マツダ最後のロータリーエンジンとなるのか
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
マツダRX-8は、英国で販売された最後のロータリーエンジン車だ。マツダは長所を活かし、ハイブリッド用パワートレインとしてロータリーエンジンの採用を検討しているようだが、復活は叶うだろうか。
フレンドリーな外観を持つ4シーターのスポーツカーには、1.3Lという小さな排気量のユニットが載っている。クラスをリードする動的性能を誇り、世界の走りを重視するクルマ好きから支持された。
改良を受けたロータリーエンジンは、9500rpmでレッドラインが切られている。しかもマツダRX-8の車重は1400kgを切っていた。
前後重量配分はほぼ50:50で、リアヒンジのフリースタイル・ドアと呼ばれる補助的なリアドアを装備。クーペのボディには、いま見ても稀有なパッケージングが与えられている。当時のマツダは、クワッド・クーペと呼んでいた。
RX-8が発表されたのは2003年。英国では192psのエントリーグレードと、231psのトップグレードの2種類が選べた。日本も含め、多くの市場ではATも選択できたが、英国に入ってきたRX-8はすべてMTだった。
2008年にマイナーチェンジを受け、スタイリングを手直し。サスペンションは引き締められ、加速の向上を図るために、トランスミッションはショートレシオのものへ変わっている。
何事も終わりは来るもので、RX-8は欧州の厳しい排出ガス規制をクリアできず、2010年に英国での販売を中止。2012年には広島での生産も終了してしまった。
しっかりした知識と整備が不可欠
今のところRX-8は、日産350Zや4代目トヨタ・スープラ並みの、カルト的な日本車ブームのステータスを得ていない。夏休みをマヨルカ島で過ごす費用より安く、充分に楽しめる中古車を英国では手に入れることができる。
ただし、やはり安いクルマほど注意は必要。特にRX-8では当てはまる。
ロータリーエンジンの維持には、状態が良くてもそれなりの費用が必要。ガソリンタンクの中身は、穴が空いているかのように燃えてなくなる。エンジンオイルの消費も少なくない。すべて、ヴァンケル・ユニットの特徴でもある。
マツダも、RX-8は1600km毎に250ccのエンジンオイルを消費することを認めている。推奨されている整備タイミング以上に、手間をかける必要がある。
一見状態の良いRX-8が安価に売られている理由は、エンジンのローターが時間とともに摩耗するため。混合気が隣の燃焼室内へ流れてしまい、圧縮比が下がり効率も下がる。パフォーマンスも低下し、最終的には故障に至る。
ちゃんとした売り手は、中古車として店先に並べる前にローターの圧縮をテストすることが多い。健全なRX-8かを調べる方法といえ、通常のレシプロ・エンジンでは行わないものだ。その結果に、売り手自ら落胆するかもしれないが。
一般的に、遅くても9万6000km毎には、エンジンの重点的なサービスが必要といわれている。走行距離と整備記録や明細の内容を確認して、ちゃんと試乗をしてから、現状では最後のロータリーエンジンを手に入れたい。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
ロータリーエンジンは、ピストン運動をするエンジンより、はるかに構造はシンプル。だが、致命的な故障をきたす場合もある。
気温やエンジンの温まり具合に関係なく、始動は2秒以内が理想。加速中のパワー感にフラットな回転域がないか、異音がないか注意する。圧縮テストも忘れずにしたい。
サスペンション
アンチロールバーのリンクの状態を確かめる。交換は比較的安くできる。リアエンドが不自然に下がっている場合、スプリングが腐食して折れている証拠。
初期のクルマは、フロント・ロアアームの不具合でリコールが出ている。
ステアリング
ユニバーサルジョイントが劣化すると、ステアリングホイールにコツコツと振動が出る。パワーステアリングの違和感は、ホース周りからセンサー上に垂れるクーラント液が原因の場合がある。腐食などが酷くなければ、クリーニングで直ることも多い。
ブレーキ
あまり不具合は起きない。長期間放置されていたクルマは、ピストンキャリパーの固着や、ブレーキディスクのサビに気をつけたい。
ブレーキの交換部品は手に入りやすく、交換費用もさほど高くはない。
ボディ
特に初期のRX-8は錆びる。2006年以前のクルマでサビのないものは珍しい。後付けのボディキットで錆びている部分が隠れている場合もある。ホイールアーチ内を触れて、腐食具合を確かめたい。
荷室のフロアやサブフレームも錆びやすい場所。
電気系統
あまり心配は不要。クーラント液センサーの不具合でも、ダッシュボード上の警告灯が付く。イグニッションコイルが交換されていない場合、新品へ交換しておきたい。
ちなみに、初期のRX-8のシートヒーターは、サイドサポートのみだった。
専門家の意見を聞いてみる
アイミー・ブラッドリー ロータリー・レブズ代表
「マツダRX-8は、高い評価を得てきたのにも関わらず、問題児的な見られ方もされてきました。エンジンの不具合や燃費の悪さ、ランニングコストの高さが原因です。RX-8に興味を持った人がいても、結果的に諦めるケースが多い理由ですね」
「もちろん、すべてのRX-8が悪いクルマ、というわけではありません。どこに注意するべきか、ある程度の知識さえあれば、バーゲンプライスでロータリーエンジンを楽しむことができるでしょう」
知っておくべきこと
ロータリーエンジン・ファンの間では、ステーショナリーギヤ・ベアリングの不具合が知られている。その場合、エンジン自体のリビルトが必要。
低回転域で油圧が低下すると生じやすく、潤滑が適切でないことが原因。内蔵された診断プログラムは、致命的な障害に至るまで警告を出してくれない。
もしエンジンが始動時にコツコツという音を伴い、アイドリングが不安定で、高回転域でも異音が出るようなら、専門ショップへ相談した方が良いだろう。
いくら払うべき?
1000ポンド(13万円)~1999ポンド(25万円)
英国の場合、ディーラーで下取りされたクルマが中心。整備記録の確認は忘れずに。
2000ポンド(26万円)~3499ポンド(45万円)
走行距離が短く、圧縮比も良好な231psのRX-8。
3500ポンド(46万円)~4999ポンド(65万円)
かなり手の加わったフェイスリフト前のRX-8。レアな40周年アニバーサリーモデルなども英国では見つかった。
5000ポンド(66万円)~7000ポンド(93万円)
手入れの行き届いた、フェイスリフト後のクルマが中心。整備記録の内容も安心できることが多く、走行距離も8万km以下となる。
英国で掘り出し物を発見
マツダRX-8 登録:2009年 走行:11万7400km 価格:4495ポンド(59万円)
フェイスリフト後の、見た目の良いRX-8。走行距離は11万kmを超えているが、しっかり整備はされている様子。販売店は全体的なメンテナンスを済ませ、圧縮テストもしているというから、安心材料にはなる。
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