記念すべき第1回のジャパンモビリティショー2023で、四輪二輪合わせて13台ものワールドプレミアをズラリと並べたスズキ。そのなかで特に注目のモデルにスポットを当てて、開発現場のリアルな声を聞いてみた。
スズキブースのステージ上での主役は、BEV(電気自動車)の2台。ホワイト&シルバーのボディに蛍光イエローのアクセントが映える、ちょっとチョップドルーフ風の小型なコンセプトカーはワールドプレミアの「eWX」だ。察しのつく通り、軽自動車規格のBEVである。
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■eWXのデザインモチーフは+とー
2030年までにBEVのラインアップ化を進めると公言しているスズキだが、そのなかには当然軽自動車も含まれている。「今回eWXには、軽自動車規格のBEVプラットフォームを製作していると知ってもらうための意味も込めています。2030年までには販売するとアナウンスしていますので、そこに向けて開発は進んでいます」。と、eWX開発担当の箕輪多香子氏は話してくれた。
しかし、その一方でシャシーのスペック系は一切公開されていない。「モーター搭載位置や駆動方式などは、まだお話できないんです。できることは230kmほどの航続距離を確保しているバッテリーが、床下に搭載していることくらいです」。まだまだ公表できる情報は少ないようだ。
しかし、次期型のラパンともハスラーともとれるようなデザインだが、eWXのデザインを担当した竹口久志呂氏は、特に何かの後継とは考えていない模様。「スズキらしい親しみやすさを、できる限りシンプルに表現しました。例えるなら、子供が描きやすいようなシンプルさです。今のところ市販前提ではなく、あくまでコンセプトですね」。
ちなみにチョップドルーフ風のデザインに関しては「床下バッテリーでどうしても高く見えてしまう背の高さを、低く見せるためです」と解説してくれた。
シンプルさのなかにBEVらしさを表現するため、バッテリーの+とーをモチーフにした形をアクセントにしている。よく見れば、クルマの外も中も+とーだらけだ。
「ホイールや外装のアクセントにも取り入れていますが、内装にはもっと多く見つかると思いますよ」。確かにセンターコンソールのスイッチ溝や、一枚パネルのメーターだけでなく、あらゆるところに+とーがある。全体的にシンプルに仕上がっていることもあり、ほどよいアクセントになっている。
「内装には、デジタルとアナログの融合というテーマも設けています。例えば、大型のダイヤル式シフトスイッチや、センタークラスターの丸いボタンなど物理スイッチを多くしていますが、アナログの使いやすさを感じてもらうためです。タッチパネル式にはないスイッチ感を大事にしました」。細部までこだわりが感じられるデザインといえるだろう。このままコンセプトモデルだけにしてしまうのは、もったいないと思えるくらい完成されたデザインと感じた。
■MOQBA、一見ヘンテコな形だが!?
そして、スズキが発表した13車種のワールドプレミアには、パーソナルモビリティが含まれていることも忘れてはならない。ステージにずらりと並んだ次世代のモビリティは、どれも完成度の高いものばかり。この中でひと際目を引くのが、バイクのように跨って乗る「MOQBA(モクバ)」だ。少し車体は大きく見えるが、どうやらこのモクバ、段差などを乗り越えて動けるらしい。
「開発の発想は、階段を登ることがキッカケでした。次世代の4脚モビリティです」と、モクバ開発担当の宮坂智海氏は話してくれた。ついにスズキのエンジニアから、4輪ではなく4脚というワードが出てくるとは……。
「左右の脚部サイドフレームとセンターモジュールは、それぞれ独立して稼働します。この3つの構成をつないでいるメインシャフトで回転するように動きますので、センターモジュールはつねに水平をキープできます」。
階段だろうが段差だろうが、上り下り悪路関係なしに水平をキープしてくれるのだから、スゴい技術だ。一見ヘンテコな形をしているモビリティだが、どんな人に向けて作ったものかもたずねてみた。すると、「ターゲットはすべての人たちですね」と宮坂氏は言い切った。
この時点で筆者は言葉の意味を理解できなかった。しかし、センターモジュールがこのサドルタイプだけではないということを聞いてから、すべての話がつながった。
「センターは別の形状に交換できるようにしています。腰掛けるチェアのタイプや、寝て移動できるベッドタイプ、あとはフロント側に立ち乗りするスタンドタイプも想定しています」。
なるほど、そうなると需要は無限に広がっていく。「チェア型にすればエレベーターいらずの車椅子になりますし、ベッド型は担架などで運用できますので、例えば災害時の瓦礫の上も進めるようになります。スタンドタイプは、宅配便や農作業、ゴミの回収など業務用にも転用できると考えています」。
■バッテリー位置にもこだわったデザイン
なるほど、これはあらゆるニーズに対応できる。まさに新世代の乗り物だ。そして、話はデザインや大きさに及んでいく。
「ほかのパーソナルモビリティに比べると少々大きめですが、左右の脚部の間に人が入れる横幅を基準にしたからです。将来的にはもう少しコンパクトなものや、小型軽量化も進めていく予定です」と宮坂氏は語る。さらには、脚部が前後に広がり、車体が下がる機能も備えている。「4脚ならではの機能ですが、車体全体を下げることによって乗降性をよくしています。あとは、前だけとか後ろだけとかどちらかだけを上げ下げすることもできます」。そう話した直後に、モクバはお辞儀するように前部だけを下げた。おもしろい機能だ。
駆動用バッテリーの位置はデザイン担当の伊達正泰氏が説明してくれた。「センターモジュールのフロント部に差し込むような形です。こうすることでバッテリーの交換が簡単にできるようにしています」。充電ではなく交換式を選択しているのも、次世代モビリティならではだ。「バイクでいうエンジン部にバッテリーを置くことで低重心化にも貢献しています」。交換しやすいだけではなく、低重心化にも寄与している最適な場所といえるだろう。
モクバが上下に動くデモを見ながら、最後に宮坂氏にたずねてみた。このパーソナルモビリティは、4輪と2輪どちらの開発陣が受け持っているのかと。すると、意外な回答が得られた。「もちろん出身はいろいろありますけど、開発はそういった垣根なしにやっています。4輪も2輪も関係なしです」。これは、4輪2輪だけでなく船舶などスズキのさまざまな技術が、すべて生かされているということ。電動パーソナルモビリティ市場を本気で取りにきている、スズキの強い意志を感じた。
電動キックボードのナンバー取得化が発端となり、パーソナル型の小型車両が公道を走れるようになった。これからは、電動パーソナルモビリティがどんどん増えていくことになるだろう。そんな少し先の未来を、今回スズキが見せてくれた。無限の可能性を残しているこのカテゴリーは、今後注目を浴びていくことになるだろう。
<写真と文=青山朋弘>
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