運営元:旧車王
著者 :増田 真吾
和製スーパーセブンとも呼ばれたゼロワン! 光岡自動車にとって記念すべきモデルの魅力を大解剖
シンプルなデザインで、一見普通のステーションワゴンにさえ見える三菱 ランサーエボリューションワゴン。しかし「ランエボ」の名に恥じない高い走行性能を秘めたマシンです。特に6MT仕様は、本気でサーキットを攻められるステーションワゴンとは思えない実力を備えていました。
走る楽しみと使い勝手の良さを兼ね備えた、三菱ランサーエボリューションワゴンGTの魅力に迫ります。
ランエボの派生車種として誕生したランサーエボリューションワゴン当初、世界ラリーのホモロゲーション取得のために限定生産された、4ドアセダンのランサーエボリューション、通称「ランエボ」。そして、9代目ランエボの派生車種として、ランサーエボリューションワゴン(以下「エボワゴン」)は誕生しました。
エボワゴンは、発売された翌年の2006年、デビュー戦である十勝24時間レースで堂々の5位入賞を果たします。
ランエボ(セダン)の走りと引けを取らない、エボワゴンの特徴を紹介します。
ランサーエボリューション初のステーションワゴン2005年9月にランサーエボリューション初のステーションワゴンとして登場した「ランサーエボリューションワゴン」。通称「エボワゴン」は、2005年3月に発売されたランサーエボリューションIXをベースに開発されました。
スバル インプレッサスポーツワゴンのようにスポーティな見た目ではなく、箱型ボディにブリスターフェンダーという、一見商用車ともとれます。しかし、その見た目とは裏腹にすぐれた走行性能を発揮し、乗車する全ての人を驚かせました。
エボワゴンの設定はGTとGT-Aの2グレードランサーエボリューションワゴンのグレードは、GT(6速MT)とGT-A(5速AT)の2グレードです。両グレードとも可変バルブタイミング機構をもつMIVECエンジン、4G63型直列4気筒DOHC16バルブターボエンジンを搭載していました。ただし、5速ATを採用するGT-Aは出力をやや絞ってあります。
6速MTのGTは、最大出力280ps(6,500 rpm)、最大トルク40.0kg・m(3,000 rpm)を発揮。GSRグレードのランエボセダンと比べるとややトルクは劣るものの、パワーはまったく同じでほぼ同様の高い性能を誇ります。
一方5速ATのGT-Aは、最大出力272ps(6,500 rpm)、最大トルク35.0kg・m(3,000rpm)とモータースポーツ用としてチューニングされているGTと比べ、やや数値的にはやや劣るものの、ステーションワゴンとしては十分すぎる性能を誇っています。
弱点のボディ剛性を徹底強化ワゴンタイプの弱点はボディ剛性です。特にハッチバックのリアは開口部が大きい上、セダンにはある隔壁がないため、ただワゴン化しただけではボディ剛性が大幅に低下してしまいます。
エボワゴンは、リア部を中心に徹底したボディ剛性の強化を図りました。テールゲートでは50箇所以上にも及ぶ各部のスポット溶接増し、A・B・C・Dピラーとルーフの接合部の補強。さらに、リアダンパーの取り付け部に補強材、大型リヤフロアクロスメンバーを追加といった形で、リア部を中心にボディ剛性の強化を徹底して行いました。
ほぼ手作りともいえるほど製造工程が増したこともあって、わずか2,500台の限定生産でした。
走行性と快適性の2つの顔を持つエボワゴン車とは、スポーツ性能を追求すると利便性が損なわれ、逆に室内空間の確保といった快適性を重視すると走行性能がスポイルされてしまうのが一般的です。
しかし、ランサーエボリューションワゴンは、この既成概念の払拭に成功します。ラリー並の走行性はそのままに、ドライバーと同乗者の快適性にもこだわって作り上げられました。
ステーションワゴンの概念を覆す走りエボワゴンをドライブすると、ステーションワゴンに対するイメージが180度変わります。スムーズな加速感にキビキビとしたハンドリング、車重を感じる場面も若干あるものの、限りなくセダンに近い乗り味です。
特に6速MTのGTでは、セダン同様のクロスレシオ気味のトランスミッションを備え、トルクフルな4G63エンジンによる気持ちのよい加速が味わえます。さらに、高いボディ剛性を活かしたハンドリングは秀逸です。ヘリカル式LSDの効果もあって、切り込んだ方向に思うがままに向きを変えられます。
走りだけに特化しない充実した装備はセダン以上エボワゴンの魅力は、走行性能だけではありません。利便性や快適性を重視する、ステーションワゴン本来の性能にもこだわっています。
レカロシートも利便性を重視して専用設計され、セダンとは異なるものを使用。サイドポートを小さくし、乗降の利便性を向上させています。また、セダン以上の静粛性もステーションワゴンならではの設計思想です。ダッシュパネル付近の遮音性を向上させたほか、開口部となる荷室周辺も吸音材や遮音材に加えて制振材まで使用する徹底ぶりをみせています。
ほかにも、HIDヘッドランプや6スピーカー、プライバシーガラスといったユーティリティカーに欠かせない快適装備もしっかりと押さえています。
希少車だけに買取価格も高騰三菱 ランサーエボリューションワゴンは、2グレード合わせてわずか2,500台の限定生産だった希少車種です。特にランエボのスポーツ走行を受け継いだ人気の高いGTだと、さらに希少価値が高まります。
大手中古車サイトで検索したところ、10万キロを大きく超える車体を含めてわずか25台しかありませんでした。旧車王での買取も、昨年の5月に2006年式で86,600km走行のランサーエボリューションワゴンGTを他社と比べて40万円以上もの高値の240万円で買い取っています。ランサーエボリューションワゴンの売却を検討している方は、ぜひ旧車王へご相談ください。
※価格や経過年数は2023年4月記事執筆時のもの
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みんなのコメント
今や150万からか。何が高くなるかわからんね。
しかし当時このスペックと値段で出せてたのに、今は何だかなとやっぱり思ってしまう。