ゴキゲンな走りの源泉はVR30DDTT型。足回りも絶品
最新Zの注目ポイントは、まずはエンジンである。スカイライン400Rに「独占搭載」されてきた、ツインターボ付き3リッター・V型6気筒DOHC24V(405ps/475Nm)を搭載する。日常シーンの扱いやすさにフォーカスしたパワーユニットが幅を利かせる中、このVR30DDTT型は回転が高まるほどに威勢のよさを増すという、最近では珍しいほどのスポーツ心臓だ。
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新しいZで味わえるゴキゲンな走りの感覚は、MTで乗ってもATで乗ってもこのエンジンに由来しているという印象が強い。とくに新開発9速ユニットが与えられ、滑らかかつ息の長い加速を享受出来るATとの組み合わせは魅力的。新しいZの動力性能は抜群である。
アップテンポなコーナリングシーンでも積極的にアクセルペダルを踏んでいく気になる接地感の高さにも感心した。歴史あるFRレイアウトが踏襲され、後2輪駆動に留まるにもかかわらず、である。テストドライブ時が、曇天ながらも完全なドライ状況であったという幸運も、そんな印象にプラスをもたらしていることは間違いない。
とはいえ、「これほど接地感が高いのなら、多少雨がパラついて来ても、即座に危うい状況になるような心配はないだろうナ」と、そう推測をさせてくれる印象であったことも確か。
荒れた路面に差し掛かっても、多少のアンジュレーションに遭遇をしても、後輪は凹凸に良く追従し、簡単には駆動の伝達力を失うようなことがなかった。新型の足回りは信頼できる。
さまざまな電子デバイスの助けも入ってくるとはいえ、1輪あたり200psを超えるパワーと240Nm近いトルクを受け持ちつつ、それをまずまず涼しい顔で受け止めてくれる実力に、「今度のZはホンモノだ」という印象を強くした。
世の中の動きを追ってみれば、ターボチャージングが図られてパワー以上にトルク値が急増したモデルの場合、4WDシャシーを選択するという図式が当たり前のようになっている。しかし、そうなればトラクション能力は確実に増大できる一方で、車両重量が一気に増す。結果的に身軽なハンドリング感覚は失われ、新しいZが標榜する「ダンスパートナー」というキャラクターとも乖離をしたであろうことは容易に想像できる。
現状ではパワーとシャシーのバランスが「これ以上は無理」というポイントに近いのかもしれない。が、それがいい意味で「緊張感のある走りのテイスト」を生み出しているようにも受け取れる。
新型Zでちょっと惜しいのはそのサウンド。電子的エンハンサーが採用されたMT仕様のSTグレードでは、なかなかダイナミックな音色が耳に届いた。だが、そうしたギミックを持たないAT仕様のベースグレードは、ボリューム的にも音質的にも何とも物足りないものに留まったのだ。
従来型と比べれば改善著しいものの、まだ過大なエンジン振動が伝わるMTの操作感や、遠くパッセンジャーシート側にオフセットされたレバーを、鉛直方向に引き上げなければならないパーキングブレーキの操作性も、一級品とは受け取り難い。
しかし、それもこれもいまの時代に、リアルスポーツをローンチしてくれたことに比べれば、些細な事柄。新型Zは、日本が世界に誇れる1台である。
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みんなのコメント
Zは生粋のスポーツカーとして、そのパワーを楽しめるシャシーでしょうから、たまにサーキットに持ち込んでストレートで全開パワーを楽しむという乗り方もいいかもしれませんね。