現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かつては直4もあったけどいまは全部直3! なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

ここから本文です

かつては直4もあったけどいまは全部直3! なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

掲載 52
かつては直4もあったけどいまは全部直3! なぜ軽自動車には「直6」「V6」「V8」などの多気筒エンジンがないのか?

 この記事をまとめると

■現在の軽自動車のエンジンは直列3気筒が主流になっている

3リッターっていわれても2996cc! 軽は660ccとかいいつつ658cc! なぜクルマのエンジン排気量は中途半端な数字なのか?

■6気筒エンジンなどで多気筒化をするとコスト上昇が見込まれる

■1気筒の数値が小さくなると低回転域で高出力を得にくくなり回すと燃費も悪化する

 軽自動車はなぜ4気筒までしか存在しない?

 現在、軽自動車のエンジンは、自動車メーカーの別を問わず、ほぼ直列3気筒に統一された。しかし、かつては直列(並列)2気筒や直列4気筒など、車種やメーカーによる違いがあった。

 一般に、上級車種になるとマルチシリンダーといって、多気筒エンジンが重宝される。その点、エンジン排気量が660ccと小さな軽自動車では、直列4気筒というのがマルチシリンダーといえなくもない。

 かつて、スバルR1やステラは、他社が直列3気筒化を進めるなか、直列4気筒を堅持し続けた。登録車では水平対向4気筒エンジンにこだわるスバルが、軽自動車においても多気筒であり続けることでクルマとしての上級さを保持しようとした表れだ。

 しかし、そこでスバル独自の軽自動車開発は終わりを告げた。現在はダイハツから供給を受け、自社銘柄として販売するので、結果的にエンジンは直列3気筒となっている。

 しかしなぜ、直列4気筒はもとより、6気筒や8気筒ではないのか?

 一例として、売れ筋ナンバー1であるホンダN-BOXのエンジン諸元を見ながら検証してみる。

 ボア×ストロークは60mm×77.6mmだ。これは、シリンダー内径(ピストン頭頂部の直径)が6cmで、ピストンが上下する行程(ストローク)が8cm弱であることを意味する。これにより、1気筒あたり219ccの排気量と計算でき、3気筒で657.89ccとなって、既定の660cc以内に収まっている。

 これでDOHC4バルブエンジンを作るとなると、吸排気バルブの傘径は2cm前後の小さな形になる。

 660ccの枠を超えず、4気筒や、さらに上の気筒数にすれば、シリンダー内径はもっと小さくなり、吸排気バルブの寸法もあわせて小さくなって、作るのに手間がかかる。それだけでなく、組み立てるにも部品点数が増える分、余計な時間を要し、それらはすべて原価の上昇につながる。

 性能面では、たとえば6気筒にしたら、1気筒分の排気量は3気筒の半分しかなくなり、1回の燃焼で得られる出力は小さくなる。そこで、発進や加速の出足が鈍くなる。なので、総排気量としては同じ660ccでも、回転を上げ6気筒を総動員しなければ力強さは得にくい。結果、運転者は余計にアクセルペダルを踏むことになり、燃費は悪化する。

 運転だけでなく、じつはエンジンが稼働する際に注目すべきが摩擦損失で、摩擦損失はエンジン効率(一例として燃費)に大きく影響を及ぼす。摩擦損失の割合は、使ったエネルギーの5~10%といわれる。数字に幅があるのは、気筒数や摩擦低減技術の採用如何などによる。

 気筒数が増えれば、バルブの数はもちろん、カムシャフトやクランクシャフトの摺動部が増え、そのぶん、摩擦損失の増加につながる。つまり、多気筒エンジンは燃費悪化の要因のひとつといえるのだ。

 燃焼や性能を考えたとき、自動車用エンジンは一般に、1気筒当たりの排気量は500cc前後が最適の上限といわれる。このため、排気量2リッターエンジンなら4気筒以上、3リッターエンジン以上では6気筒以上の排気量であることが望ましい。

 軽自動車には660cc(0.6リッター)という排気量の制約があるので、多気筒化するより、少ない気筒数で、適切なトルクと燃費の調和をはかることが、環境対応だけでなく、加速の快適さにもつながることになる。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

われらファンは一生乗り換えられんぞ! いまだにファンが泣いている「やめてほしくなかった」メーカーの技術&クルマ
われらファンは一生乗り換えられんぞ! いまだにファンが泣いている「やめてほしくなかった」メーカーの技術&クルマ
WEB CARTOP
ホンダが新たな「シビック タイプR」世界初公開へ! 究極のピュアスポーツカー目指した“黒仕様”「レーシング ブラックパッケージ」 オートサロン2025で披露し市販化へ!
ホンダが新たな「シビック タイプR」世界初公開へ! 究極のピュアスポーツカー目指した“黒仕様”「レーシング ブラックパッケージ」 オートサロン2025で披露し市販化へ!
くるまのニュース
シフトチェンジのたびに「プシュッ」っていうのがカッコよかったのよ! かつてターボ車で流行した「ブローオフバルブ」はドコいった?
シフトチェンジのたびに「プシュッ」っていうのがカッコよかったのよ! かつてターボ車で流行した「ブローオフバルブ」はドコいった?
WEB CARTOP
最初に許された全幅はたった1m! 思えば大きくなったもんだの「軽自動車規格」の歴史
最初に許された全幅はたった1m! 思えば大きくなったもんだの「軽自動車規格」の歴史
WEB CARTOP
「FR」「直6」「8速AT」と鳴り物入りで登場のになんで売れない? CX-60が販売不振に陥るワケ
「FR」「直6」「8速AT」と鳴り物入りで登場のになんで売れない? CX-60が販売不振に陥るワケ
WEB CARTOP
「冬はガソリンの減りが早い…」なぜなのか “何もしてないのに”ここまで燃費が悪くなる! 何したら良くなる?
「冬はガソリンの減りが早い…」なぜなのか “何もしてないのに”ここまで燃費が悪くなる! 何したら良くなる?
乗りものニュース
なぜ燃料電池車にトヨタはセダン、ホンダはSUVを選んだ? 公用車はセダンが推奨されていることと関係が…!?【Key’s note】
なぜ燃料電池車にトヨタはセダン、ホンダはSUVを選んだ? 公用車はセダンが推奨されていることと関係が…!?【Key’s note】
Auto Messe Web
スズキが激戦の「コンパクトSUV市場」に新型車投入! 全長4m以下&1.5Lの新型「フロンクス」がかなりイイ!? トヨタ・ホンダのライバル車とどう違う?
スズキが激戦の「コンパクトSUV市場」に新型車投入! 全長4m以下&1.5Lの新型「フロンクス」がかなりイイ!? トヨタ・ホンダのライバル車とどう違う?
くるまのニュース
巨大メーカーのフォードとVWが共に苦戦! 巷で言われる「BEVのつまづき」じゃない根深い原因とは?
巨大メーカーのフォードとVWが共に苦戦! 巷で言われる「BEVのつまづき」じゃない根深い原因とは?
WEB CARTOP
“クルマ”に貼ってある「謎のちょうちょマーク」意味知ってる? 意外と知らない「大事な意味」とは? 貼らないと違反の場合も…! 遭遇したらどうすれば?
“クルマ”に貼ってある「謎のちょうちょマーク」意味知ってる? 意外と知らない「大事な意味」とは? 貼らないと違反の場合も…! 遭遇したらどうすれば?
くるまのニュース
【比べるBMW】「i」が消える時、新たな時代が始まった。新型1シリーズとX3から見たBMW現在地
【比べるBMW】「i」が消える時、新たな時代が始まった。新型1シリーズとX3から見たBMW現在地
Webモーターマガジン
リヤもデカくすりゃより安心じゃない? なぜクルマのブレーキは後輪よりも前輪のほうが大きいのか
リヤもデカくすりゃより安心じゃない? なぜクルマのブレーキは後輪よりも前輪のほうが大きいのか
WEB CARTOP
愛知と三重の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか?
愛知と三重の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか?
Merkmal
時代を先取りしていたポルシェ。1900年の「電動ホイールハブモーター」
時代を先取りしていたポルシェ。1900年の「電動ホイールハブモーター」
LE VOLANT CARSMEET WEB
ジムニーとキャリイが合体した斬新「ジムニートラック」が凄い!  ジムニー採用のイエローが映える!? 福島県のクルマ屋が製作した個体とは
ジムニーとキャリイが合体した斬新「ジムニートラック」が凄い! ジムニー採用のイエローが映える!? 福島県のクルマ屋が製作した個体とは
くるまのニュース
タクシーが駐停車違反!  お客さんの指示でも反則金は運転手が払う? ~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.13】
タクシーが駐停車違反! お客さんの指示でも反則金は運転手が払う? ~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.13】
くるくら
2択アンケート「高性能なバイクといえば、ホンダ? スズキ?」【クルマら部 車論調査】
2択アンケート「高性能なバイクといえば、ホンダ? スズキ?」【クルマら部 車論調査】
レスポンス
ホンダ「スポーツ ヴィジョン グランツーリスモ」がスゴかった! 400馬力超え「直4VTEC」&900kg以下の“超軽量ボディ”採用!  “左右対称内装”の「“MR”スポーツカー」とは?
ホンダ「スポーツ ヴィジョン グランツーリスモ」がスゴかった! 400馬力超え「直4VTEC」&900kg以下の“超軽量ボディ”採用! “左右対称内装”の「“MR”スポーツカー」とは?
くるまのニュース

みんなのコメント

52件
  • Blue Moon
    バ◯ですか。
  • haz
    仮にコスト度外視してV8作っても低中速スカスカの超高回転型エンジンになる
    そんなエンジン積んだ軽作ったらバイクの250マルチじゃないけど18000回転とか回してF1みたいな音させながら走る楽し気な乗り物になっちゃうだろ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

169.0192.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0285.0万円

中古車を検索
N-BOXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

169.0192.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0285.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村