8月13日、タイで開催されているAXCRアジアクロスカントリーラリー2024は競技二日目に入った。4台の『ミツビシ・トライトン』で同ラリーの総合優勝を目指すチーム三菱ラリーアートは、田口勝彦/保井隆宏組107号車がこの日行われたSS2で3番手タイムを刻み、総合7番手から4番手へとポジションアップを果たした。
前日に3番手につけたチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組103号車は総合3番手の順位をキープ。130号車を駆るサクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ組は総合14番手、小出一登/千葉栄二組137号車は総合32番手でレグ2を終えている。
トヨタGRの塙郁夫がコース短縮のレグ2を制し総合首位に。ミツビシの田口勝彦は4番手に浮上/AXCR
11日(日)にタイ南部のスラタニで開幕したラリーは12日(月)は同地を起点とするループステージが行われたが、13日(火)は約550km離れたホアヒンへ移動する一日に。この移動距離は今大会最長だ。
その一方でタイムアタックが行われるスペシャルステージ(SS)は171.67kmから75.19kmへと改められた。このステージ短縮は洪水の影響でSSの後半区間がキャンセルされたもので、参加者には前日の夜に伝えられている。
そんなSS2はいくつかの集落を通過しながら山間部のプランテーションを駆け抜けていく道が舞台に。同ステージでは森林の似たような景色のなかではミスコースをするクルーが後を絶たず、上位陣の順位にも影響を与えた。
田口のポジションアップはその一例だ。107号車トライトンを駆る日本人ペアはミスコースを喫しながらも1時間24分52秒でステージを走破し、ライバルのトヨタ・フォーチュナー、いすゞD-MAXに続くステージ3番手タイムを記録。総合でも3つ順位を上げ4番手につけた。
「今日は良いタイムで走り切れたと思います。ただ2カ所くらい道に迷ったところがあって、そのうち1カ所でかなりタイムロスをしてしまいました」と二日目の戦いを振り返った田口。
「走りはまだベストとは言えない」と続けた田口は、改良されたトライトンがさらなるポテンシャルを秘めていることを示唆する。
「コースがプランテーションの中に入ってクネクネした道になっているので、ナビゲーションが難しいです。クルマ的には、まだまだ行けるのですが、スピードを出すとミスコースにつながってしまいます。まだトライトンの性能を100パーセント出すことができていませんが、昨年より確実にストレートスピードが速いですし、ギャップの走破性や疲れ方も全然違います。いい道で、コンビネーションが良くなってきたら、もっともっと実力を出せると思います」
競技初日のレグ1を総合3番手で終えたヨーターは、1時間27分26秒でステージ10番手タイムとなるも総合3番手のポジションを守った。一方、前日5番手のハーントラクーンは遅れを取り14番手にポジションダウン。AXCR初参戦の小出もミスコースなどで1時間ほどタイムを失い大きくポジションを下げることとなったが、“クイックサポート”としてチームを支える役割も担うため「完走第一」を目標に慎重な走りを継続している。
「ここまでチーム全体としては順調に来ていると思います」と語るのは、チーム三菱ラリーアートを率いる増岡浩総監督だ。「田口選手とチャヤポン(ヨーター)選手もいいところにつけていますし、ひとつチャンスがあればひっくり返せるタイム差です」
「サクチャイ(ハーントラクーン)選手はミスコースで遅れてしまいましたが、他のチームも含めてナビゲーターが苦しんでいますね。ロードブックとのすり合わせが難しいようで、ペースを上げたくても、上げられない状態です。ストレスのかかる状態ですが、それもラリーですから。選手もクルマもうまくバランスが取れないとこのラリーは勝てません。小出選手もミスコースがありましたが、何事も経験が重要です。これから中盤戦に入りますが、とにかく最後までチーム一丸となって、しっかり選手たちをサポートしていきます」
14日(水)のレグ3はラリーのヘッドクォーター(HQ)が置かれるホアヒンのホテルを出発し、同地に戻ってくるループステージが設定されている。ステージ前半ではパイナップルやマンゴーといった南国フルーツを育てる農園内の道を使い、後半では集落内を通過するセクション、プランブリダム湖の脇を走るセクションなどAXCRらしい風景の中を走行予定だ。SSの距離は168.23kmでラリー前半パートでは最長のステージとなる。
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