キーワードは、くうねるあそぶ。
バブル期を象徴する日本車と言えば色々な車種が存在するが、テレビCMと結びついて人々の記憶に強く残っているのは、日産の初代セフィーロ(A31型系)であろう。「くうねるあそぶ」のキャッチコピー、そしてCMキャラクター・井上陽水の発した「みなさんお元気ですか」のひとこと(さらにはそれが音消しされたバージョン)が相俟って、当時非常にインパクトの強いモデルであった。
全カーモデラー感謝必須の伝説の人物に、ついにスポットが当たる!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第4回
【画像36枚】美しく流麗に仕上がった前期型A31と、その制作過程を見る!
初代セフィーロは、トヨタのマークII三兄弟に対抗すべく、スカイライン/ローレルのもうひとつの兄弟車として誕生した。その登場は1988年9月のことで、C33型系ローレルより4ヶ月、R32型系スカイラインより8ヶ月早い発売であった。ポジションとしては、この世代からハードトップに一本化されたローレルの、それまでの4ドア・セダンがセフィーロに転じたものとも言えるが、ローレルのセダンがタクシーや教習車などに使われる営業車的色彩の濃いものであったのに対し、セフィーロはそれとは一線を画していた。
コンセプトは「『美しさ・遊び心』を大切にする知的なヤング・アダルトのためのパーソナル・セダン」。なかなかややこしい言葉だが、過剰な豪華さやゴリゴリのスポーティさとも違う、肩の力の抜けたカジュアルさを持ったセダンとでも言うべきであろうか。ボディはプレスドアを採用した4ドア・セダン一種のみで、そのスタイリングは柔らかさと流麗さを併せ持つ、6ライトのサイドビューが特徴である。
サスペンションはスカイライン(前後マルチリンク)と違ってリアのみマルチリンクで、フロントはストラット。この設計はローレルと共通だが、エンジンはRB型2Lの3種――ツインカムターボのRB20DET、ツインカムのRB20DE、シングルカムのRB20E――のみで、ローレルにあるようなCA18やRD28は設定されない。この3種のエンジンとサスペンション(HICAS-IIや電子制御システムDUET-SSの有無)、ミッション、内装素材、内装色、ボディカラーなどを自由に組み合わせられる”セフィーロ・コーディネーション”を採用したのも特筆すべき点である。
前述のように登場時には注目度も高く、新鮮な印象で迎えられたセフィーロであったが、やはり性格付けが明確でなかったためか販売的には伸び悩み、1990年8月のマイナーチェンジで早くも方向性を修正。標準車種の設定が行われたほか、4WDモデルも追加されている。外観を特徴づけていたプロジェクターヘッドランプの代わりに、角型ヘッドライトを装備したモデルも設定された。1992年5月には再度のマイチェンを実施、全モデル大型バンパーを装着して3ナンバー化しただけでなく、2.5Lモデル(RB25DE搭載)もシリーズに加わった。そして1994年8月のモデルチェンジで、二代目へと生まれ変わっている。
前期テールのパーツ追加で、戻し作業はひときわラクに!
初代セフィーロのプラモデルはアオシマの1/24スケール・モデルのみである。ここでお見せしているのもそのアオシマ製キットを制作したものだが、ただ作っただけではない。この作例は自動車模型専門誌「モデルカーズ」262号(2018年)に掲載されたものであるが、そのとき掲載された解説を以下、お読みいただこう。作例の作者・小田島氏による説明である。
「今回は1988年特集ということで、どんなクルマがあったのかと調べてみたところ、初代セフィーロのデビューがこの年だったと分かりましたので、こちらを制作することにしました。初代・前期モデルと言えば、個人的には『あぶない刑事』の『港306』が印象深いので、それをイメージしての制作です。
ただし、ご存じの方も少なくないと思いますが、アオシマのセフィーロは途中で金型が改修されて前期モデルから中期モデルへと変わっています。さらにその後、ミッションがATからMTへと変更されています。手元には前期型のキットもあったのですが、中期型のキットをベースに前期型へと改造してみることにしました。ワンダーのエアロキットが付属したキットには、前期モデルのテールレンズ/ガーニッシュが同封されていますので、一番やっかいなクリアパーツの改造が不要、ということも気持ちを後押ししました。
単純に前期モデルへ改造するならばフロント部分の改造だけなので、グリルの縦線を基準に左右のバランスを取れば初めてでもチャレンジしやすいかと思います。ちなみに前期モデルのパーツと比較したところ、件の前期テールは当時のものとは違い、新規で起こされた金型のようです。
今回は中期から前期への改造に加えて、ボディ後半部分の違和感を解消すべく手を入れてみました。もともと後輪ホイールアーチの小ささと形状の奇妙さが気になっていたのですが、実車図面と比較したところ、ホイールベースが3mm、さらにリアオーバーハングも4mm短いようです。これはR32スカイラインと同じシャシー(元々はR30のもの)を使っていることが影響している模様。
修正後のボディを見ると、『こんなに大きかったっけ?』と不安になりましたが、ほぼ同じボディサイズであるC33ローレル(フジミのもの)と比較したところ同じディメンションでしたので、昔から見慣れたアオシマのセフィーロのイメージが脳内にこびりついていたようです」
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