現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 新規F1参戦アウディ、肝いりプロジェクトの命運を分けるのはサインツJr.の選択? 絶対に負けられない戦いがここにもある

ここから本文です

新規F1参戦アウディ、肝いりプロジェクトの命運を分けるのはサインツJr.の選択? 絶対に負けられない戦いがここにもある

掲載 更新 2
新規F1参戦アウディ、肝いりプロジェクトの命運を分けるのはサインツJr.の選択? 絶対に負けられない戦いがここにもある

 アウディは新レギュレーションが導入される2026年シーズンから、ザウバーをパートナーにF1へ参戦する。F1世界選手権発足前のグランプリ時代を除き、“フォーシルバーリングス”が初めてF1グリッドに姿を現す日は刻々と近づいている。

 そんなアウディのワークスF1ドライバー候補として名前が挙げられているのは、フェラーリ離脱が決定しているカルロス・サインツJr.だ。しかし彼は来季からザウバーへ移籍すべきなのだろうか? その選択がアウディのF1プロジェクトに与える影響は大きい。

【一覧表】ル・マンに出た元F1ドライバー、全員言える?

 ザウバーは現時点でアウディと呼ばれず、キック・ザウバーとしてF1に参戦中。ゆくゆくはアウディF1チームのCEOとなる、ザウバー・グループのアンドレアス・ザイドルは陣営を強化しようと300人規模の新規雇用を行なうなど奔走している。

 公式には、アウディのF1プロジェクトはまだ始動していない。ただ実際には、ザイドルCEOからアウディ上層部まで、パワーユニット(PU)とシャシーを用意しようとチーム体制の形成に忙殺されている。

 そして“メイド・イン・アウディ”最初の目標のひとつは、絶対的な価値を持つドライバーコンビを確保することだ。

 アウディにとっては今のタイミングは幸運だ。というのも、来季に向けた2024年シーズンのドライバー市場は、トップチームのドライバーやグランプリ勝利経験を持つドライバーを巻き込みつつのイス取りゲームとなっているのだ。

 大局的に見ると、アウディの最初の動きはドイツ人ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグ獲得だった。ヒュルケンベルグは今季限りでハースとの契約が一度切れるタイミングで、他に有利な選択肢が無かったことから、アウディとの契約は全てベストな形でまとまった。一方で、サインツJr.のシナリオとは全く異なる。

 当初サインツJr.はアウディとの契約を結ぶモノだと思われていたが、レッドブルやメルセデスも来季に向けたドライバー選択を固めつつあるため、サインツJr.の選択肢は狭まっていった。

 ただ、新たに対立候補としてウイリアムズという選択肢が浮上。サインツJr.をめぐり、現在は上位勢とは程遠いザウバーとウイリアムズが獲得競争を繰り広げている。

 これはアウディにとっては非常に重要な争いだ。サインツJr.のような“大物”ドライバーを獲得する価値は、技術的な側面だけでなく、F1プロジェクトそのモノに信頼感を与えるという面もある。

 仮にサインツJr.がウイリアムズを選べば、その選択理由を疑問視する声が多く挙がることが考えられる上、アウディに対してはF1プロジェクトへの信頼の無さが露呈することとなる。そのため、アウディ陣営にとっては大きな打撃となる可能性を孕んでいるのだ。

 サインツJr.は非常に慎重なドライバーであり、キャリアにとっても大きな分岐点となる来季に向けた決断を下す前に、自身のマネジメント陣を含めてあらゆる面を考慮している。

 チームを客観的に評価する上で、ドライバー側としては長期的な予測しかできず、確信に至るシナリオを導き出すことはできない。名刺代わりのコンストラクターズランキングでは、ザウバーは現在唯一のノーポイントで最下位。サインツJr.からの評価を高める一因にならないのは明らかだ。

 現時点でチームがザウバー(もしくはステーク)と呼ばれているのは事実であり、F1マシンにアウディのロゴが堂々と載るのは2026年からだ。しかし2026年マシンの開発作業が来年の1月1日から本格化することを考えると、新しいプロジェクトはスイス・ヒンウィルにあるザウバーのファクトリーで働く人々に託されることとなる。

 PUはドイツ・ノイブルグにあるアウディのファクトリーでアウディが開発を進め、ブランドとしてのモータースポーツ活動をF1に集中。シャシー、PU双方で補強が行なわれているが、その規模と時間軸についてはまだ疑問符がつく。

 ザウバーのテクニカルディレクターであるジェームス・キーは、既にチームに在籍して1年になり、チーム側の約300人規模の雇用を進めていると公表している。適切なスタッフを見つけ、スイスへの移住を納得させ、実際に開発へ組み込むまでには時間がかかるだろう。

 その一方で、ザウバーの株式を100%取得したアウディにF1の頂点を目指す気配は現時点でゼロ。スタート地点が低ければ低いほど急激な成長カーブを要求されるが、アウディが2026年まで姿を隠すのは戦略のひとつなのかもしれない。ただ、その間ザウバーのドライバーたちは苦戦を強いられる運命にある。

 少なくとも、公の場で拳をテーブルに叩きつけて不満を述べる人はおらず、全てが順調に進んでいる。ただ現在のドライバーである周冠宇とバルテリ・ボッタスとしては、満足とは程遠い状況だ。

 アウディF1プロジェクトの真価は、サインツJr.がどのような選択を下すかということに大きく関係している。

 トップチームとの獲得競争で敗れたとなれば、それは良いニュースではないにせよ、無理もない部分もある。ただ、名門とはいえ過去20年間で1勝しか挙げられず、アウディの半分の報酬しか提示できないウイリアムズにサインツJr.を取られたとなれば、アウディF1プロジェクトを見る目も変わってくるだろう。

 ザイドルCEOにとっては緊張感のある日々が続き、チームはなんとしてもサインツJr.獲得競争を勝ち抜きたいと考えている。逆に言えば、サインツJr.を確保できなかった理由をアウディ取締役会に説明しにいくのは、決して簡単なことではないだろう。フォルクスワーゲン・グループを挙げての肝いりプロジェクト、グリッドに並ぶ前から顔に泥を塗られる訳にはいかないのだ。

こんな記事も読まれています

フェルスタッペン、2025年のレッドブル残留を明言「すでに来年のマシン開発にも取り組んでいる」
フェルスタッペン、2025年のレッドブル残留を明言「すでに来年のマシン開発にも取り組んでいる」
motorsport.com 日本版
ペレスのレッドブル2年残留を、96年F1王者デイモン・ヒルが考察「マックスに、チームの将来像を示してあげる必要があったのでは?」
ペレスのレッドブル2年残留を、96年F1王者デイモン・ヒルが考察「マックスに、チームの将来像を示してあげる必要があったのでは?」
motorsport.com 日本版
アルピーヌF1、カルロス・サインツJr.争奪戦に名乗り! 新加入ブリアトーレが早速動いた!?
アルピーヌF1、カルロス・サインツJr.争奪戦に名乗り! 新加入ブリアトーレが早速動いた!?
motorsport.com 日本版
サインツJr.、移籍交渉でF1の現実を知る!? 「パドックに信頼できる人はほとんどいない」
サインツJr.、移籍交渉でF1の現実を知る!? 「パドックに信頼できる人はほとんどいない」
motorsport.com 日本版
レッドブルF1、今季RB20の弱点克服のため異例のプライベートテスト実施。2022年型マシンをフェルスタッペンがドライブ
レッドブルF1、今季RB20の弱点克服のため異例のプライベートテスト実施。2022年型マシンをフェルスタッペンがドライブ
motorsport.com 日本版
ザウバーF1、マクラーレン”電撃解雇”のプルシェールに別のインディカーシートを模索中。来季F1候補は「4人の勝利経験者」か?
ザウバーF1、マクラーレン”電撃解雇”のプルシェールに別のインディカーシートを模索中。来季F1候補は「4人の勝利経験者」か?
motorsport.com 日本版
今のF1は“天国から地獄”。フェラーリ代表が語る新常識「週末ごとにグリッドは変わる」前戦カナダでチームは突如失速
今のF1は“天国から地獄”。フェラーリ代表が語る新常識「週末ごとにグリッドは変わる」前戦カナダでチームは突如失速
motorsport.com 日本版
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
motorsport.com 日本版
アルピーヌF1のブリアトーレが、サインツ獲得に動く。ウイリアムズ、アウディとの争奪戦を展開
アルピーヌF1のブリアトーレが、サインツ獲得に動く。ウイリアムズ、アウディとの争奪戦を展開
AUTOSPORT web
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
motorsport.com 日本版
ミック・シューマッハー、アルピーヌF1の”選考”テスト参加へ。オコン後任の対立候補ドゥーハンもドライブ予定
ミック・シューマッハー、アルピーヌF1の”選考”テスト参加へ。オコン後任の対立候補ドゥーハンもドライブ予定
motorsport.com 日本版
フェラーリで内紛勃発? ルクレールがサインツJrを痛烈批判「タイヤを労わる戦略だったのに……彼は派手なことをしたかっただけだろ?」
フェラーリで内紛勃発? ルクレールがサインツJrを痛烈批判「タイヤを労わる戦略だったのに……彼は派手なことをしたかっただけだろ?」
motorsport.com 日本版
メルセデスF1、今年はやれる!? ラッセル過去2シーズンは苦渋嘗めるも「現行レギュレーション下で最も自信がある」
メルセデスF1、今年はやれる!? ラッセル過去2シーズンは苦渋嘗めるも「現行レギュレーション下で最も自信がある」
motorsport.com 日本版
アントネッリ起用が確実視されるメルセデス、“ラインアップ決定”報道を否定「何が起きるか分からないので、決断はできるだけ保留したい」
アントネッリ起用が確実視されるメルセデス、“ラインアップ決定”報道を否定「何が起きるか分からないので、決断はできるだけ保留したい」
motorsport.com 日本版
やや失速気味のフェラーリ、サインツJr.はオーストリアでの復活に期待「スペインは僕たちの苦手とするサーキット」
やや失速気味のフェラーリ、サインツJr.はオーストリアでの復活に期待「スペインは僕たちの苦手とするサーキット」
motorsport.com 日本版
F1の天才ブリアトーレ、アルピーヌに『レーシングスピリット』注入? 相談役の役割説明
F1の天才ブリアトーレ、アルピーヌに『レーシングスピリット』注入? 相談役の役割説明
motorsport.com 日本版
アストンマーティンF1、ランス・ストロールとの契約を”2025年以降”まで延長。ホンダPU搭載マシンもドライブへ
アストンマーティンF1、ランス・ストロールとの契約を”2025年以降”まで延長。ホンダPU搭載マシンもドライブへ
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、2026年”登場”のレッドブル自社製パワーユニットに自信「ファクトリーには成功するために必要なモノが全て揃っている」
フェルスタッペン、2026年”登場”のレッドブル自社製パワーユニットに自信「ファクトリーには成功するために必要なモノが全て揃っている」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

2件
  • ukr********
    せめて今期のザウバーがもう少しいい走りしてポイント稼いでればサインツもここまで悩んでいないと思う。
    今のマシンのコンディションの悪さはジェームス.キーが原因だと思ってしまう。
  • xtr********
    アウディお得のダサい赤の差し色は少なめで戦前のカー再現してほしいな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村