最悪の場合エンジンブローすることも……サーキット走行のオーバーヒート対策
オーバーヒートといえば夏に起きる定番のトラブルで、それ以外の季節は無頓着という人も意外と多くいる。しかし真冬はともかく、春や秋だって暖かいを通り越して暑い日はあるし、車種やチューニングの度合いによってはノーマルの冷却系じゃキャパ不足で、マトモに走行できなかったりエンジンを壊してしまう危険性があるのだ。そんな悲惨な事態を招かないためにも、冷却系の強化は涼しいうちに済ませよう。
「無意識のクセ」が故障の原因に! MT車乗りが「やってはいけない」サーキットでの操作
オーバーヒート対策01:【基本編】クーラントの量をチェックする
とはいえ何から手を付けるのが正解なのか。過剰に冷やしすぎてオーバークールになっては本末転倒だし、誰だってコストを安く済ませるに越したことはないはずだ。そこで最初にチェックして欲しいのはクーラントが規定の量を満たしているか。警告灯が点くレベルじゃなくとも減っている可能性はあり、当然ながら少なければ少ないほど水温は上昇しやすくなる。同時にクーラント自体の汚れやラジエータキャップの劣化も確認、問題があるようなら純正でも構わないので交換するのが先決と考えたい。
オーバーヒート対策02:【応用編】高性能クーラントへの交換
コレで冷却系は少なくとも正常になった。次はどれくらいの強化が必要か判断するため、水温計や油温計といった追加メーターが欲しい。結果的に冷却系のキャパが足りなければ、いよいよチューニングパーツの出番となる。まずスポーツ走行用のクーラントで純正より交換サイクルは短いものの、冷却能力は段違いでコレだけでオーバーヒート対策は十分だったという声も。ただし水温が上がりにくいせいで冬には向かない製品もあるので、住んでいる地域やクルマの使い道をよく考えて選んでほしい。
オーバーヒート対策03:【応用編】高性能ラジエータキャップ&ローテンプサーモスタットへの交換
続いてはラジエータキャップ。クーラントが沸騰しないようラジエータ内に圧力をかけるアイテムで、ノーマルの開弁圧が0.9~1.1kgf/cm3なのに対し、社外品は1.3kgf/cm3前後だ。次に試したいのはローテンプサーモスタット。エンジンとラジエータの間にある水門のようなパーツで、水温が低いときは弁を閉じてエンジン内だけでクーラントを循環させ、高温になると弁が開きラジエータを含めて循環させ冷却能力を高める。アフターパーツは弁の開く温度が純正より低く設定され、流量が増えるタイプもあるので自分に合った商品を選ぼう。
オーバーヒート対策04:【上級者編】大容量ラジエータへの交換
ココまでやっても足りなければ最終手段、ラジエータ本体の容量アップとなる。材質はアルミまたは銅がスタンダードで、サーキット仕様では軽量なアルミ製が人気。コアの厚みも2層や3層から選ぶことができるが、厚くなればなるほど本体の重量が増えるのに加え、クーラントの量が増えて重くなるのを忘れずに。とくにラジエータは車体の最前方にレイアウトされることが多く、運動性能に大きく関わるオーバーハングの重量増は避けたいところだ。
【まとめ】適度なクーリングラップを取ることも重要なオーバーヒート対策になる
以上が機械的な部分でのオーバーヒート対策。もっとも予算の問題で冷却系の強化が不十分なままだったり、サーキットを走って初めてキャパ不足に気付くケースもあるはず。そんなときは適度にクーリングラップを挟むなど、走り方を工夫してオーバーヒートを防ごう。レースじゃない限りいつどんなタイミングで休憩しても問題ないし、ドライバーの体力や集中力を考えてもつねに全開はリスクが大きすぎる。お金はかからないうえブレーキや人間にも優しい、最高のオーバーヒート対策かも?
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