今もテーマ!ランチアとライフスタイル、それはむかしむかし、ずっとずっと昔のこと。でも、フェラーリのエンジンを搭載した極端なモデルである必要はない。80年代はシンプルだった。そして少し高貴でさえあった。
この1984年ヴィンテージは明らかに富の無視に苦しんでいる。それらは使用され、消費されるために入手されたクルマであり、多くは錆に溶けた。気難しい老エンツォが祝福を拒否したという高貴な「ランチア テーマ8.32」は、4,000台足らずしか製造されなかった。所詮「テーマ」の生産台数の約1パーセントに過ぎないが。ステーションワゴンもある。ピニンファリーナがエレガントなスポーツワゴンをデザインし、少数生産した。それ故にデリバリーカーとして使われたのではなく、エンスージアストのためのクルマとして「テーマSW(ステーションワゴン)」は突出した地位を確保した。
驚天動地のチューニング VWアマロックのエンジンスワップ ガソリン➡ディーゼル 4気筒➡12気筒 1984cc➡5934cc 160馬力➡500馬力!
しかし、現実の姿は(当時も)まったく違っていた。生かすのに大変な労力を要するフェラーリのフィリグリーハートがフロントにあるわけでもなく、トランクリッドに電動スポイラーがあるわけでもなく、シートにポルトローナ フラウの高級レザーが使われているわけでもない!現実は、ノッチバック、紫外線で焼けて擦れたファブリック、ボタン数個で飾られた徐々に朽ち果てるプラスチックの横長なインテリアの風景、わずか113馬力の触媒コンバーターを備えた4気筒自然吸気エンジン。2リッターターボ、ユーロV6、アレーゼV6、あるいはターボディーゼルも考えられるが、2リッターガソリンエンジンは純粋にありふれたものだった。ランチアのような伝統的なビッグネームが付いていても、アッパーミッドレンジの実勢は1984年では控えめだ。今日、日常生活に使える、経済的な装備の「テーマ」に出会う確率よりも、雷に打たれる確率の方がほとんど大きい。
ラグジュアリーなタッチ
悪意のある人たちは、このクルマを退屈と呼び、当たり障りのないデザインと互換性のあるフィアットのテクノロジーを非難するだろう。しかし、フィアットには普通がよく似合う。「ベータ」や「デルタ」で知られるランプレディの2リッターは、2本のバランサーシャフトによって最低限の仕事はする。ややバンピーな乗り心地の悪さと、インテリアのプラスチックのみすぼらしさだけが気になる。あとはランチアに期待されるような気品がある。ジウジアーロのクリアで飾り気のないフォルム、サイドウインドウまわりの繊細なクローム装飾、「グリジオ クォルツォ メタリコ」カラーのエレガントな塗装など、「テーマ」はラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。そして、2つの文化圏からやってきた近親者たちとともに、「テーマ」はスタイルと控えめさをも示している。「テーマ」はコストプレッシャーの中で生まれた。「サーブ9000」、「フィアット クロマ」とともに、ランチアは80年代初頭に新型「Y9」を開発した。最終的に一致したのはフロアアッセンブリー、フロントガラス、ドアだけだったが、1984年10月に初めて「テーマ」を発表した母フィアットと娘ランチアは、少なくとも技術の大部分を共有していた(後にドッキングした「アルファロメオ164」とともに)。
テーマは多くの人を喜ばせなければならなかった
これによって車は安くなったが、混乱しやすくもなった。「テーマ」は、巧みに作られていたが、老朽化した「ベータ」と、風変わりで不安定なデザインの「ガンマ」を一挙に置き換えることで、多くの人を満足させなければならなくなった。フィアットはその結果、ハッチバック、風変わりなクーペの形、ボクサーエンジンといった、ランチアおなじみのクセを排除した。
その結果、新型ランチアは、以前は考えられなかったことだが、本当にただのクルマになったのだ。今にして思えば、これは何の役にも立たなかった。ヴァルポリチェッラと初期ルネッサンスに傾倒した教養ある市民が最初のオーナーとなった後、「フィアット レガータ」や「ピッツェリア」のオーナーがアイロンハンドルを次々と譲り渡した。そして、この「テーマ」はすでに錆びつきつつあった。
だから今日、大型シリーズの最後の代表作を引っ張り出すには、熱意と犠牲を払う意志が必要なのだ。費用対効果なんて考えてはいけない。今再びテーマを探しているエンスーが、恋人を見つけられることを祈ろう。そうでなければ、1984年当時の本当の生活を知る人はいなくなってしまう。
テクニカルデータ
【ランチア テーマ車両データ】 • エンジン: 直列4気筒、フロント横置き、2本のオーバーヘッドカムシャフト、シリンダーあたり2バルブ、電子制御燃料噴射(ボッシュLE-ジェトロニック)、• 排気量: 1995cc • 出力: 113PS@5600rpm、• 最大トルク: 157Nm@4000rpm • 駆動方式/シャシー: 5速マニュアルギアボックス、前輪駆動、独立懸架式サスペンション、フロントはマクファーソンストラットとウィッシュボーン、リアはストラット、ウィッシュボーン、トレーリングアーム • ホイールベース: 2660mm • 全長/全幅/全高: 4590/1755/1435mm • 車両重量: 1,120kg • ラゲッジルーム: 550リットル • 燃料タンク: 65リットル • 性能: 0-100km/h加速=9.7秒、• 最高速度: 191km/h • 平均燃費: 8.3ℓ/100km(12km/ℓ) • 新車当時価格: 32,190DM(約258万円)
【ヒストリー】 1984年10月: ノッチバックを備えた「テーマ(Y9)」が、風変わりなハッチバックの先代「ガンマ」に取って代わる。4気筒ガソリンエンジン(2.0リッター自然吸気/120馬力、ターボ/165馬力)に加え、4気筒ターボディーゼル(2.4リッター/100馬力)とV6(2.9リッター/150馬力)を設定。1986年: 予想されていたクーペの代わりに、ピニンファリーナデザインのエステート、スポーツワゴンが登場。高価でエキゾチックなトップモデルは、フェラーリ製V8エンジン(3.0リッター/215馬力)を搭載したテーマ8.32となり、1992年に生産が終了した(台数:3973台)。1987年: 国産ロングバージョンが登場。少数生産された「テーマ サルーン」は全長が30cm長く、価格は約6万マルク(約485万円)。1988年: よりフラットなヘッドライト、太いフレームのラジエーターグリル、新しい15インチアルミホイールを備えた「ヌォーヴァ テーマ」が登場。4気筒エンジンに4バルブ技術が導入された。1989年: ターボディーゼルを追加(2.5リッター/115馬力)。1992年: フロントエンドの変更と装備の改良を伴う最後のフェイスリフト。ユーロV6に代わってアルファV6(3.0リッター/171馬力)を搭載。1994年: 生産終了(台数:336,476台)。
プラス/マイナス
テーマの問題はサビだ。80年代の典型だ。表面や品質も、特に初期モデルにおいては、偉大なブランド名からすると残念なものだ。フィアットらしさがないのだ。
しかし、それでもランチアであり、クライスラーのリバッジではない。しかも、ジウジアーロのドレスに身を包んだ「テーマ」は、失われた静かなエレガンスを漂わせ、4、5人の友人を乗せるのに十分なスペースを提供し、確かな、場合によっては感動的ですらあるテクノロジーを搭載し、その資質の総和として、日常生活のための才能を備えた、もうすぐクラシックになる車なのだ。スポーツワゴンは、デザイナーズ家具やワイン箱をスタイリッシュに運ぶだけではない。「ランチア フラミニア」よりも希少な存在になるかもしれない。
市場状況
「フィアット ウーノ」のフォグランプ、「クロマ」のドアとスターター、「サーブ9000」のフロントガラス、フィアットとアルファのエンジン・・・。クロスブランドのファミリー間で共有するパーツが多いので、必要なパーツは比較的簡単に見つけることができる。ランチア独自のシートメタルや装備部品などの薄っぺらな布や脆いプラスチックのみ、それは本当にタイトになる。ちょっとしたヒント: イタリアとイギリスでは車両も含めて供給量がかなり多い。
市場の状況は難しい。需要は少なく、供給はさらに少ない。すべてのモデルシリーズとエンジンタイプで、スクラップスキームを生き延びた残党が散見される。本格的な市場があるのはイタリアだけだが、それさえ何とかなる。フェラーリエンジンを搭載した「8.32」には事欠かない。
おすすめのグレード
後期「LX」は贅沢で成熟した理想的なソリューションと考えられており、自然吸気やユーロV6を搭載した車よりも、ターボやアルファエンジンを搭載した車の方が望ましい。しかし、それは理屈であって、コンディションが決め手になるはずだ。最高のコンディションのトップモデルでさえ、5桁ユーロ(数百万円)の範囲には入らない。どんなに魅力的な価格であっても、「8.32」には手を出さない方がいい: 維持費があなたの懐をむしばむだろう。
大林晃平: 「ランチア テーマ」は以前にもちょっと書いたことがあったが、「ティーポフォープロジェクト」(イタリア的に言えば「ティーポクアットロプロジェクト」でしょうか)として、「サーブ9000」、「アルファロメオ164」、「フィアット クロマ」、そして「テーマ」と言う、4台が作られた中の、もっともノーブルで高貴な一台である。個人的に世界で一番美しい4ドアセダンは、今だに、この「テーマ」ではないかと思うし、この普遍的で美しいデザインはこれからもずっと輝き続けるのではないかと思う。
エンリコ フミアのデザインした「164」よりも、ジョルジョット ジュージアーロの作った「テーマ」の方が自動車本来の黄金比の美しさを持っていると思うが、中でも最初期型のV6 紺色が一番ノーブルで美しい(i.e., ターボはグリルについてしまうバッチが不要)。「テーマ8.32」の妖艶な格好良さも捨てがたいが、やはり本来のオリジナルデザインである、最初期の普通のモデルが、一番バランスが良い。内装も「8.32」のポルトローナフラウ内装よりも、エリメネジルド セニアの上品で手触りの良い布内装が「テーマ」らしいし、繊細なセレクターレバーを持つAT仕様で、さらっと乗る、それが本来の「テーマ」の正しいつかいかたなのではないだろうか(なお後期型のマイナーチェンジはIDEAが担当したが、ライト下のウインカーがやはりバランスを崩しているとは思う)。
さて最初に記したように、ティーポクアットロプロジェクトでは開発を分業することで開発コストを抑えようということが目的であり、エアコンの開発をサーブが主に担当し、それ以外の機構的な部分をランチア、アルファロメオ、フィアット(ということは、つまりフィアットグループが、ということですが・・・)が担当した。「テーマ」のエンジンは、V6がPRV(プジョールノーボルボの共同開発エンジン)、「8.32」はもちろんフェラーリエンジン、4気筒ターボはフィアットグループが当時売りにしていた主流の4気筒のアレである。日本には輸入されなかったが、ディーゼルエンジンもあったし、ピニンファリーナがデザインを担当したステーションワゴンもあり、なかなかスタイリッシュなワゴンではあったが、やはり個人的には「テーマ」はセダンにつきる。
といってもワゴンのデザインと生産をしたのはピニンファリーナだから、4ドアのドア自体はセダンと共通にせよ、という足かせがあったにもかかわらず、それとは見えない、頑張った仕事をしているのはさすがである(ということは、後期モデルのテーマ ステーションワゴンは、ジョルジョット ジュージアーロがオリジナルをデザインし、それをIDEAがマイナーチェンジし、ピニンファリーナがワゴンをデザイン&生産した、という大御所そろい踏みの一台と言うことになる)。
そんな「テーマ」のワゴンには、たった一台だけ、「8.32」仕様のエンジンを搭載したモデルがあり、これはジャンニアニエリ会長が依頼して作られた特別仕様である。蛇足ながら、ジャンニアニエリの所有した(ワガママ)特別仕様の車は、「ランチア インテグラーレ スパイダー(うーむ・・・。良いのか悪いのかよくわからない)」、「フェラーリ テスタロッサ スパイダー」などもあるが、「テーマ8.32ワゴン」も含めて、シルバーで塗装されている。これはジャンニアニエリのGAというイニシャルを反対にするとAGになり元素記号のシルバーを意味するから、と言われてはいるが、本当か都市伝説なのかはよくわからない。
さてサーブが開発したエアコンシステムは信頼性グンバツであったかというと、「164」も「クロマ」も「テーマ」もしっかりエアコンシステムは故障したという・・・。おいスヴェンスカ アエロプランAB(スウェーデン航空機会社 = SAABの本当の名前)、ダメじゃん。担当したエアコン部分くらい、壊れないようにしっかり作ってくれよ・・・。ま、夏でも涼しくてエアコンなんて必要のないスウェーデンじゃ、仕方ないか。(笑)
Text: Jan-Henrik Muche Photo: M. Gloger
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みんなのコメント
たぶんヤフーと月や年の回数で契約してるから
内容なんかどうでも良いんだろうな。
あと日本のクルマライターなんて肩書きつけて、
やってるけど、実態はクラウドワークに投げて記事書かせてたら笑えるな