「勝利と悲劇」に彩られたキャリア
フォードにとって重要な世界ラリー選手権(WRC)を率いる32歳のクレイグ・ブリーンが、これまでフルシーズンを戦ったことがないというのは、かなり意外な事実だ。
【画像】フォード・プーマ・ラリー1【クレイグ・ブリーンが駆るWRCカーをベース車と写真で比較】 全120枚
アイルランド出身のクレイグは、これまで7回の表彰台を経験している。しかし、自身のキャリアは「勝利と悲劇」によって定義されてきたと話す彼にとっては、ほぼ予想通りの結果だという。
クレイグがモータースポーツから離れてもおかしくないような状況は、これまでに2回あった。1つ目は、2012年6月にシチリア島で起きた事故で、コ・ドライバーのガレス・ロバーツが命を落としたとき。2つ目は、シトロエンが2019年の契約を更新せず、同シーズン終了後にWRCから撤退したときである。
しかし、彼は離れなかった。ガレスの死後、クレイグはロバーツ家にラリー継続を認めてもらうよう求め、彼らはそれを快く受け入れたのだ。「もし、僕がいなくなったら、一緒にやってきたことが無駄になる」と彼は言う。そしてこの年の暮れには、スーパー2000のタイトルを獲得し、言葉では言い表せないほどの成功を収めた。
2018年にシトロエンとの契約が終了したとき、クレイグはすべてが終わったとほぼ確信していたという。ずっと昔にカートでキャリアをスタートさせた彼には、カートの世界選手権への出場オファーが届くだろうし(年齢や身長に関係なく)、彼がそれに応えていたとしてもおかしくはない。今のところカートには復帰していないが、クレイグはやり残したことがあると語る。「ラリーを終えたら、またカートに戻ろうかな。とてもピュアなスポーツなんだ」
カートに復帰しなかったのは、ヒョンデが白羽の矢を立てたからだ。パートタイムの参戦ではあるが、クレイグは2019年から2021年にかけて出走した9つのラリーで4つの表彰台を獲得した。フルタイムのドライバーを中心に作られたマシンで、だ。
フォードで掴んだチャンス
この素晴らしいフォームと諦めない姿勢が、Mスポーツ代表のマルコム・ウィルソンを納得させ、クレイグは今年、ハイブリッド・ラリーの新時代を走るフォードと契約したのだ。クレイグは3位でフィニッシュしている。
「シーズンのスタートとしては完璧だった。今後もこの状態が続くだろう。Mスポーツは、他のチームほど大きなリソースを持っていないかもしれないけど、それをハードワークと110%の努力で補っている」とクレイグ。
第2戦スウェーデンGPでは、2度にわたってスノーバンクに突っ込むという「災難」に見舞われたが、直近のクロアチアGPでは再び表彰台争いに加わって4位となり、現在ランキング3位をキープしている。
ハイブリッド・パワーと空力特性の向上により、前世代とはまったく異なるタイプのマシンとなったが、これまでと違って自分を中心にマシンを構築するチャンスがある。
「故郷に帰ってきたような気がするよ。キャリアが再生されるようなものだ。僕はフォードとMスポーツからスタートし、フィエスタでスーパー2000とWRCアカデミーを制覇した。父は、フォードでアイルランドチャンピオンになった人だ。子供の頃のヒーロー、フランク・ミーガーもフォードに乗っていたしね」
ラリーへの深い愛情と情熱
「実は、彼が1992年のサーキット・オブ・アイルランドで優勝したシエラ・コスワースを所有しているんだ。そして、僕の最初のワールドラリーカーはフォード・フィエスタだった。Mk2エスコートでヒストリックイベントに参戦するのも楽しいけど、今年は新しいハイブリッドカーに集中するために、ちょっと控えめにしているよ。いろいろ考えないといけないけど、慣れてくると思ったほど難しくはない。僕には合っているんだ」
ヒストリックラリーへの情熱は強く、クレイグは最近、パトリック・スナイジャーズが乗っていたフォード・エスコートWRCを購入し、バストスの象徴的なカラーリングを施して、昨年イタリアで行われたラリー・レジェンドに出走した。バストスのオーバーオールのレプリカもプレゼントされ、当時の雰囲気を再現している。
クレイグは、ラリーの歴史をまるで「歩くウィキペディア」のように語ることができる。その知識量は、WRCサービスパークのもう1人の歴史オタク、ヤリ=マティ・ラトバラにも匹敵するほどだ。ラリー以外に何かやっていることはあるかと尋ねると、クレイグはにっこり笑って首を横に振る。紅茶を飲むこと以外で、何かをする時間はないのだ。「ラリーしか知らないんだ。他のことは何もできないよ」
今のところ、彼はアイルランド初のラリー世界チャンピオンになるべく集中力を高めている。そのためには、兎にも角にも初勝利を達成する必要がある。「でも、それがいつになるのか……。それは100万ドルの質問だね?勝つかどうかは時間の問題だ。無理して追いかける必要はない」
しかし、ブリーンがインスピレーションを受ける元フォード・ドライバーがもう1人いる。マーカス・グロンホルムだ。2000年、当時32歳だったマーカスは、新型のプジョー206 WRCで初のWRCフル参戦を果たした。シーズンが終わる頃、初勝利だけでなく、初タイトルも獲得していた。ブリーンの物語は、まだ始まったばかりなのだ。
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