欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した注目モデル
ドイツ勢とは反対に、ステランティスは小柄な車種から本格的に電動化を進めている。電動化とは縁遠そうなイメージのあったジープからも、ついに初の完全BEVが送り出された。ジープとしては約2年ぶりのニューモデルで、ラインアップで最小のサイズとなる。
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内容的には同門のフィアット600eとの共通性が高いが、ひとめでジープとわかる伝統のスタイリングだけでなく、走りにおいてもオフロード走行を意識した差別化が図られている。
ジェリ缶をモチーフとしたという「X」のリアシグネチャーライトや「X-camo」が随所に配されているほか、シンプルで機能的なつくりのインテリアも含め内外装のいろいろな場所にジープ独自のアイコンが隠されているのも楽しい。
走りは軽やかで、いたって乗りやすい。スムーズに加速し、ステアリングをはじめすべての操作系が軽く、動きが素直で乗り心地も硬さを感じさせない。
全長が4mあまりで全幅も1.8mを切っている取り回しがよく、狭い道でも臆することなく走れる。ややリニアでないブレーキフィールがもう少し自然になるとなおありがたい。
フロア下に搭載されたバッテリーの容量は54kWhと大きくなく、モーター出力も156psと控えめながら、日常的によく使う速度域では十分なレスポンスとトルクが確保されていてストレスを感じることはない。小柄で軽量な強みにより一充電航続距離は486kmに達している。
エネルギーフローの表示は凝ったものではないもののシンプルでわかりやすい。ドラムマシンのようなウインカー音も面白い。10.25インチの大型タッチパネルを備えたインフォテイメントシステムはスマホとの連携が強化されていて、アプリを駆使して車両を遠隔操作することもできる。
コンパクトなサイズながらスクエアな車体形状により車内はファーストカーとしても使える広さが確保されている。エントリーモデルながら日本に導入されたのは装備の充実した上級グレードなので、運転席にアクティブランバーサポート機能の付くパワーレザーシートや、足の動きで開けられるハンズフリーパワーリフトゲートが標準で装備される。荷室容量は355Lと十分だ。
後席も広くはないものの頭上に余裕があり、不満のない居住空間は確保されている。だからこそできれば後席向けのエアコン送風口がぜひ欲しかったところだ。
また、一般的にSUVはサイドシル下端までドアで覆われるようになってきたが、床下にバッテリーをめいっぱい積んだからか、アベンジャーはそうなっていない旨を一応記しておこう。
オフロード性能については、前輪駆動でありながら凍結路や砂地などに対応する計6つもの走行モードを備えた「セレクレテイン」と呼ぶトラクションコントロールとヒルディセントコントロールが標準装備されるのも特徴だ。
バッテリーはオフロード走行に備えてスキッドプレートにより保護されており、前後の車体形状がアプローチやデバーチャーアングルを意識したものであるあたりも、ジープの一員であることを物語っている。
先進運転支援機能も充実していて、任意の位置を維持できるレーンポジションアシストという機能まである。
2022年末に発売された欧州ではCOTYを受賞したほか、日本導入発表時点ですでに受注が10万台を超えたという。
日本でもこのサイズのジープ車というだけでそれなりに目を引きそうだが、価格に割高感を覚えるのが正直なところ。それでも国からのCEV補助金は65万円あることを念を押しておこう。
また、BEVに抵抗があるとか4WDを求める人に向けたモデルも、ゆくゆく用意されるらしい情報もあるのでご期待されたし。
【SPECIFICATION】ジープ・アベンジャー
■車両本体価格(税込)=5,800,000円
■全長×全幅×全高=4105×1775×1595mm
■ホイールベース=2560mm
■トレッド=前:1535mm、後:1525mm
■車両重量=1580kg
■モーター形式/種類=-/交流同期電動機
■モーター最高出力=156ps(115kW)/4070-7500rpm
■モーター最大トルク=270Nm(27.5kg-m)/500-4060rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=54kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=486km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ=前:215/55R18、後:215/55R18
問い合わせ先=ステランティスジャパン TEL:0120-712-812
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