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ポルシェ911 GT3xGT3カップ 9割の類似性を確かめる 抜群のシャシーバランス 後編

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ポルシェ911 GT3xGT3カップ 9割の類似性を確かめる 抜群のシャシーバランス 後編

親しみやすいハードコアなコクピット環境

ポルシェ911 GT3カップのポリカーボネート製ウインドウ越しに見える、ハードコアなコクピット環境に圧倒される。余計な内装トリムは省かれている。

【画像】9割の類似性 ポルシェ911 GT3カップと911 GT3 GT3 RSとケイマン GT4 RSも 全108枚

しかし、軽いカーボンファイバー製のドアを開き、屈強そうなロールケージを乗り越えれば、親しみやすいことに感心する。空間は比較的広々としていて、ステアリングコラムは一般的なモデルのように調整が可能。

レーシングシートの高さは2段階に切り替えられる。公道用の992型ポルシェ911 GT3に近いドライビングポジションに収まることができた。

エアコンもちゃんと装備されている。取材日は最高気温が35℃もあったから、命の恩人だ。

いきなりGT3カップでドニントンパーク・サーキットのアスファルトを攻めるのは、流石にハードルが高すぎる。チームがお昼休みを取っている間に、コースレイアウトの確認を兼ねてGT3で事前に走ることにした。2周だけだが。

今回は僅かな時間だったとはいえ、筆者は1週間前にもポルシェ911でグレートブリテン島の中東部、ノース・ヨークシャーまでロングドライブを体験している。それ以外にも何度か乗り込んでいるから、すぐに感覚を掴むことはできた。

フロントがダブルウイッシュボーン式になったサスペンションの恩恵もあり、コーナーへのターンインは極めて鋭く、ステアリングホイールへ伝わるフィードバックは鮮明。タイヤとアスファルトとの関係性を明瞭に感知できる。

クルマとの深い信頼関係を築ける

ペースを速めていっても、シャシーはひたすら安定性を保つ。そしてGT3最大の美点といえるのが、速度域を問わず素晴らしく調整しろが広く、クルマと深い信頼関係を築けること。つまり、レーシングカーとしても大きな強みといえる。

その事実は、GT3カップへ乗り換えてすぐに体感できた。お昼休みが終わると、レーシングシートへ筆者の身体が固定され、ピットレーンのシグナルがグリーンに切り替わった。

GT3カップには、ABSもトラクションコントロールも備わらない。チームのメカニックは、タイヤやオイルなどすべての温度が上昇するまで、4・5周は様子を見ながら走るべきだと教えてくれた。それを心に留めながら、自分とシャシーの準備運動をこなす。

筆者はシングルシーターのフォーミュラカーでサーキットを走っていた経験もあり、冷えた状態では反応が過敏で扱いにくいと想像していた。ところが、GT3カップは公道用のGT3に遠からず、打ち解けやすい。

水平対向エンジンには公道で乗り慣れたフィーリングが伴い、太いトルクがリニアに湧き出てくる。温まりきらないタイヤでも、早めにパワーオンしていける。フロントタイヤの感触はソリッドで、ブレーキングゾーンを徐々に詰められる。ABSが備わらなくても。

数周を走った辺りで、フェラーリ488チャレンジ GT3 エボへ追いつき、2台を追い越すこともできた。ドニントンパークのストレートでは、GT3カップの方がトップスピードは上のようだ。

両者に共通する見事なシャシーバランス

ターボチャージャーで過給される公道用のフェラーリ488は、GT3を軽く凌駕する能力を備えている。しかし、GT3カップは鋭くシフトアップするシーケンシャルMTと、150kgもの軽量化で武装している。スピードの伸びが違っても当然だろう。

さらにGT3カップの真価を確認できるのが、アクセルペダル全開とまではいえない高速コーナー。コーナリング時の特性は、公道用のGT3へ似ている。だが、侵入速度や脱出速度は遥かに高い。

特に第4コーナーのオールドヘアピンや、第5・6コーナーのスターキーズブリッジで、速度差は大きいようだった。フロントタイヤを完全に制御下へ置いたまま、赤と白に塗られた縁石に乗り上げながらハイスピードで攻め込める。

チームドライバーの、アダム・スモーリー氏ほど速くはないにしても。

GT3カップを貸してくれたダッカムズ・ユアサ・チームは、懐が広い。充分な1回目のスティントの後、もう1度、短時間ながらコースインさせてくれた。

タイヤが摩耗し始めグリップ力が落ちたことで、公道用のGT3との結びつきをさらに体験することができた。GT3カップの方が限界領域は遥かに高く、違いは小さくないものの、ポルシェGT部門の主張は大げさではないようだ。

アマチュアレベルのドライバーでも、過度に恐れることなく能力を追求していくことを許す、抜群のシャシーバランスでは共通している。それが一般道でもサーキットでも、出色のドライビング体験を与えてくれる911 GT3の核心なのだと思う。

ポルシェ911 GT3とポルシェ911 GT3カップ 2台のスペック

ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)のスペック

英国価格:13万5700ポンド(約2239万円)
全長:4573mm
全幅:1852mm
全高:1279mm
最高速度:318km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:7.7km/L
CO2排出量:294g/km
車両重量:1435kg
パワートレイン:水平対向6気筒3996cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/8400rpm
最大トルク:47.8kg-m/6100rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
タイヤ:255/35 ZR20 97Y(フロント)/315/30 ZR21 105Y(リア)

ポルシェ911 GT3カップ(カレラカップGB仕様)のスペック

英国価格:20万ポンド(約3300万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:273km/h以上
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1260kg
パワートレイン:水平対向6気筒3996cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/8400rpm
最大トルク:47.8kg-m/6150rpm
ギアボックス:6速シーケンシャル・マニュアル
タイヤ:300/65 ZR18(フロント)/310/71 ZR18(リア)

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