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新型アウディA1に見る「今っぽさ」とは。山田弘樹が味わう最新アウディの足さばき

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新型アウディA1に見る「今っぽさ」とは。山田弘樹が味わう最新アウディの足さばき

Audi A1 Sportback

アウディ A1 スポーツバック

新型アウディA1に見る「今っぽさ」とは。山田弘樹が味わう最新アウディの足さばき

ダース・ベイダーを思わせるエッジーなマスク

日本導入前に新型アウディA1の写真を見たとき、瞬間的に「カッコいい!」と感じた。コンパクトなボディいっぱいに拡がるライトとオクタゴングリル。そして、どうして付いているのかはわからないけれどフェラーリGTOのようなエアインテーク。

もとい、これはアウディ伝説のラリーカーである「スポーツクワトロ」のオマージュだそうである。確かに言われてみればなるほどだし、新型R8も同じような顔をしていた。ただクワトロスポーツはボンネットにインテークがあり、A1は“眉間”にあるから間違えてしまった。

ともあれここ数年アウディはエッジを効かせた“ダース・ベイダー フェイス”がデザイントレンドだが、このA1やRS 4/RS 5といった塊感をエネルギッシュに表現するモデルに関しては、それが成功しているように思う。逆にA6やA8などには、もう少しドレスコードを表現できたらよいと感じている。

実際に対面したA1は、写真に負けないくらいイケメンだった。ライトの目尻からフェンダーへと伸びたラインの鋭さ。ドアに入った二本のキャラクターラインは、真横からの姿を細身に見せることに成功している。

1.0リッター直列3気筒は「おあずけ」

今回試乗したのはA1 Sportback「35 TFSI S line」と、250台の限定車である「1st Edition(ファースト エディション)」の2台。

黒いグリルとのコントラストが若々しい、オプションカラーのパイソンイエローをまとっているのはファースト エディショで、日本導入記念モデルらしくナビゲーションやACCを始めとした安全装備(アシスタンスパッケージ)、17インチホイールやコントラストルーフ&サイドシルといったドレスアップ装備、リヤビューカメラやシートヒーターといった便利・快適装備(コンビニエンスパッケージ)、バーチャルコクピット付きの「MMIナビゲーションパッケージ」を備える。

対してまんまダース・ベイダーと言える漆黒(ミストブラック メタリック)の35 TFSIは、S lineとして17インチホイールとスポーティな内外装、そして少し硬めな足まわりでアウディの定石通りに己をアピールしている。

どちらもベースとなるのは1.5リッター直噴ターボエンジン(最高出力150ps/最大トルク250Nm)を搭載した35 TFSIで、7速のSトロニックを介して前輪を駆動する。日本導入モデルとしてはこの他に1.0リッター直列3気筒ターボの「25 TFSI」(欧州仕様値:最高出力95ps/最大トルク175Nm)を来年予定しており、2.0リッター直噴ターボ搭載モデルである「40 TFSI」については残念ながら決まっていないという。

3ドアは中止、5ドアのみの設定へ

8年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたアウディの末っ子。その最も大きな特徴は、3ドアモデルが廃止され5ドアのみとなったことだろう。その上で室内空間がさらに拡大された。

先代A1は3ドアの極めて小さなボディにアウディの技術を詰め込んだパッケージングが「小さな高級車」然としていて最高に小粋だった。確かに荷物と人を沢山飲み込むことはできないが、たった1.0リッターしかない3気筒エンジンは軽いボディをよく走らせ、1.4 TFSIともなればパーソナルシティコミューターとしては文句なしだった。

しかし本国でさえ3ドアモデルを廃止したということは、実用する人々のニーズがそこにはなかったのだろう。だから3ドアモデルが中古市場でそこそこ距離を走っていても高値を維持しているのは皮肉にも面白い。

よく出来たリヤシートの空間づくり

3サイズは末尾のスペックを参照して欲しいが、ボディは先代比で全長が55mm伸ばされた。その中で最もウェイトを置いたのは居住空間であり、ホイールベースはなんと95mmも拡大された。つまり前後のオーバーハングは先代よりも削られたことになるわけだ。

実際に後席へ座ってみると確かにヘッドクリアランスと肩周りに圧迫感がなく、「小型車ながらよくできている」という言葉が自然と口を衝く。よく言われる膝周りは決して広々とはしていないが、フロントシートのシートバックがくぼんだ設計となっており、見事に大人が座れるスペースを確保している。また後席シートバックが直立ではなく適度に傾斜しているのもいい。

ちなみにラゲッジルームは335リットルとなり、先代より65リットルも拡大されている。というよりも、先代が小さかったのだと思う。

クールビューティな先進コクピット

対して前席は、小さいながらも妥協なくアウディのクオリティを受け継いでいる。水平基調かつ立体的なインパネの造形は血の通わない感じが美しく、デジタライズされたバーチャルコクピットと10.1インチモニターがバチッとはまる。

ヘッドライトの選択が従来のダイヤル式ではなくボタン式となったのも、小さなことだが近未来的な変化だ。ほとんどの状態をオートモードで過ごすのなら、確かにダイヤルはいらない。それがコストダウンというよりは合理化の末と思えるのも、アウディが持つ説得力である。すぐに気がつく不満があるとすれば、相変わらず右ハンドル仕様なのに走行モード切り替えのスイッチが左側にあることくらいだ。

1.5リッターターボは“実直”なユニット

まず最初にステアリングを握ったのはS line。

その第一印象は、CMのイメージそのままで、とても“今っぽい”乗り味だと感じた。1.5リッターのターボエンジンは非常にバランスがいい。今回はワインディングでの試乗だったが、街中を想定したパーシャルスロットルでもターボの過給が実用トルクを過不足なく生み、転がり抵抗の少ないタイヤ及び駆動系との連携でグーッと坂道を上っていく。

7速Sトロニックは乾式クラッチながらつながりに断続感やショックがまったく感じられず、むしろデュアルクラッチの存在感が薄らいでいるとさえ思えた。クラッチミートの制御がこれまでよりもソフトになったのだろうか? とはいえ変速スピードは相変わらず素速い。ただS lineであれば、パドルシフトの装備は欲しいところだ。

シリンダー・オン・デマンド(COD:気筒休止)に関しては、今回の舞台がワインディングだったこともあり実感することはできなかった。インジケーターの作動で目視はできるものの、2気筒分は回っているためコースティングするエンジンよりは実感しがたい。ちなみに燃費は、WLTC総合モードで15.6km/Lだという。

そしてアクセルを踏み込むほどに、パワーが漲っていく。決して速さを売りにするエンジンではないが、乗り手が求めれば実直に応えるユニットだ。よって腕の立つドライバーならば、これで十分な速さだと判断すると思う。

今っぽく颯爽とした乗り方こそふさわしい

エンジンが実直なら、一体何が今っぽいのか? それはハンドリングだ。

まず足まわりはタイヤとスプリングの剛性感が高く、ハンドルを切るとスーッと抵抗感なく曲がっていく。タイヤは変形する感じがほとんどなく、ロールもあまり許さない。

硬めの足まわりに対してダンパーは初期減衰力を緩めているから、突き上げ感はうまくいなされている。入力が大きく入ったときだけ、フォルクスワーゲングループ由来のMQB(横置きモジュール)が持つ独特な共鳴振動を感じさせられるが、全体的にポロよりも上質な乗り味だ。

ここに1.5 TFSIの加速が加わると、かなりキビキビした走りが可能となる。もう少し初期ダンピングを上げてどっしりとした直進安定性を持たせてもよいと思うが、そこは本国にある2.0 TFSIが受け持つキャラクターか? 可変ダンパーがないので基本的なロールスピードは変わらないが、ダイナミックモードを選べばEPS(電動パワーステアリング)の座りも少し良くなる。

タイヤに荷重を乗せてグッとグリップを上げて・・・という暑苦しい乗り方をするよりは、オンザレールで颯爽と走らせる感じだ。しかも結構速く走れる。

走りの楽しさを安全に教えてくれる

ベーシックグレードに装備を充実させたファースト エディションは、S lineに比べて少しマイルドな乗り心地だ。とはいえ基本的なロールは少ないから、これがA1の基本コンセプトなのだろう。

サスペンションがソフトな分だけ直進安定性はさらに低くなる。高速域では操舵レスポンスが少し過敏だが、これは街中を気持ち良く走ることに主眼を置いたせいだろう。その分リヤサスペンションの剛性が高く、全体の操縦安定性をバランスさせている。簡単に言うと、ハンドルを切ればスイスイ曲がるクルマになっている。乗り心地も若干S lineよりいい。

個人的にはリヤのサスペンション剛性もフロントに合わせ、四肢を伸ばしながら走る方がナチュラルだと思うが、それは筆者がA1の狙うターゲット層と少しずれているからだと思う。経験は浅くともクイックなハンドリングに順応できる若い世代が、安全に走りの楽しさを覚えていく。また、腕力が小さな女性にも操舵時に運転しやすさを感じ取ってもらえる。新型となったA1は、そんな風に仕上がっていると感じた。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

アウディ A1 スポーツバック 35 TFSI S line/A1 スポーツバック ファースト エディション

ボディサイズ:全長4045 全幅1740 全高1435mm

ホイールベース:2560mm

車両重量:1220kg

エンジン:直列4気筒DOHC インタークーラー付ターボ

総排気量:1497cc

圧縮比:10.5

最高出力:110kW(150ps)/5000–6000rpm

最大トルク:250Nm/1500–3500rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トレーリングアーム

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤサイズ:前後215/45R17

燃料消費率(WLTCモード):15.6km/L

車両本体価格(税込):391万円(ファースト エディションは443万円)

【問い合わせ】

アウディ コミュニケーション センター

TEL 0120-598-106

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