現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【国内試乗】最新のGT3はまさに究極の911だった!「ポルシェ911GT3」

ここから本文です

【国内試乗】最新のGT3はまさに究極の911だった!「ポルシェ911GT3」

掲載 更新 30
【国内試乗】最新のGT3はまさに究極の911だった!「ポルシェ911GT3」

996ベースの初代から数えて7世代目となる最新のGT3が日本に上陸した。新開発のスポーツサスペンション、高効率エアロダイナミクスをはじめとするほぼすべてのディティールにモータースポーツで培った技術を投入。まさに公道を走れるレーシングカーといった仕上がりとなっている!

レーシングテクノロジーをロードカーに

【国内試乗】フェイスリフトにより中身も装いも新しくなった! 新型「BMW X4」に試乗

モータースポーツ直系という言葉はもはや常套句のようになっているが、このクルマに関して言えば、それは100%ガチだ。ついに上陸した最新型ポルシェ911GT3は、実戦で鍛えた技術とノウハウによってパフォーマンスを大幅に向上させた、まさに〝ウェポン〞である。

1999年、タイプ996の時代に登場した初代911GT3は、ほぼ安全装備などを追加しただけのスペックでポルシェ カレラカップに使われる、サーキットとダイレクトに結びついたモデルだった。通算7世代目となる新型もまた、レースの現場で鍛えられた技術がふんだんに導入されている。

一番のトピックはダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションの採用だ。長年、それこそ911のデビュー以来使い続けられてきたストラット式に代わってついに使われたこの新しいサスペンションは、911ではル・マン24時間でクラス優勝を果たしたRSRで初めて使われ、続いて最新のGT3カップにも装備されている。これがロードカーにも、いよいよ展開されたのである。

そしてエアロダイナミクス。大きな開口部を持つフロントバンパーのデザインは、まさしく最新型)11RSRを彷彿とさせるものだ。ここから取り込まれた空気はブレーキとラジエターに振り分けられ、さらにラジエーター後方からフロントリッドに開けられたエアアウトレットに向けて排出されてフロントの揚力低減を実現する。
911RSRもそうだったのだが、事前に写真を見ている限りでは、ちょっとのっぺりとした感じに見えて微妙かもしれない……とも思っていた。しかしながら実車はひたすらに精悍で、やはり実戦で鍛えたデザインは違うなと感服した次第だ。

スワンネック型マウントを採用したリアウイングも、911RSR由来のデザインである。ウイング下面を通る空気の流れを乱すことがないため、ここでも効果的にダウンフォースを獲得できる。また、リアビューでは大型のフィンを持つディフューザーの存在も目をひくところである。
軽量化も徹底された。フロントリッドはCFRP製とされ、ブレーキディスク、ホイール、エキゾーストシステム、すべてのウインドーガラスは重量をさらに軽減。バッテリーも軽量タイプとされた。

結果として車両重量はPDK仕様で1435kgと、先代の5kg増に留まっている。全長がわずかに伸び、フロント20/リア21インチのより幅広いタイヤを履くなどといったことを考えれば、優秀と言っていいだろう。試乗車のCFRP製ルーフはオプション。重心高低下に大きく寄与するアイテムだ。

そして忘れてはならないのがエンジンである。タイプ991後期型から搭載されている水平対向6気筒4L自然吸気ユニットは、911RSRや911GT3カップのエンジンと基本骨格を共用するレーシングエンジン。新型では最高出力が10㎰増の510psに、最大トルクも10Nm上乗せされて470Nmに達している。トランスミッションは6速MTと7速PDKで当然、後輪駆動である。

最高レベルにあるパワートレイン

いよいよ室内へ。オプションのフルバケットシートに身体を収めると、PDKのシフトレバーがカレラ系とは異なる専用品となっていることに気づく。マニュアル変速はパドルだけでなく、こちらのレバーでも可能だ。アナログ回転計以外はTFTモニターとなっているメーターには、表示を走りに関係する項目のみに限定するトラックモードが用意される。




PDKをDレンジに入れて走り出すと、その進化はコーナーをひとつ曲がるだけで、即座に実感できた。操舵と同時に間髪入れず、しかも正確にノーズが反応してスパッと向きが変わる。ギア比だけ高めたような強引な挙動ではなく、目線を向けた方にクルマが切れ込んでいくようなダイレクトな旋回感覚は、これまで911では経験したことがないものだ。
この辺りは、まさしくダブルウィッシュボーン式のキャンバー剛性の高さ、横力を受けないダンパーのスムーズな動きといったメリットが100%反映されているのだろう。もちろん、先代から採用されているリアアクスルステアリングも、その曲がる感覚には大いに貢献している。

正直に言うと、先代ではこの後輪操舵、サーキットではよく曲がり、かつ安定したコーナリングへの寄与度が大きい一方で、一般道ではややリアから曲がる感じが強過ぎるようにも感じていた。しかしながら新型は、フロントのポテンシャルが大幅に高められたことで、トータルで一段上のレベルのシャシー性能を実現したと言えそうである。
パワートレインも、やはり刺激性は最高レベルにある。試乗の前に懸念していたのは、実はそのサウンド。厳しくなる騒音規制への対応で、迫力がスポイルされてしまいそうだという話が内外から聞こえてきていたのだが、いざ対面してみれば高回転型自然吸気フラットシックスの咆哮、存分に楽しむことができた。
最高出力510ps、最大トルク470Nmという数値自体は、今やさほど特筆すべきものではないかもしれないが、その最高出力を発生するのは8400rpm、そしてレヴリミッターが介入するのは9000rpmという設定である。こんなエンジン、今や世界中を見渡しても、そうそうない。

排気量の余裕で低回転域でもむずがることはないが、やはり本領を発揮するのは中~高回転域だ。単にスムーズに回るというだけでなく、回転上昇に応じて表情を移ろわせながら、回転数が高まるほどに爆発力を増すようにパワーを炸裂させていくフィーリングは、本当に堪らないものがある。ただし、2速でもトップエンドまで回せば制限速度を超えそうなほどなので、楽しむのはクローズドコースでということになるのがストレスが溜まるところかもしれない。
7速PDKとのマッチングにも非の打ち所はない。変速は速くて正確で、何より切れ味が鋭い。ダウンシフトだけでも快感だ。とは言え、6速MTのダイレクトな対話感も依然として捨て難いのは事実。こちらもいずれ試してみたい。
歴代911GT3には毎回、その走りに驚かされ、驚喜してきたが、今回の進化はその歴史の中でももっとも大きなものかもしれない。あるいは911というクルマ自体の新しい扉が開かれたようなハンドリングには圧倒され、そして感動すらしてしまった。
価格はまたも上昇したが、買える買えないはさておき、このパフォーマンスなら納得するしかない。取り巻く環境がこんな風だからこそ、その価値が一層際立つ、新しい911GT3の登場である。

【SPECIFICATION】ポルシェ 911 GT3
■車両本体価格(税込)=22,960,000円
■全長×全幅×全高=4573×1852×1279mm
■ホイールベース=2457mm
■トレッド=(前)1601、(後)1553mm
■車両重量=1435kg
■エンジン形式/種類=-/水平対向6DOHC24V
■総排気量=3996cc
■エンジン最高出力=510ps/8400rpm
■エンジン最大トルク=470Nm(47.9kg-m)/6100rpm
■燃料タンク容量=65L(プレミアム)
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=(前)Wウイッシュボーン/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前後)Vディスク
■タイヤ(ホイール)=(前)255/35 ZR 20(9.5J)、(後ろ)315/30 ZR 21(12J)
公式ページ https://www.porsche.com/japan/jp/models/911/911-gt3-models/911-gt3/

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
くるまのニュース
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
くるまのニュース
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
カー・アンド・ドライバー
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
ベストカーWeb
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
ベストカーWeb
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
Merkmal
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
ベストカーWeb
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
ベストカーWeb
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ベストカーWeb
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
ベストカーWeb
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ベストカーWeb
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web

みんなのコメント

30件
  • 911の経営陣はRRをネガと捉えてクセを消したいのかわからないけど、世代が変わるたびにボディが大きくなっていくのはどうなんだろう?!

    そもそもRRってネガかな?!私はRRの乗り味を楽しみたいから911を購入した。 
    992よりほんの少し小さいボディで、この大きさに不満はなく気に入っているが、空冷の横に並ぶと大きいと思ってしまう。
  • ターボS乗りだが
    車に疎い嫁いわく
    カレラ、ターボ、GT3の違いが全くわからないと
    言われて興味ない人にはそんなもんかなと考えさせられた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索
911の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村