現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かつては直4もあったけどいまは全部直3! なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

ここから本文です

かつては直4もあったけどいまは全部直3! なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

掲載 79
かつては直4もあったけどいまは全部直3! なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

 この記事をまとめると

■現在の軽自動車のエンジンは直列3気筒が主流になっている

3リッターっていわれても2996cc! 軽は660ccとかいいつつ658cc! なぜクルマのエンジン排気量は中途半端な数字なのか?

■6気筒エンジンなどで多気筒化をするとコスト上昇が見込まれる

■1気筒の数値が小さくなると低回転域で高出力を得にくくなり回すと燃費も悪化する

 軽自動車はなぜ4気筒までしか存在しない?

 現在、軽自動車のエンジンは、自動車メーカーの別を問わず、ほぼ直列3気筒に統一された。しかし、かつては直列(並列)2気筒や直列4気筒など、車種やメーカーによる違いがあった。

 一般に、上級車種になるとマルチシリンダーといって、多気筒エンジンが重宝される。その点、エンジン排気量が660ccと小さな軽自動車では、直列4気筒というのがマルチシリンダーといえなくもない。

 かつて、スバルR1やステラは、他社が直列3気筒化を進めるなか、直列4気筒を堅持し続けた。登録車では水平対向4気筒エンジンにこだわるスバルが、軽自動車においても多気筒であり続けることでクルマとしての上級さを保持しようとした表れだ。

 しかし、そこでスバル独自の軽自動車開発は終わりを告げた。現在はダイハツから供給を受け、自社銘柄として販売するので、結果的にエンジンは直列3気筒となっている。

 しかしなぜ、直列4気筒はもとより、6気筒や8気筒ではないのか?

 一例として、売れ筋ナンバー1であるホンダN-BOXのエンジン諸元を見ながら検証してみる。

 ボア×ストロークは60mm×77.6mmだ。これは、シリンダー内径(ピストン頭頂部の直径)が6cmで、ピストンが上下する行程(ストローク)が8cm弱であることを意味する。これにより、1気筒あたり219ccの排気量と計算でき、3気筒で657.89ccとなって、既定の660cc以内に収まっている。

 これでDOHC4バルブエンジンを作るとなると、吸排気バルブの傘径は2cm前後の小さな形になる。

 660ccの枠を超えず、4気筒や、さらに上の気筒数にすれば、シリンダー内径はもっと小さくなり、吸排気バルブの寸法もあわせて小さくなって、作るのに手間がかかる。それだけでなく、組み立てるにも部品点数が増える分、余計な時間を要し、それらはすべて原価の上昇につながる。

 性能面では、たとえば6気筒にしたら、1気筒分の排気量は3気筒の半分しかなくなり、1回の燃焼で得られる出力は小さくなる。そこで、発進や加速の出足が鈍くなる。なので、総排気量としては同じ660ccでも、回転を上げ6気筒を総動員しなければ力強さは得にくい。結果、運転者は余計にアクセルペダルを踏むことになり、燃費は悪化する。

 運転だけでなく、じつはエンジンが稼働する際に注目すべきが摩擦損失で、摩擦損失はエンジン効率(一例として燃費)に大きく影響を及ぼす。摩擦損失の割合は、使ったエネルギーの5~10%といわれる。数字に幅があるのは、気筒数や摩擦低減技術の採用如何などによる。

 気筒数が増えれば、バルブの数はもちろん、カムシャフトやクランクシャフトの摺動部が増え、そのぶん、摩擦損失の増加につながる。つまり、多気筒エンジンは燃費悪化の要因のひとつといえるのだ。

 燃焼や性能を考えたとき、自動車用エンジンは一般に、1気筒当たりの排気量は500cc前後が最適の上限といわれる。このため、排気量2リッターエンジンなら4気筒以上、3リッターエンジン以上では6気筒以上の排気量であることが望ましい。

 軽自動車には660cc(0.6リッター)という排気量の制約があるので、多気筒化するより、少ない気筒数で、適切なトルクと燃費の調和をはかることが、環境対応だけでなく、加速の快適さにもつながることになる。

文:WEB CARTOP 御堀直嗣
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

新型デリカD:5・発売直前先取り詳報!
新型デリカD:5・発売直前先取り詳報!
グーネット
プロに聞いた「好きなクルマBEST3」あのとき買ってよけば良かった…と言わないために
プロに聞いた「好きなクルマBEST3」あのとき買ってよけば良かった…と言わないために
グーネット
高台から望む絶景と、旅に寄り添う心づかい「堂ヶ島ニュー銀水」【心を満たす温泉宿24選】
高台から望む絶景と、旅に寄り添う心づかい「堂ヶ島ニュー銀水」【心を満たす温泉宿24選】
グーネット
新型「RAV4」ついに発売!トヨタ初採用の技術詰め込んだ新世代SUV
新型「RAV4」ついに発売!トヨタ初採用の技術詰め込んだ新世代SUV
グーネット
日産が放つ新たな一台。NISMO特別コンセプトモデル初公開 東京オートサロン2026
日産が放つ新たな一台。NISMO特別コンセプトモデル初公開 東京オートサロン2026
グーネット
LBXの魅力を格上げ!MORIZO RR専用カスタムパーツをラインアップ AIMGAIN
LBXの魅力を格上げ!MORIZO RR専用カスタムパーツをラインアップ AIMGAIN
グーネット
トヨタ 新型「GR GT/GT3」が走る!デモラン世界初披露へ 東京オートサロン2026
トヨタ 新型「GR GT/GT3」が走る!デモラン世界初披露へ 東京オートサロン2026
グーネット
【25’ 12/15最新】レギュラーガソリンさらに安く、平均価格は4年ぶり150円台に
【25’ 12/15最新】レギュラーガソリンさらに安く、平均価格は4年ぶり150円台に
グーネット
グーネット編集部がモビショーを練り歩き! 発売が待ち遠しい注目モデルに迫る
グーネット編集部がモビショーを練り歩き! 発売が待ち遠しい注目モデルに迫る
グーネット
縦長グリル卒業へ!? 新世代モデルはデザイン一新!! ジャパンモビリティショー2025のBMW&MINIブース
縦長グリル卒業へ!? 新世代モデルはデザイン一新!! ジャパンモビリティショー2025のBMW&MINIブース
ベストカーWeb
シリーズ史上最高の反発力! ナイキ「ペガサスプレミアム」に新色が登場!! ブラウン基調の配色と“ミニスウッシュ”が目を惹く街履きにおしゃれな1足です
シリーズ史上最高の反発力! ナイキ「ペガサスプレミアム」に新色が登場!! ブラウン基調の配色と“ミニスウッシュ”が目を惹く街履きにおしゃれな1足です
VAGUE
ホンダ新型「CR-V」公開に反響殺到! 「世界一かっこいい!」「ライバルよりイケメン」デザイン推しの声も! 「アコード」のエンジン&高性能4WD搭載する「最新SUV」がスゴい!
ホンダ新型「CR-V」公開に反響殺到! 「世界一かっこいい!」「ライバルよりイケメン」デザイン推しの声も! 「アコード」のエンジン&高性能4WD搭載する「最新SUV」がスゴい!
くるまのニュース
新年にふさわしい「イヤー・オブ・ザ・ホース」が刻む鼓動――赤きグラデのダイヤルとムーンフェイズをたずさえたロンジン新作とは
新年にふさわしい「イヤー・オブ・ザ・ホース」が刻む鼓動――赤きグラデのダイヤルとムーンフェイズをたずさえたロンジン新作とは
VAGUE
ナイキ「エア フォース 1 “Stadium Green/Laser Orange”」はヒートマップ風のアツい一足──GQ新着スニーカー
ナイキ「エア フォース 1 “Stadium Green/Laser Orange”」はヒートマップ風のアツい一足──GQ新着スニーカー
GQ JAPAN
ついに走ったぞGRヤリスMコンセプト! トヨタ大好き大学生がS耐第6戦の裏側に密着!! ミドシップ化の先に見える「グループB」の目標!
ついに走ったぞGRヤリスMコンセプト! トヨタ大好き大学生がS耐第6戦の裏側に密着!! ミドシップ化の先に見える「グループB」の目標!
ベストカーWeb
まもなく日本上陸!? ファン期待の3列7人乗りのデカいカングー=デカングー ルノー新型「グランカングー」ってどんなクルマ?
まもなく日本上陸!? ファン期待の3列7人乗りのデカいカングー=デカングー ルノー新型「グランカングー」ってどんなクルマ?
VAGUE
レクサス新「“4WD”ミニバン」が凄い! 最上級より「510万円オトク」だけど「豪華内装」&“大型ディスプレイ”採用の「3列6人乗り」仕様! 「一番低燃費」でめちゃ快適な「LM」最安モデルって?
レクサス新「“4WD”ミニバン」が凄い! 最上級より「510万円オトク」だけど「豪華内装」&“大型ディスプレイ”採用の「3列6人乗り」仕様! 「一番低燃費」でめちゃ快適な「LM」最安モデルって?
くるまのニュース
独フックスから『プジョー208』や『シトロエンC3』向け新エンジンオイル発売
独フックスから『プジョー208』や『シトロエンC3』向け新エンジンオイル発売
レスポンス

みんなのコメント

79件
  • haz
    仮にコスト度外視してV8作っても低中速スカスカの超高回転型エンジンになる
    そんなエンジン積んだ軽作ったらバイクの250マルチじゃないけど18000回転とか回してF1みたいな音させながら走る楽し気な乗り物になっちゃうだろ
  • 88
    なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

    当たり前でしょ。そんなエンジン載せたら車両価格がいくらになると思ってんの?
    白ちですか? 笑
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

173 . 9万円 203 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0 . 0万円 377 . 4万円

中古車を検索
ホンダ N-BOXの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

173 . 9万円 203 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0 . 0万円 377 . 4万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村