ゼネラルモーターズ(GM)のスポーツカーレース・プログラム・マネージャーを務めるローラ・ウォントロップ・クラウザーは、GM傘下のキャデラックがWEC世界耐久選手権のフルシーズンプログラムを実施する理由を述べ、その決定はヨーロッパやその他の地域でのブランドの成長アピールするためだという。
アメリカの高級車メーカーは、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)とアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)というふたつの強豪チームとともに、2023年から『キャデラックLMDh-V.R』でWECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でのデュアルプログラムを実施する予定だ。
キャデラック、LMDhの2022年春ロールアウトを目指す。リヤウイングは「規則上必要」/IMSA
現在までにキャデラックから正式発表はないものの、この両チームが北米スポーツカーシリーズに参戦し、CGRが追加のWECフルシーズンプログラムを担当すると考えられている。
GMのクラウザーはSportscar365に対し、「私たちはモータースポーツ・プログラムからできるだけ多くの露出を引き出したいと考えています。そのためにIMSAのフルシーズンに加え、完全なWECシーズンを利用するつもりです」と語った。
「キャデラックは市場を拡大させようとしていますが、WECはこれまでにない方法で私たちのクルマを紹介する、非常に興味深い方法だと思います」
「キャデラック・レーシングはこれまで同ブランドの市場の大部分を占めるアメリカでのみ、また最近のカテゴリーで活躍してきただけです。グローバルな展開を考えれば、人々に露出を与えるための何か裏付けるものを持っていることは、つねに素晴らしいことです」
クラウザーによると現在のWECスケジュールでは、日本を除くすべての地域がキャデラックのマーケットであり、その大半の地域でブランド・シナジーが得られるという。
「キャデラックの最大の市場はアメリカと中国であり、これは多くの自動車ブランドにかなり当てはまると思います」と彼女は語った。
「(代表的なモデルに)現在、欧州で販売している『XT4』がありますが、そこには成長する可能性があると思います」
「ヨーロッパでレースを行うことは理にかなっています。日本での状況は分かりませんが、中東では『エスカレード』の人気が高いです。ですから(カレンダーに)バーレーンが入っているの良いことだと思います」
彼女は、WECへの参加がル・マン24時間レースの参加を保証するだけでなく「より多くのトラックタイム」を確保することにつながり、あらゆる条件や状況に対応したクルマの開発が可能になると述べた。
「それによって、より多くのデータが得られます」とクラウザー。
「私たちエンジニアはデータが大好きなのです。クルマをさまざまな状況にさらして何かを学び、その学習をさまざまな状況に対して応用できれば、プログラム全体の役に立ちます」
■ダラーラとの提携継続はプログラムを「良い場所」に置く
クラウザーは、ともに北米スポーツカーシリーズのチャンピオンシップを獲得したDPiプログラムのパートナーであるダラーラとの提携関係を継続することで、来たるLMDh時代に向けて確固たるポジションを築くことができると語った。
キャデラックに先んじてLMDhプログラムを発表したポルシェとアウディの両方マルチマチック社と協力体制を築いたのに対し、アメリカのブランドはダラーラとの関係を継続した。なお、イタリアの名コンストラクターはBMWともシャシー供給のパートナーシップを結んでいる。
「すでに確立されているものをベースにする場合は、いつでもいい状態にあります」と彼女は述べた。
「最初からやり直す必要はありません。また、全員の名前を覚えたり、一緒に仕事をする方法を新たに見つける必要もないのです」
「私たちはダラーラとそのような関係を築いてきましたし、DPiプログラムでの彼らとの関係に満足しています。そららがLMDhプログラムでもダラーラとの関係を継続したいと考えた主な理由のひとつです」
「優位性があると考えることもできますが、白紙状態からやり直すのではなく今の状態を継続することで、私や私たちと一緒に仕事をする人たちの業務が簡単になるのは確かです」
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