ともにWRCを戦うヒョンデとトヨタがラリージャパンを前に韓国でHyundai N×TOYOTA GAZOO Racing フェスティバルを開催した。ヒョンデのチョン・ウィソン会長と豊田章男会長が意気投合して誕生したとてつもなく熱い「歴史的イベント」は、韓国と日本、ヒョンデとトヨタの未来志向の関係のきっかけになるはずだ
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
チョン・ウィソン会長と豊田章男会長が意気投合! ヒョンデとトヨタがタッグを組み、まさかの歴史的イベント開催
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■豊田章男会長がチョン会長を乗せ豪快にドリフト
豊田章男会長がヤリスWRCにチョン会長を乗せ、ドリフトを披露
世界の販売台数ではトヨタが1位、ヒョンデは6位だがグループ会社のキアを加えると世界3位となる。そんな巨大な自動車会社同士が手を握って行ったファンイベントは韓国内で大きな注目を集め、取材にかけつけたメディアは300人以上、3000枚のチケットは瞬時に完売という人気ぶりだった。
ゲストドライバーもヒョンデからWRCのドライバーランキングでトップを走るヌービルのほかソルドとミケルセンが参加、トヨタは勝田貴元とラトバラチーム監督、そして勝田範彦という豪華な顔ぶれが揃った。
この話の発端はヒョンデのチョン・ウィソン会長が今年初頭、トヨタを訪れたことに始まる。トヨタ博物館などの視察が目的だったが、お互い創業家の3代目という立場であり、忌憚のない会話をするうちに今回のイベントの話が盛り上がったという。
特に「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」という豊田章男会長の想いにチョン会長が共感。豊田章男会長も「モビリティの未来をしっかりと考えていらっしゃることや、競争も大事だけれど、協調するところは協調しようという姿勢には共感を覚えます」とチョン会長を評している。
今回のイベントはヒョンデのチョン・ウィソン会長と豊田章男会長が意気投合し誕生した
そんな二人の想いが重なりあい、韓国のエバーランドスピードウェイでHyundai N×TOYOTA GAZOO Racing フェスティバルが開催された。
オープニングでステージに立った豊田章男会長は「サランヘヨ!(韓国語で愛していますという意味)」と挨拶し、場内を盛り上げたあと、
「このようなイベントが開催されることは夢のようです。トヨタとHyundaiが一緒に手を取り合って、より良い社会、そしてモビリティの未来をつくっていきたいと思います」と語った。
それを受けてチョン会長はこう挨拶した。
「Hyundaiの高性能ブランド「N」を通じて、すべてのクルマファンの皆様に感動をお届けし、満足していただけるよう尽力しています。より多くの方々にドライビングの愉しさを味わえるよう、トヨタと共にモータースポーツでも前進し続けます。今年初めに豊田章男会長とお会いした際、私たちはモータースポーツに対する共通の情熱を見出し、その結果としてこのイベントを開催できたことをたいへんうれしく思います。豊田会長は自動車業界で私が深く尊敬する方であり、本日ここで一緒にいられることを光栄に思います」
二人の会長の挨拶は互いをリスペクトし、国を超えてともに自動車産業とモータースポーツを盛り上げていこうという姿勢がうかがえるものだった。
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■GRヤリス ラリー1もi20 Nラリー1もドリフトに次ぐドリフト
Hyundai i20 Nラリー1も猛烈な白煙を出しながらデモラン
イベントは豊田章男会長がチョン会長をヤリスWRCに乗せ、デモランをするところからスタート。チョン会長も豊田章男会長に刺激されてか、ドリフトの練習をしているというが、今回は「お手本」を見せた形で会場はものすごい歓声に包まれる。
豊田章男会長は日本や海外で開始されるGRフェスティバルに数多く参加しているが、今回も「韓国のファンの皆様に笑顔になってほしい」と全力投球。
これに刺激されたのか、勝田貴元選手や勝田範彦選手、ラトバラ監督、ヒョンデのヌービル選手、ソルド選手、ミケルセン選手が両社のWRC参戦車両や自在に操るドリフトパフォーマンスを見せる。
さらには一般のお客さんを隣に乗せ、120%の限界ドリフト。車内映像が大型ビジョンに映し出されると場内の熱狂指数はMAXに!
フィナーレは両社のラリードライバーが先導しパレードラン
最後はラリーマシンを先頭にHyundai NとGRのユーザーが愛車をドライブしパレードラン。これは一生ものの思い出だろう。
大成功に終わった今回のファンイベントだが、今後両社の関係はどう進むのだろうか? 何も決まっていないというが、大きく動きそうなのがFCVの開発や水素エネルギーの活用だ。
ヒョンデはFCVに熱心で、NEXO(ネッソ)を日本に導入している。カーボンニュートラルに向けトヨタも水素エネルギーの活用という点でヒョンデと想いを共有し、お互い距離を縮めるはずだ。FCVの普及には法整備や規格面などさまざまな課題があることを両社は認識していて、情報共有を始めているはずだ。
お互いがライバルであることを認めつつ、「対立ではなく協調すべきところは協調を!」
という両会長の考えは、世界の自動車産業を動かすかもしれない。
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