW M3 コンペティションへ試乗 最新G80型 510ps 後編

力強く滑らかな直6と相性のいい8速AT

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

【画像】BMW M3と3シリーズ 競合の高性能サルーンと比較 全150枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


英国に入ってくる最新BMW 3Mのトランスミッションは、デュアルクラッチではなくトルクコンバーター式の8速ATのみ。MTは選べない。リアのリミテッドスリップ・デフには電子制御が入る。

デュアルクラッチATの方が変速はシャープだが、トルクコンバーターよりシフトショックは大きい傾向がある。最近のユニットは優秀なものの、市街地での滑らかさではトルコンにはかなわない。ATは、このM3に丁度いい。

BMWは可能な限り積極的に変速するように、8速ATの動作を調整している。とても積極的に回る6速ツインターボとの相性も良い。

低速で走行している限り、エンジンはタペット音が大きく、サウンドは少しザラついた印象だった。しかし滑らかに回転数が上昇するとともに、威勢のいいサウンドへ変化していく。

エンジンや8速ATの設定をコンフォートにしてドライブへ入れっぱなしでも、停止状態からの加速はかなり鋭い。0-100km/h加速は4.2秒だ。

ブレーキペダルを踏んだときの効きの強さの調整は、特にコンフォート・モードでしにくく感じた。ブレーキに限っては、スポーツ・モードの硬い感触が良いだろう。そうすれば、M3のドライブトレインは相当に活発な水準でまとまる。

引き締められたサスは少し硬すぎる

最近筆者は、ジャガーのダイナミクス性能を詰めるエンジニアと一緒に過ごした。ドイツの一般道やニュルブルクリンクは、シャシー開発にはあまり効果的ではないと彼は話していた。アウトバーンでの安定性を確かめる場面を除いて。

英国などの道路事情と比べて、ドイツの路面は滑らかすぎるという。おそらく最新のM3は、英国の道路を走り込んでいない様子。

アダプティブ・ダンパーは3段階の硬さから選択できる。英国でも舗装の新しい路面なら、M3は上手になだめて走ってくれる。だが郊外の道へ出ると、コンフォートモードでも硬すぎ、揺れが収まらないと思えるほど。

そのかわり、M3の姿勢制御は非常にタイト。ボディ剛性は抜群に高く、引き締められたダンパーとスプリングながら、わずかなしなやかさも感じることはできる。

ライバルとなるアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオは、ここまで硬くはなかったはず。いずれ比較試乗の機会もありそうだ。

ステアリングホイールは軽く、反応には一貫性があり正確。さほど問題にはならないが、もう少し路面の感触は伝わってきても良い。M3全体がタイトだから、歪みやタメが小さく、クルマの状態を正確に把握することはできる。

前世代のM4 GTSを運転しているようにも感じた。賛否両論あったモデルだが、筆者はプラスの意味で比べたい。

フロントノーズは正確に向きを変え、直6エンジンのパワーデリバリーは常にリニア。トラクションがどれくらい有効で、限界がどの辺りなのかを感じ取りやすい。

電子制御のリアデフは素早くロックし、制御もしやすい。以前のM4とは異なり、トラクションが抜けた瞬間に冷や汗をかく、という場面もないだろう。

従来以上にM5へ近づいた

車重は1730kgもあるから、M3の身のこなしは機敏といえるほどではない。だがハンドリングは予想しやすく剛性感が高い。精度の高いパーツを組み合わせたように。

これにサスペンションのしなやかさが加われば、一層良いはず。現行のM5から移植したい部分だ。

G80型のM3が発表されたのは2020年9月。我々が望んでいる次期M3はジュニアM5ではないと、その時の英国編集部ではまとめている。試乗した印象は、そこまでとはいわないものの、従来以上にM5へ近づいた印象だった。

BMW M5で感じるものは、有り余るパワーと、軽くない車重。新しいM3にないものは、快適な乗り心地とより広い車内。一方でM5のように、ラグジュアリーサルーンがスポーツカーを目指した仕上がりとも違う。

シリアスで、タイトで、派手すぎる。完全なスポーツカーというより、暴力的なホットロッド的とでもいえようか。まるで古いメルセデスAMGのようだが、それで構わないとも思う。BMW M3は見事な高性能サルーンへ成長を遂げたといえる。

かつてのM3のような巧妙なハンドリングを望むなら、BMWにはまだM2コンペティション・クーペが残っている。安心してほしい。

BMW M3 コンペティション(英国仕様)のスペック

英国価格:7万4755ポンド(1121万円)
全長:4794mm
全幅:1903mm
全高:1433mm
最高速度:289km/h(Mドライバーズ・パッケージ装着時)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:9.5km/L
CO2排出量:236g/km
車両重量:1730kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/5600-7200rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

15件
  • 派手好きな中国向けの豚鼻グリルになってしまった
  • あまり良くないように、思う。

    bmwは、社内で何か起こってると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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