新型プリウスに用意される3タイプのパワートレーン。価格差と性能差、装備の充実度などを総合的に判断すれば、どれを選ぶのがもっとも賢い選択なのか!?
※本稿は2023年6月のものです
文/鈴木直也、渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、ベストカー編集部、撮影/平野学
初出:『ベストカー』2023年7月10日号
KINTO専用1.8Lが燃費最強!? 新型プリウスの悩める3種パワートレーンはどれがベストなの?
■アレコレ考えてみるよりも走りゃ分かるでしょ!
前から1.8U、2LハイブリッドのZ、一番後ろがPHEV。動力性能は2LハイブリッドとPHEVが勝っているが、燃費は1.8Uが圧倒
見た目からして思いっきり走りに振ってきた今度のプリウス。これまでお伝えしてきたように、走ってみればその変貌ぶりは一目瞭然だ。
システム総合出力223psのPHEVはもちろん、196psの2.0HEV(Z・FF)ですら動力性能は従来プリウスとは別次元。加速フィールにしろコーナリングのクイックさにしろ、今度のプリウスはほとんどスポーツカー。そう表現できるほど鮮やかなキャラ変だ。
その一方、これまでプリウスが売りにしてきた燃費性能に関しては、絶対値としては優秀ながら最優先課題ではなくなった印象がある。
燃費チャンピオンを獲りにゆくのはヤリスHEVやアクアに任せ、プリウスは走りの楽しさと燃費をバランスよく両立させる方向を目指しているのかな……。先日の試乗会でプリウスの各バリエーションを乗り比べた結果、ひとまずそんな結論に達したわけだ。
■気になる1.8Lハイブリッドモデルの実力は?
プリウスの3つのパワートレーンを同時に走らせてドライバビリティの差と燃費の違いをテストした。ルートはベストカー恒例のWLTC準拠コースだ
しかし、そうは言ってもちょっと気がかりな点があった。ベーシックグレードの1.8Uだ。1.8Uは従来プリウスのパワートレーンを引き継ぐ廉価版で、サブスクのKINTO専用モデル。
そこで今回はPHEV、2.0HEV、1.8HEVというプリウス3つのパワートレーンを一挙に集めて、ベストカー恒例の燃費テストを実施した。
トヨタのハイブリッドは基本的に市街地モードが大得意で、他メーカー車との比較になるとこのセクションで大きな差をつけることが多い。
逆に言えば、同じトヨタハイブリッド同士の比較では、みんな同じく得意だから差が出にくいと思っていた。
ところが蓋を開けてみれば「市街地モード」から1.8Uがいきなりのリード。1.8Uの29.7km/Lに対して、2位のPHEVが約13%、3位の2.0HEVが約19%、燃費で後れをとるスタート。
この時点で、「おお、KINTO号意外にヤルじゃん!」と期待が高まったのだが、第2スティントの高速道路でも1.8Uは32.5km/Lと好調を持続。このセクションはACC任せの一列縦隊走行だからデータのばらつきは最も僅少で、誰がやっても同じ数字が出るはず。
そこで、2位の2.0HEVが約14%、3位のPHEVが約15%の差をつけられたのには驚いた。
さらに決定的だったのが、最終スティントの郊外一般路だ。ここで1.8Uは35.6km/Lというベストレコードをマーク。2、3位はまったくの同値だったが、その差は約24%とブッチギリ。これなら燃費チャンピオンのヤリスHEVにも迫れるんじゃないかという好データを記録してのフィニッシュとなった。
この結果は、テスト前に予想したものとは大違い。「今度のプリウスは燃費バトルから降りたのではなく、バトル担当が1.8Uになった」というのがテストの結果判明した事実でございました。
一方、1.8Uは動力性能でははっきりと劣る。もちろん街中でも高速道路でも実用上不足はないが、2.0HEVから乗り換えると、ちょっと物足りなさを感じるのは事実。
1.8Uが履く195/60R17サイズのタイヤは乗り心地と操縦性のバランスがよく、2.0HEVやPHEVに標準装着される195/50R19に対するネガは感じなかった。
●鈴木直也の結論:新型プリウスらしさを味わうのならPHEVだが、1.8Uの燃費は侮りがたしだ!!
■装備の充実度とユーザーの満足度は?
トヨタ プリウスのグレードごとの装備比較(●=標準 ▲=オプション ×=設定なし) ※1.8UはKINTO専用なので一般販売はされない
最も安価なグレードは275万円のX(1.8L)で、中級のG(2L)は320万円だ。価格差は45万円だが、このうちの41万円は装備の違いで埋まる。
Gには、Xに約23万円でオプション設定される8インチディスプレイオーディオ、11万円相当の19インチアルミホイール、7万円相当の上級内装&シート生地などが標準装着される。
しかもGのエンジンは、筒内噴射とポート噴射を併せ持つ高コストな2L。エンジンとモーター駆動によるシステム最高出力は、Xの1.8Lは140psだが、2Lは196ps。これが価格差の45万円から装備差の41万円を差し引いた4万円で手に入るならGが買い得だ。
上級の2LハイブリッドZは、価格が370万円でGよりも50万円高い。Zに加わる装備は、緊急時操舵支援機能、スマートフォンを使って車外から車庫入れするアドバンストパーク、電動リアゲートなど多岐にわたる。これらを価格に換算すると合計60万円だが、細かな装備が多く最強の買い得グレードはGだ。
それでもZの装備に魅力を感じて買いたい時は、充電可能なPHEV・Zも検討する。価格は460万円だからハイブリッドZよりも90万円高いが、PHEV・Zには充電機能以外にアダプティブハイビームや上級ディスプレイオーディオも加わる。
これらの価格換算額が15万円だから、PHEV・ZとハイブリッドZの実質価格差は75万円に縮まる。
さらにPHEV・Zなら、申請により経済産業省から55万円の補助金も交付されるため、最終的な差額は20万円に圧縮される。PHEVは動力性能も高く、システム最高出力は223psだ。ハイブリッドZよりもPHEV・Zを選ぶ方がトクをする。
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みんなのコメント
良く考えれば分かるでしょう。
本当にお得なのは軽四か、ヤリスか、アクアくらいまで。
燃費、税金や保険などの維持費を含め、総合的に考えたらこのサイズ感で決まり。
プリウスは贅沢になりすぎた。
値段も装備も。
しかも天井も荷室も昔から狭く、移住性は軽四の方が遥かに広い。
プリウスは買わない事がお得なのは一目瞭然。