ブランド・イメージを牽引した240
執筆:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
【画像】実用クラシック ボルボ240シリーズ 最新のS60とV60も 全65枚
撮影:James Mann(ジェームズ・マン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ボクシーなデザインをまとい1960年代に成功を掴んだ、4ドアサルーンの140とステーションワゴンの145。それをベースに後継モデルとして進化したのが、今回取り上げるボルボ240系だ。
生産期間は1970年代半ばから1990年代半ばまでと、非常に長い。広々とした車内空間や堅牢性、安全性など、ブランドのイメージを牽引することになったモデルといえる。
フロントに搭載される4気筒エンジンは新設計。バルブとピストンが干渉しないベルト駆動のオーバーヘッドカムに、クロスフローのアルミニウム製ヘッドを採用している。それまでのプッシュロッド・エンジンと比較し、大幅な性能向上を達成していた。
ステアリングラックはラック・アンド・ピニオン式に、サスペンションはマクファーソン・ストラット式になり、シャシー設計は当時の最新といえるもの。フェイスリフトで5マイル・バンパーが与えられるが、違和感のないデザイン処理も魅力だった。
ボッシュ社製のKジェトロニック・インジェクションで燃料を供給し、初期のサルーンとステーションワゴンのエステートでは124psを発揮。デロリアンにも積まれた、PRV社製のドブランと呼ばれるV6エンジンも希望すれば搭載可能だった。数は少ないが。
240系の人気へ応えるように、244/240 GLTや2.8 V6といったスポーティなモデルも後年に登場。トランスミッションの性能も引き上げられた。
4気筒でも高い耐久性に充実した装備
調整域の非常に広いフロントシートには、運転を快適にしてくれる腰回りのランバーサポートを導入。耐久性を示すように、99万9999kmまで表示可能なオドメーターを初採用してもいる。
エステートには、熱線入りリアガラスにウォッシャー付きのワイパーを装備。オプションで後ろ向きに座る3列目シートを指定でき、定員を7名乗にすることも可能だった。1993年のモデル終了まで、2列目のリアシートは分割での折り畳みができない。
防錆性を高めるため、シャシーの要所部分には亜鉛メッキが施された。1988年からはドアやボンネット、トランクリッドも処理されている。
240系は世界中で販売され、英国未導入だった2ドアクーペの242GTや、244ターボ、5気筒や6気筒のディーゼル版なども製造されている。組み立て品質や装備が充実していた点も、各国で支持された理由の1つだろう。
1980年まで英国で売られていたディーゼルのDLでも、運転席にはヒーターが内蔵されていた。当時の試乗レポートを見ると、ライバルモデルと比較して装備の充実ぶりを褒める内容がしばしば登場する。
太いCピラーが特徴の、ベルトーネがデザインを担当した262 C 2ドアクーペは珍しく中古車価格も高い。しかし英国の場合、実際に需要が多いのはサルーンやエステートだ。
V6エンジンを積んだ240系の注目度は高い。ただし高性能を約束すると思いきや、正直期待はずれではあった。インジェクションの4気筒も同等に速く、耐久性では勝る。ステアリングやブレーキの性能は、240シリーズ共通で優れている。
ボルボが市場を開拓した傑作モデル
同時期のモデルとしては防錆性が非常に優れていたものの、日常の足として酷使されてきたケースも少なくなく、ボディのサビは注意したい部分。特に初期の240シリーズは錆びやすく、残存数も少ない。
モデルライフは長く、部品が年式をまたいで交換されている場合も多い。購入する際は、純正状態との違いも確認したい。
運転席からの視認性に優れ運転しやすく、高い快適性と堅牢性、充実した装備を兼ね備えたボルボ240シリーズ。英国でも日本でも、ボルボが市場を開拓する大きな役割を担った傑作モデルといえる。
オーナーの意見を聞いてみる
「初めてのボルボは、当時100ポンドで買った144。とても信頼性が高く、ほかに目移りすることはありませんでした」。と話すのはボルボ240のオーナー、ジョン・マウンス。
「仕事では、240エステートを今も使っています。荷物をたくさん詰めますし、本当に良い働き者です。30年以上も、英国のボルボ・オーナーズクラブのメンバーです。ほかにもPV444や、南アフリカ製の2ドア・アマゾンも所有しています」
「この1991年式の240 GLを発見したのは数年前。サビがほとんどなく、モデル末期の1台だったので、購入しないわけにはいきませんでした。レザーシートが心地よく、うれしいサンルーフも付いています」
「完璧なオリジナル状態で、5速MTでの走りが特に気に入っています。行く先々で注目を集めます。自動車ショーに乗っていくのも楽しみの1つ。部品は安価で今も入手しやすく、毎年しっかり点検整備を施しています」
英国で掘り出し物を発見
ボルボ240 DL
登録:1985年 走行:10万600km 価格:1万950ユーロ(142万円)
オランダで売られているディーゼルエンジン車。滑らかな5速MTを搭載し、自ら変速する喜びを味わえる。走行距離が伸びがちなクルマだけに、まだ10万km程度という例は希少。サビも2・3か所、散見されるだけのようだ。
ボディの塗装はオリジナルのまま。ホイールもオリジナル。丁寧に乗られ、手入れされてきたことを示す。インテリアもきれいで、ドアの小物入れなど弱点といえる部分の状態も良い。価格なりの価値はあるといえる。
ボルボ240 GL
登録:1991年 走行:6万6300km 価格:7995ポンド(123万円)
なかなか発見が難しい、走行距離が短めの1991年式。この内容でほかを探すなら、かなりの時間を必要とするだろう。
ベロア内装はほぼ新品と呼べる状態で、実用車として乗り込まれるモデルとしては、走行距離は驚くほど短い。シートは肉厚で豪華。サンルーフは、天気の良い日の運転を一層気分良くしてくれる。
ATだが、240の雰囲気にはよく合っている。2017年にタイミングベルトは交換済み。これまでの整備記録もしっかり残っているという。
中古車購入時の注意点などは後編にて。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
なぜ「暖機運転」必要なくなった? 昔はあたりまえの“習慣”も今では「NG」に!? 最近では「暖機“走行”」必要との見方も
「ヘッドライトが“まぶしい”んですけど、どうにかならないですか?」 困惑の声多数! あなたの行為「違反」かも? 「ハイビーム」の“落とし穴”とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
若い頃はこれとキャンプにサーフィン、スノーボードと20年近く一緒に過ごした生涯一の相棒でした。
古いけどピカピカにしてたな