この記事をまとめると
■EVモーターズジャパンが大阪メトロへBEV路線バス100台を納車することを発表
路線バス運転手の悲鳴! 正直ヤメてほしい一般ドライバーの行動6選
■2025年の大阪・関西万博にて来場者輸送などで活用される予定だ
■「万博で中国系BEVバスが活躍している」と捉えられかねないのも事実
大阪・関西万博でEVモーターズジャパンのBEV路線バスが使われる
2023年6月15日株式会社EVモーターズジャパンが大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)へ、7月下旬からBEV(バッテリー電気自動車)路線バス100台を納車する予定であることを発表した。納車されるBEV路線バスは2025年に開催される大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)での来場者輸送などで活用される予定とのことである。
EVモーターズジャパンの車両は、BEVバスのキーデバイス部分の多くで日本製を採用するものの、現状では中国メーカーへ車両生産を委託している。ちなみに2023年秋には国内に自社組み立て工場が完成し、その後は国内で車両組み立てが行われる予定となっている。
2010年に中国・上海市において上海万博(上海国際博覧会)が開催された。筆者も取材で2回会場を訪れたのだが、広大な会場内の移動手段としてBEVシャトルバスが走っていた。車両は上海汽車グループの申沃客車(サンウインバス)製車両となっていた。単なるリチウムイオン電池を搭載した車両だけではなく、バス停に停車する1分ほどの時間で充電を繰り返すキャパシタバスも走っていて驚いたのを覚えている。
日本が初めて出展した万博は江戸時代末期1867年に開催された、「第2回パリ万博」となっている。さまざまな国がパビリオンを設ける万博では、おもに出展各国が自国を紹介する内容となっており、けっして開催国が自国産業を自慢するようなものではないが、1970年に開催された大阪万博では、日本の各企業館を中心に当時の日本における最新技術が惜しみなく展示された。その大阪万博会場内では、来場者移動や資材運搬で地元ダイハツ製のBEV(バッテリー電気自動車)が活躍した。上海万博では地元上海汽車、そして1970年の大阪万博では地元ダイハツが最新の移動車両を供給していたのである。
※写真はベースになった3代目ハイゼット
海外メーカーの協力なしではBEVバスの普及は進まない
ダイハツのEVは、大阪万博開催が50年ほど前ということもありゴルフカートレベルであったので、今回のEVモーターズジャパンの車両とは比較にはならない。ただキーデバイスの多くに日本製パーツが採用されており、車両生産を中国メーカーに委託しているとはいえ、「日系BEVバス」ともいえるのだが、中国サイドから見れば現状は中国生産ということもあり、『万博で中国系BEVバスが活躍』と捉えられかねないのも真実であろう。
老舗日系バスメーカー製BEVバスを走らせようにも、最近では日野が三菱ふそうと経営統合されるなど、それどころではない様子がうかがえる。全部を日本製で構成する『日の丸BEVバス』などは、開発期間や生産コストなど現実的なことを考えればほぼ実現不可能にも見えてしまう。つまり中国メーカーのみならず、海外ですでにBEVバスをラインアップしているメーカーとの協力なくしては日本国内でのBEVバスの本格普及はなかなか進まないものと筆者は考えている。
前述したとおり、13年前の上海万博ではキャパシタバスまでが走っていた。本来なら世界的にも自動車立国として有名な日本で開催される万博なのだから、すでに国内で営業運行されている純国産FCEV(燃料電池)バスが、いの一番で万博会場などで活躍しますと報じられてもおかしくないのだが……。乗用車も含め、BEV分野では少なくとも市販レベルでは出遅れ感が否めない状況ではそれは欲張りな話なのだろうか。自動車だけでなく今度の万博で日本政府及び日本企業が何を見せてくれるのか、果たして世界をあっと驚かせるものを見せることができるのか、おおいに期待したいところだが、どこか不安な気持ちにもなっている。
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日本の技術は優れているといつまでも思っている国民が眼を覚ます万博なら意味があるだろう。
世界が日本より進んでいる事を実感する万博になる。