■「そろそろ休憩しませんか」実は大事な案内だった
クルマを長時間運転していると、カーナビから「そろそろ休憩しましょう」とアナウンスが入ります。
なぜそのような案内をするのでしょうか。また「そろそろ」とは、どのようなタイミングなのでしょうか。
【画像】「えっ…」 これが「規格外にデカい画面」のカーナビです(10枚以上)
クルマを運転するときに、目的地までカーナビを活用するという人は多いでしょう。
右左折や高速道路の出入り口案内など目的地への経路だけでなく、「この先、合流があります」「およそ300m先、右折専用レーンがあります」というような、道路上の注意点を案内したり、「まもなく日が暮れます。ライトの確認をしてください」などとアナウンスしたりするものもあります。
そして、一部のカーナビでは長距離走行で「そろそろ休憩しませんか?」などと、ドライバー自身に対して休息を取るように呼びかけることがあります。
この「そろそろ」とは、いったいどのようなタイミングなのでしょうか。
カーナビの音声案内が入る基準について、主に「Gathers」ブランドなどでホンダ車のカーオーディオを手掛けるホンダアクセスの担当者は次のように話します。
「ナビの電源をつけてから一定の時間がすぎると音声案内が入るようになっています。音声が入る基準は運転距離ではなく、あくまで時間で測っています」
多くのカーナビでは、「そろそろ休憩」は機器を使用してから1.5時間から2時間が経過したときに発せられる設定のようです。
では、どのような理由があって1.5時間や2時間に設定しているのでしょうか。
たとえば、プロ運転手であるトラックドライバーの場合は、労働環境を守るために連続運転時間が決まっています。
厚生労働省では、高速道路を連続して運転するときにおおむね2時間にいちどは10~20分の休憩をとるよう指導しています。一般道においても、連続運転時間は4時間を超えてはならないと法令で定められているのです。
一部の研究では、ヒトの集中力は1.5時間程度しか維持できないとされることもあり、2時間に1回ほど休憩を促すアナウンスは、一般ドライバーにとって現実的にちょうどいいタイミングでの警告と言えます。
では、カーナビの案内に従わず休憩をとらないで運転しつづけるとどうなるのでしょうか。
運転時間が長くなると、疲労などから危険な運転操作が増え、結果として事故につながるリスクが大きくなります。
タクシーアプリ「GO」などを展開するMobility Technologiesがタクシードライバーの運転を検証した結果によると、連続運転時間が3.5時間を越えたタクシードライバーはスピード超過しやすいと示しています。
一般道において、連続走行時間を「30分以下」「3.5時間以上」に分けて比較すると、3.5時間以上での「速度超過」運転の発生回数は、30分以下の2倍に達しています。さらに、「急減速」や「急ハンドル」も、3.5時間以上のほうが多く発生していると言います。
こうした結果を受け、同社は、事故防止の観点から1時間を目安に休憩をとることを推奨しています。
また、疲労ストレス計を使って高速道路での長距離運転を行った実験では、一般道よりも高速道路のほうが、眠気やだるさが増したという例もみられます。これは、信号などのない高速道路の場合、刺激が少なく運転が単調になりやすいためのようです。
長距離運転を続けると目が疲れ、身体に疲労がたまることで眠気を催します。しかし、こうした症状は自覚しないまま進行することが多いので、早めに休憩をとることが大切です。
■「寝る」のがイチバン? 効率のよい「休憩方法」とは?
では、長距離運転時、効率的な休憩方法はあるのでしょうか。
体のこわばりをとるためには、できれば1~2時間おきに体を動かし血流を促すとよいでしょう。
パーキングエリアなどで確実にクルマを停め、軽い体操などを行えば爽快感が得られるだけでなく、血液がうっ滞することによるエコノミー症候群の予防にもつながります。
また、当然ながら脳も疲れているので、1.5時間に一度程度は運転操作をやめ、深呼吸したり目をつむったりするとより脳がリラックスします。
そして、最も効果的といわれるのは、短い時間でも睡眠をとることです。
長く一般道を走ったあとは、交感神経が高ぶっているため眠りにくいとされていますが、時間が許すのであれば試してみる価値は大いにあります。
※ ※ ※
運転時の疲労は自覚しにくく、「疲れたな」と感じたときは、かなり疲労が溜まっている状態が多い傾向にあります。
安全運転のためにカーナビの案内も活用しつつ、こまめな休憩をとるとよいでしょう。
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