9月29日、イタリアのムジェロ・サーキットでELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第5戦の4時間レースが行われ、アイアン・リンクス・プロトンの9号車オレカ07・ギブソン(ヨナス・リード/マセオ・カピエット/マッテオ・カイローリ)が優勝を果たした。
LMGT3クラスでは、ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ296 GT3(木村武史/エステバン・マッソン/ダニエル・セラ)が、前戦スパ・フランコルシャンに続いて今季2勝目を挙げている。
夏休みに師匠から得たノウハウと自信。若手ドライバーに伝えたいメンタル力【宮田莉朋“三刀流“コラムLAP 8】
■アイアン・デイムスが周回遅れをプッシュし大事故に
LMP2、LMP2プロ/アマ、LMP3、LMGT3という4クラスで争われている2024年のELMSは、全6戦中の5レース目を迎えた。舞台はイタリア中部のトスカーナ州に位置するムジェロ。1周5.245kmでアップダウンに富むこのコースは、ELMS初開催となる。
予選ではカイローリが、パニス・レーシングの65号車を退けポール・ポジションを獲得。レースでは4番手スタートのインターユーロポル・コンペティション34号車が、ゴールドドライバーのクレメン・ノバラクをスタートドライバーに投入し、周囲が定石どおりシルバーでレースを開始するなか、序盤にトップに立ちリードを拡大していった。
しかし、アルガルベ・プロ・レーシング(APR)の25号車、アイアン・リンクス・プロトン、パニス・レーシングが第2スティントを短縮し、2回目のセーフティカーによるピットストップ中にインターユーロポルを逆転する。
さらに9号車のカピエットは、リスタートの際にAPR25号車をオーバーテイクし、2時間経過を前に首位を奪った。
この直後にLMP2プロ/アマクラス首位のAFコルセ83号車をドライブするアレッシオ・ロベラが、濱口弘の63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2(アイアン・リンクス)と接触、2台がグラベルに埋まったことでまたしてもセーフティカー導入に。ロベラには、ドライブスルーペナルティが科せられた。
マルテ・ヤコブセンがアタックを担当した宮田莉朋組クール・レーシング37号車は、7番グリッドからロレンツォ・フルクサがスタートを担当。宮田に交代したあとの2時間終了時点では、4番手にまで順位を上げていた。
残り1時間48分で迎えたリスタートでは、直後にまたしても事故が発生。周回遅れが入り乱れるLMGT3の混戦のなか、ホームストレート走行中の60号車ポルシェ911 GT3 R(プロトン・コンペティション)が、背後にいたリードラップの85号車ポルシェ(アイアン・デイムス)にテールをプッシュされる形となり、右側のウォールへと大クラッシュ。広範囲にデブリが散乱したこともあり、セーフティカーが導入されたのち、赤旗でレース中断となった。
なお、60号車のクラウディオ・スキアボーニは自力でマシンから降りており、一方85号車のラヘル・フレイには後にドライブスルー相当となる30秒のタイムペナルティが科せられた。
ここでレースコントロールはレース終了時刻を20分延長することを決定。再開後のレース残り時間は1時間30分となり、各車のギャップがなくなるなか、アイアン・リンクス・プロトンの9号車、インター・ユーロポル34号車、パニス・レーシング65号車、クール・レーシング37号車、APR25号車という順でリスタートを迎えた。
宮田の37号車は右フロントを接触により破損させたか、みるみるうちに順位を失っていくと、10番手にまでポジションを落としてしまった。
さらに波乱は続き、LMP3車両のコースオフによりVSC(バーチャル・セーフティカー)が導入。このスピード制限開始の際には、アイアン・デイムス85号車が59号車アストンマーティンのリヤにヒットする場面もあった。
終盤、首位を走る9号車はカイローリへとドライバーチェンジを行い、アイアン・リンクス・プロトンにとっての初優勝を確実なものに。最後は後続に6.5秒のギャップで、フィニッシュラインへと逃げ切った。
APR25号車は、最終ピットストップでパニス・レーシング65号車をアンダーカットして2位に。65号車のシャルル・ミレッシは残り14分というところでインターユーロポルの34号車にオーバーテイクを許し、表彰台を失う結果となった。
日本勢は、宮田組の37号車がクラス9位、佐藤万璃音組のユナイテッド・オートスポーツ22号車はクラス11位でフィニッシュしている。
■残り6分でセラが値千金のオーバーテイク
LMP2プロ/アマクラスは、リシャール・ミル・バイ・TDSの28号車オレカが優勝。LMP3クラスは、チーム・ヴィラージュの8号車リジェJS P320・ニッサンが制した。
LMGT3では、レース終盤にフェラーリのファクトリードライバー、セラのオーバーテイクもあり、ケッセル・レーシング57号車フェラーリが2戦連続のクラス優勝を果たした。
セラは残り6分、ロルカン・ハナフィンのドライブするグリッド・モータースポーツ・バイ・TFの97号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3をターン1でパス、カーガイカラーのフェラーリを逆転優勝へと導いた。
2位の97号車アストンマーティンは、今季初表彰台。3位には、フォーミュラ・レーシングの50号車フェラーリが続いた。
アイアン・デイムスの85号車ポルシェは、当初5位でチェッカーを受けたものの、前述の30秒のタイムペナルティが科せられた結果、7位へとポジションダウン。接触もあった濱口組の63号車ランボルギーニはクラス9位となっている。
ELMSの2024年最終戦となる第6戦は10月19日、ポルトガル南部のポルティマオで行われる。
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