現在はSUVの全盛期、少し遡ればミニバンが爆発的に売れていた日本の自動車市場。90年代前半に力のあったミドルセダンは、2000年代に不遇の時代を迎えている。この厳しい時代に、トヨタは実力あるセダンを売り続け、現在のクラウンセダン復活まで漕ぎ着けた。トヨタのセダン復権なるか!?!?
文:佐々木 亘╱写真:トヨタ自動車
トヨタ新型高級セダン起爆剤なるか!? もしやカムリにマークXも続く? セダン復権の可能性アリかも
■才に溢れ彩を放つ! 和名のセダンは日本専用!!
手頃なサイズ感のハイブリット専売車だったSAI
2009年にプリウスに次ぐHEV専用車として登場したのがSAIだ。
小さな高級セダン「プログレ」の手法や技術を、2000年代の技術で再結集させたクルマとも言われている。
前後オーバーハングが短くおさめられ、セダンとしてはやや全高が高く、丸い塊感のあるデザインが特徴的だった。
室内は、セダンの伝統を残しつつも、近未来的な質感をプラスする。
少し高めのヒップポイントで、見晴らしのいい前席シートに座ると、セダンであることを少し忘れ、トールワゴンに乗っているような感じも受けた。
セダンの人気が下火になっている時代背景はあったが、HEV専用モデルということで、トヨタの全チャネルで取り扱われる。
クラウンやマークXといった、高級FRセダンを持つトヨタ・トヨペットチャネルでは、あまり人気が出なかったが、高級セダンをラインナップに持たなかったネッツ店では好意的に受け入れられ、販売を伸ばしていった。
維持費が安く室内空間(特に頭上)にも余裕がある、高級セダンの枠を破っていったSAI。2017年に販売終了となっているが、今でも古さは感じない良いクルマだ。
マイナーチェンジ後の車体でも、中古車販売価格は150万円を切ってくる。広くて燃費のいいセダンを探しているなら、今から乗っても遅くは無いぞ。
■FFセダンの王様! 王冠と肩を並べる冠
ナスカーのモデルとしてのイメージも強いカムリ
1980年のセリカカムリ誕生から実に10代にわたってトヨタのセダンを守り続けてきた大御所「カムリ」。
2000年代には7代目(2001年)、8代目(2006年)、9代目(2011年)、10代目(2017年)と、4度のフルモデルチェンジを行い、昨年惜しまれつつも国内販売を終了したのは記憶に新しい。
先に取り上げたSAIと駆動方式が同じFFであるが、ボディデザインは対照的にエンジンルームとトランクを際立たせた、伝統的な3ボックススタイルを維持している。
ルーフは低く、着座位置も低く、足元へ潜り込むようなスタイルで、スポーツセダンの要素も取り入れていた。
FRベースのクラウンに対して、FFベースのカムリは積雪路での利があり、北海道・東北・北陸・山陰などの雪の多い地域で選ばれる高級セダンになっていく。
カムリは国内最終形とも言える、10代目に乗ってほしい。
250万円前後の中古車価格帯になるが、在庫数が多く、気に入ったクルマを見つけられる可能性が高いと思う。
■下火になったセダンだがこれから人気が再燃するかも?
惜しまれながら生産を終えたマークX
トヨタのミドルセダンと言えばマークXも忘れてはいけない。2004年から販売を続け、スポーツセダンの王道を走り続けたクルマだ。
クラウンよりもドライバーズカーの要素が強く、オーナードライバーからの支持は根強かった。
スポーツコンバージョンモデルG’sやGRMNといった、本気のドライビングモデルが誕生しているのも、マークXの特徴である。
2017年のSAI、2020年にマークX、さらに2023年にカムリと、相次いでセダンの主軸車種の幕引きを図ったトヨタ。
ついにトヨタのセダンも終焉に向かうのかと思ったが、新型クラウンセダンが登場し、トヨタのセダンはまだ生き続けている。
SUVやミニバンのブームも一息つきそうな雰囲気もあり、クラウンセダンの登場からセダン人気に再び火が付くのではと感じることも。
海外で活躍を続けるカムリのような、中堅どころのセダンが、日本にはまた必要となるはずだ。
セダン復権はそう遠くない。熱量を下げずに、じっとその時を待っていよう。
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みんなのコメント
TNGAに小型FRを想定したプラットフォームが無い時点でアルテッツァやプログレも無いし。
スポーツ・ツーリングはそのままでも、セダン(アクシオ
じゃない方)については、日本では違う名前にした方が良い。
で、アクシオを真の「カローラのセダン」とする。
そうすればクラウンとアクシオの間が埋まる。