■日本製品が世界を席巻した時代の日本車の海外での評価はいかに?
ここ数年、アメリカを中心とする海外では、1970年代までに生産された日本製クラシックカー、あるいは1980年代から1990年代のヤングタイマー・クラシックたちの人気およびマーケット評価が急上昇していることをご存知の方も多いだろう。
世界に1台のトヨタ新型「スープラ」が2億3000万円 市販モデルの約40倍の価格で落札
●トヨタ・スープラ・ツインターボ・エアロトップ(1993年)
最高潮の時期には、邦貨換算で1億円越えの落札も見られたトヨタ「2000GT」を筆頭に、海外では「HAKOSUKA」の愛称で呼ばれる元祖「スカイラインGT-R」や、S30系「フェアレディZ432」なども、数千万円で取り引きされる事例が続出している。
そしてその人気は、1970年代以前の真正ジャパニーズ・クラシックから、1980年代から1990年代のヤングタイマーにも波及しているようだ。
近年ではアメリカにて、日本製車両&パーツを用いたカスタマイズから転じて、ジャパニーズ・クラシックカーそのものの総称となっている「JDM(Japanese Domestic Market)」は、いまやクラシックカー/コレクターズカーの国際オークションにおいても確固たるジャンルのひとつとなりつつある。
そんな日本車人気を象徴する出来事のひとつとしてVAGUEが注目したのは、今年3月のオークションを舞台に、トヨタ「スープラ(80型)」が巻き起こした旋風である。
現在、世界を震撼させている新型コロナウイルス禍に突入する直前、この分野における最大手オークショネア「RMサザビーズ」が3月6日・7日に開催した、現時点においては最後となってしまったリアルな対面型競売「Amelia Island(アメリア・アイランド)」オークションでは、1993年型トヨタ・スープラ・ツインターボ・エアロトップが、12万5000ドルから15万ドル(約1325万円から1590万円)というエスティメート(予想落札価格)とともに出品された。
北米仕様の左ハンドル車なので、厳密には「JDM」とはいえない個体なのだが、ワンオーナー車で走行距離が9897マイル(1万5836km)と少なかったことに加え、新車時のオリジナリティをパーフェクトに保っていたこと、そしてなにより、アメリカでは希少なエアロトップであることに、映画『ワイルドスピード(原題The Fast and the Furious)』でのカリスマ的人気も相まって、手数料を合わせればエスティメートに到達する13万7200ドル(約1455万円)という超高値で落札に至った。
●トヨタ・ランドクルーザー(1965年)
また同じく今年の「アメリア・アイランド」オークションにおいては、近年のアメリカにおけるジャパニーズ・クラシック趣味を象徴するかのような、個性的な1965年型トヨタ「ランドクルーザー」も注目を集めることになった。
今や世界的な人気モデルとなり、邦貨換算で1000万円にもおよぶ落札さえ見られることもあるランドクルーザー40系だが、この時出品された車両はもとより希少なピックアップトラック型ボディの「FJ45」に、より新しい世代のGM製5.7リッター「ラムジェットV8」エンジンをコンバートした、いわゆる「レストモッド」車両であった。
通常この種のカスタムカーは、市場における評価が分かれる場合が多い。でも、手数料込みで6万1600ドル(約660万円)という落札価格は、ランドクルーザー40系という日本製クラシック・クロスカントリーカーが、既に国際マーケットでも一定の地位を築いていることを、顕著に示しているかにも感じられたのである。
■チューンドR32型GT-RとオリジナルFD3S RX-7は、どっちが高い?
2020年3月の「アメリア・アイランド」オークションまでは着々と地位を築いてきた、日本製クラシックカー/ヤングタイマーたち。
ところが、新型コロナ禍の勃発以降に、同じくRMサザビーズ社が苦肉の策として5月21日から29日に開催したオンライン限定オークション「DRIVING INTO SUMMER」では、少々厳しい洗礼が待ち受けていた。
●日産スカイラインGT-R(1991年)
このオークションで注目を集めた日本車のなかには、アメリカのJDM愛好家の間でもカリスマ的モデルとして崇められる日産「R32型スカイラインGT-R」があった。
海外のファンにとっては長らく憧れの対象でありながら、日本からは門外不出に近い状態が続いていたR32型GT-Rだが、いわゆる「25年ルール」の適用でアメリカ合衆国内での登録が可能となった2010年代中盤以降は続々と海を渡り、今では「GODZILLA(ゴジラ)」の愛称で親しまれているという。
いかにもアメリカのJDMファンが好みそうなチューンドカーに仕立てられたこのR32型GT-Rに、RMサザビーズ社では4万5000ドルから5万5000ドル(約482万円から約589万円)というエスティメートを提示していた。
しかし5月21日に、まずは2万2000ドルからスタートしたオンライン競売は、一週間後の締め切り直前に3万6000ドル(約388万円)まで上昇したものの、ここで競売は終了。この車両のオーナーが秘密裏に示したリザーヴ(最低落札価格)には今一歩及ばなかったようで、あえなく「No Sale(流札)」となってしまった。
これまでアメリカ国内の対面型オークションでは、800万円を超える落札もあったR32型GT-R。にもかかわらず「DRIVING INTO SUMMER」出品車両の入札が振るわなかった理由については、RMサザビーズ公式HPに記されたPRフレーズでは「Tastefully modified(味のある改造)」と謳われながらも、やはり好みの分かれる「走り屋」風のカスタマイズが、ネット上とはいえ一流オークションに集うようなオリジナル志向のバイヤーにはイマイチと映ったのだろうか。
あるいは、12万6000kmを超える走行距離が評価を落としたことなど、様々な要因が考えられるだろう。
●アキュラNSX(1991年)
しかし、オリジナリティの面では申し分のない1991年型アキュラNSX(ホンダNSX輸出バージョン)が、ここ数年の海外マーケット相場価格と比べたら若干低いといわざるを得ない4万4000ドル(約470万円)で落札された。
加えて日本仕様の純然たる「JDM」で、ほぼ完ぺきなオリジナル車で、走行距離も9154kmというローマイレージであり、北米市場では最も珍重されるはずの1992年型アンフィニ「RX-7タイプR」は、5万5000ドルから7万ドル(約590万円から約748万円)というエスティメートや、オーナーの設定した最低落札価格にも届かず「No Sale」に終わってしまったことは、これまでのマーケットの推移からすればかなりシビアな結果だったと思われる。
こうして考えると、まずはオンライン限定のオークションが、従来のリアル対面型オークションに比べると、どうしても高揚感に欠けてしまうことが、こうした理由の背景にあるように思われる。
そして新型コロナウイルス禍による漠然とした先行き不安が、やはりクラシックカー/コレクターズカーの世界にも暗い影を落としているという事実は認めざるを得ないだろう。
●アンフィニRX7タイプR(1992年)
特に、この世界では比較的新興勢力である日本製クラシックカー/ヤングタイマーは、まだ国際マーケットにおける評価も充分には確定しておらず、社会情勢、あるいは世界情勢の影響を受けて相場価格が乱高下してしまうようにも感じられるのだ。
それでも「DRIVING INTO SUMMER」の2週間後に、同じRMサザビーズのヨーロッパ支社が開催したオンライン限定オークション「THE EUROPEAN SALE featuring THE PETITJEAN COLLECTION」では、ランボルギーニやポルシェたちがコロナ禍以前と大きくは変わらない高値で落札されたことを思えば、日本製クラシックカー/ヤングタイマーたちが人気を取り戻す可能性も否定できない。
今後の国際マーケットの動向に、注目していきたいところである。
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みんなのコメント
あとJspecのような窃盗団は皆殺しにしたい
凄いことになるだろうね。