最新の208 どんなクルマ?
text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)
【画像】新型プジョー208 GTライン/e208【細部まで撮影】 全99枚
photo:Toshikazu Moriyama(森山俊一)
ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないが、「最新の×××は最高の×××」という決まり文句を裏切らないという意味で、205以降のプジョーの2シリーズは、ポルシェ911みたいな存在、そういい切れる。
雲上スポーツカーに対して、「下町のナポレオン」的な気やすさはあるとはいえ。
代替わりしても、その車種独自の「らしさ」というか矜持が失われていないクルマは、スポーツカーでいう911の他に、Cセグ・ハッチバックならVWゴルフ、Dセグ・サルーンならBMWの3シリーズぐらいだろう。
そしてBセグ・ハッチバックではポロでもヤリスでもフィットでもなくプジョーの20X、今回でいう2世代目の208が、そういう存在なのだ。
余談だがアウディTTはそうなれそうな1台だっただけに、今世代でディスコンしてしまうのが惜しい。
昔からの名前で長いこと出ています、だけが必要条件ではない。カローラやクラウンに同じものを感じられるかといえばさにあらずだし、先に挙げたいずれのドイツ車勢も大きく重くなって前世代との繋がりが怪しくなりかけている。
ところが新しいプジョー208は、1160~1170kgというBセグ・コンパクトにふさわしい絞られ具合で現れた。いかにも運動神経のよさそうなプロポーションに、小生意気そうな顔つき。
余計なことをせずともそうなるという、十分条件で成り立っている1台なのだ。
控えめスペックの日本仕様が好感触
昨年ポルトガルで行われた国際試乗会で初めて乗った時は、今次の208は端的にいって「ずいぶんゴツくなった」という印象だった。
130ps/23.5kg-m版という現状で最強スペックのパワートレインを積んだ「GTライン」だったのだが、とにかく足回りのキャパがデカいというか、「大入力上等」的な固さで、しなりはするが美味しいところを引き出すのに気合が要る、そんな感じだったのだ。
ところが今回、初めて相まみえた日本版のGTラインは、いい意味で手ごたえが違っていた。
本国ではすでに1年近く販売されているので、生産もこなれて改良も加わっているのだろうか、徐行域でも脚の動きがしっとりしており、段差でも角のとれた乗り心地がグッド・サプライズだった。
しかも、1.2Lターボのピュアテック100ps/20.9kg-mというスペックが、日本仕様として発表された当初はアンダーパワー過ぎないかと心配したが、まるで杞憂だった。
やはり元の車重の軽さに優るものはない。首都高の登り坂合流路で加速する場面も、こちらが虚を突かれるほど鮮やかにこなしてくれる。
もりもりではないが必要にして十分なトルク感で、2000rpm手前から3000rpm過ぎまで、ヴロロっと軽快なエグゾーストノートを響かせて引っ張り上げるのも心地いい。
3気筒とは思えない音質だし、さすが何度もエンジン・オブ・ザ・イヤーを獲っているだけある。この排気量でこれだけの働きをするパワーユニットは実際、他ではお目にかかれないほどだ。
無駄なガマンを強いてこないコンパクトカー
アイシンAW製8速ATはすでにプジョーでは馴染みの組み合わせだが、今日びのトルコンATらしくロックアップは当然がっちり目。加減速を繰り返す街中では頭を前後に揺すられることもあるので、走行モードはコースティング重視のエコモードにしておく方が快適だ。
すると先ほど述べたような首都高の合流の途中で、ノーマルモードに戻し忘れたままだとまともに加速せず臍を噛む、それが凡百のクルマの常なのだが、逆に208はそんな時、ドライバーの操作を間髪入れずにオーバーライドさせる。
ようはエコモードから戻し忘れていても即、加速態勢に移る。
単純なことだが、乗り手の意志を反映させるという点において、阿吽の呼吸がよく分かっているし、それが1.2Lターボという小排気量でストレスなくできることに、驚かされるのだ。
CMPプラットフォームは先行して発売されているDS 3クロスバックと共通。
Bセグの5ドア・ハッチバックとは思えないボディの剛性感、そして高い自在感が味わえるハンドリングの感覚は地続きながら、1465mmと車高が低い分、切り始めの応答性は208がやや優る。
逆にロードノイズをはじめとする静粛性では、二重ラミネートガラス使いで遮音材も多用しているであろう前者に分がある。そこは欠点というよりクルマのキャラクターであり、棲み分けでもある。
走って分かる内装の造り込み
それにしても速度域を上げるにつれ、208 GTラインはBセグ離れした上質なライド感を醸し出す。
カーボンの目地が型押しされたソフトパッドのダッシュボードに蛍光グリーンのステッチが施され、ところどころをピアノブラックが締める。
逆説的だがそんなインテリアの質のよさを感じるのは、視線の動きがある程度限られる、高速道路を走っている最中のことだ。
まじまじと眺められる訳ではないからこそ、視界の端に入ってくる静的質感の高さが、感覚受容の下支えになるのだろう。
見た目だけでなく、ステアリングとシートやペダル位置、操作ボタンの配置といったエルゴノミーまで含めた快適さだ。
ADASをONにすると距離の制御やレーンキープにややぎこちなさはあるが、そんなもの使うのか?と鼻で嗤うようなところが、208のキャラクターにはある。
それほどドライビングの楽しみに没頭させる1台だ。
208で走ること 意外なほど穏やかな経験
よくプジョーの操作系は扱いが難しいという声もあるが、一度そのロジックを見つければ案ずるより産むが易しの使い勝手ではある。
タッチスクリーンであれこれ探すより、その下に並ぶトグルスイッチが基本、ショートカットなので、エアコンの温度調整はもちろん、各機能の呼び出しに難はない。
こうしてある程度の距離を走り終えても、コンパクトな車格からは想像もできないほど、疲れが少ないのは昔からプジョーの美点だ。
実際、走行距離に比して疲労度の少なさを誇るような感覚は、昔からメルセデスとプジョーの専売特許で、Bセグでこの「疲れなさ具合」には脱帽せざるを得ない。
205の時代より相当に大人びても独特のハンドリングの妙味と快適性は進化し続けているし、208 GTラインはいつもにも増して旧びない、プジョーの2シリーズの哲学を感じさせる仕上がりだった。
新型208 試乗車スペック
プジョー208 GTライン
価格:293万円
全長:4095mm
全幅:1745mm
全高:1465mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:17.0km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-g/km
車両重量:1170kg(パノラミックガラスルーフ車:1180kg)
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/5500rpm
最大トルク:20.9kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
乗車定員:5名
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