2.0Lのマイルドハイブリッドを採用
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
メルセデスが魅惑的と表現するクーペボディに、AMGラインのボディトリムをまとったGLCクーペ。装備の充実したラグジュアリーなインテリアも相まって、ダイナミズムより洗練性の方へ意識が向かってしまう。
それは、今回試乗する最新のGLC300クーペ 4マティックにも当てはまる。搭載するのは2.0Lの4気筒ターボガソリン・エンジンに、ベルト駆動される電圧48Vのスターター・ジェネレーターを組み合わせた、マイルド・ハイブリッドだ。
エンジンの最高出力は258psで、スターター・ジェネレーターが14psをアシスト。燃費の向上や加速時の力強さだけでなく、一定速度での走行時にはエンジン停止も可能。間もなく登場する、プラグイン・ハイブリッドとなるGLC300eを控えた、電動化への小さな一歩ともいえる。
GLCは、パワートレインの改良だけでなく、モデル中期となるフェイスリフトも受けた。見た目の変更はわずかだが、搭載する電子技術のアップデートに注力されているようだ。
マイナーチェンジを受けたGLCには、メルセデスMBUXインフォテインメント・システムの最新版を搭載。同時に数多くの運転支援システムも実装する。
以前にも増してライバル同士の競争が激しい、ファミリー層向けのプレミアムSUVというカテゴリー。アウディQ5やBMW X3などのライバルに対し、メルセデス・ベンツGLC300クーペのアピール力を高めることはできているのだろうか。
質感を増したインテリアに合う穏やかな走り
マイナーチェンジを受けたGLCクーペの、別グレードへは試乗済み。共通のアップデートによって、インテリアは快適性が向上。リラックスして長時間を過ごせる空間にまとめられている。
すべての操作系は適正な位置にレイアウトされ、周囲の視認性も良好。全方向のカメラ映像と、センサーがドライバーの目視をサポートしてくれる。車内の雰囲気は、このサイズのメルセデス・ベンツに相応しい、プレミアムさを漂わせる。
10.3インチのタッチモニターで操作するインフォテインメント・システムは、画像が鮮明で操作も直感的でわかりやすい。ステアリングホイールに配されたコントローラーや、トラックパッド、驚くほどちゃんと聞き取ってくれる音声認識機能でも操作は可能だ。
マイルド・ハイブリッド化されたパワートレインの第一印象も良い。エンジンとスターター・ジェネレーターはしっかり統合制御され、低速でのエンジンの加速を、電気モーターが滑らかにしてくれている。
高速道路に入り、一定速度でのコースティング状態になれば、エンジンは自動的にシャットダウン。再び始動する際も、とてもシームレスに行われる。インテリアにそぐわない、穏やかで快適な走行を実現させている。
反面、このマイルド・ハイブリッドは運動性能に優れていたり、一体感を楽しめるようなものではない。まれに反応が鈍い時もあるようだ。増えた車重により、トルクに物足りなさもあるように感じる。
少し待ってPHEV版の300eという手も
マイルド・ハイブリッド化されたことで、燃費や環境負荷は確かに良くはなっている。だが、大きなGLC300クーペがエコだとはいいにくい。公式のWLTP地での燃費は、10.4km/Lに留まる。
新しいパワートレインを搭載したGLCは、このサイズのプレミアムSUVを探しているユーザーにとって、とても気になる存在に違いない。従来どおり。だが、マイルドハイブリッドを搭載した300クーペを選ぶべきかは、使用環境などによって異なる。
高速道路や長距離運転が中心なら、価格で近似するディーゼルエンジンの300dの方が良いだろう。ディーゼルを好まないのなら仕方ないが、優れた燃費と走行パフォーマンスを手に入れられるはず。
環境負荷を配慮した、高度な電動化技術を搭載したGLCが欲しいのなら、プラグイン・ハイブリッドの300eを待つという選択も、考えるべきだと思う。それに、SUVらしく実用的で広々とした車内を持つ通常のGLCより、クーペボディの方が価格が高いことも、気に留めておきたい。
メルセデス・ベンツGLC300クーペ 4マティックのスペック
価格:4万6860ポンド(670万円)
全長:4731mm
全幅:1890mm
全高:1600mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:10.4-12.8km/L(WLTP)
CO2排出量:170g/km
乾燥重量:1805kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/5800-6100rpm
最大トルク:32.7kg-m/1800-4000rpm
ギアボックス:9速オートマティック
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みんなのコメント
安いマイルドハイブリッドを先に出して、お高い(であろう)PHEVを後に出して、その価格差が地球を守るためだから買ってくださいと言って、だれが買うのかなあ。量を出したいのはこちらのモデルなんだろうな。