現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > BMW最新「1シリーズ」を先代モデルと乗り比べ。「FF」と「FR」で「BMWらしさ」に違いはある?【AMWリレーインプレ】

ここから本文です

BMW最新「1シリーズ」を先代モデルと乗り比べ。「FF」と「FR」で「BMWらしさ」に違いはある?【AMWリレーインプレ】

掲載 4
BMW最新「1シリーズ」を先代モデルと乗り比べ。「FF」と「FR」で「BMWらしさ」に違いはある?【AMWリレーインプレ】

2019年の3代目からFFとなったBMW「1シリーズ」

 BMWの最小クラス「1シリーズ」は2004年に誕生し、2019年に3代目へとフルモデルチェンジした。2代目までは唯一無二「FRのコンパクトハッチバック」として存在感を放っていたが、FF化した現行型でも「BMWらしさ」は楽しめるのだろうか? 2017年式1シリーズのオーナーに協力してもらい、丸一日かけてたっぷり乗り比べてみた。

もはや激レアなFRの小型ハッチバック! 安くて走れる先代BMW1シリーズが大穴だった

激戦区の欧州Cセグ・ハッチバックでの立ち位置は?

 先代までの1シリーズは「FRだから」と指名買いの人が多い印象だったのだが、グローバル企業のBMWがマーケティングを踏まえてFFに舵を切ったことから、実際には後輪駆動にこだわるのは、一部の走り好きとマニアに限られていたのかもしれない。

 とはいえ、いわゆるCセグメントはライバルが多く、FFとなると単純に横並びで比較の俎上に載せられることとなる。今回お借りした試乗車は最高出力150ps/最大トルク350Nmを発揮する2.0L直4ディーゼルターボを搭載した「118d」のエントリーグレード「Play」で、2022年12月時点の車両本体価格は470万円(消費税込、以下同)。それに「プラス・パッケージ」26万7000円、ボディ色ミネラル・ホワイト8万円、アロイ・ホイール・マルチスポーク・スタイリング546が7万円で、総計511万7000円となっている。

 それに対するライバルを欧州クリーンディーゼルモデルでいくつか挙げると、プジョー「308 Allure Blue HDi」(受注生産)は130ps/300Nmの1.5L直4ディーゼルターボで344万1000円、フォルクスワーゲン「ゴルフTDI」は150ps/360Nmの2.0L直4ディーゼルターボで最廉価グレード「Active Basic」359万9000円、そしてメルセデス・ベンツ「A200d」は150ps/320Nmの2.0L直4ディーゼルターボで502万円だ。

 つまりドイツ勢ではディーゼルエンジンのスペック数値には大差がなく、グレードごとの標準装備の差はあるが、1シリーズはゴルフより100万円以上プライスアップするだけの説得力が必要となるわけだ。

あらゆるシーンで感じさせる質感の高さ

 ゴルフ8のTDIに乗ったときの印象を反芻しながら118dで走り出す。かつてのディーゼルのイメージのようなガラガラした音と振動は最小限に抑えられていて至ってスムーズに回り、駐車場のような狭い場所での繊細なペダルワークにも意図どおりに反応してくれる。1750~2500rpmで最大トルクを発生する直4ディーゼルに組み合わされるアイシン製8速ATは早め早めにシフトアップしていくので、流れに乗って走っている限りは2000rpmを超えることは滅多にない。走行モードを「ECO PRO」にしたままでも、街乗りだろうが高速道路だろうが、パワーとレスポンスに不足を感じないのだ。

 なめらかなシフトフィールにおいてはゴルフの7速DSGよりこちらに軍配が上がるだろう。また、インフォテインメントの操作感について、ゴルフはタッチパネル主体のインターフェイスで反応が少し遅く、ひとりで運転中に空調を調整したりするのは至難の業なのだが、118dでは物理スイッチを多く残しており、またシステムの反応も速やか。一切ストレスを感じさせないのはさすがBMW。

 それでもFFハッチバックの王者として長い伝統を誇るゴルフも進化と熟成を極めているので、都市部で普段乗りをしている分には、118dと走りの差異を感じることはあまりない。しかしほんの少しだけ非日常の領域に足を踏み入れると、BMWが高級車ブランドである理由がはっきり分かった。

 路面の荒れたワインディングや未舗装路を走ったときでも、タイヤがしっかり接地して路面のインフォメーションを伝え、しかも高いボディ剛性とサスペンションの妙で、いやな突き上げもマイルドにいなしてフラットな姿勢を保ったままなのだ。

 これは編集部員が自分で撮影も行う企画なので、砂利の旧道で流し撮りを試みてみた。スローな徐行でシャッター1/25秒で撮影。写真を撮る人ならわかると思うが、このシャッター速度だとアスファルト路面でも車体の微振動が反映されてブレることが多いのに、一発でバリっとピントの合ったカットを撮れてしまって驚いた。

 正直、FFハッチバックの走りとして、際立った個性をもっているわけではない。しかし、ごく自然に路面とクルマとの対話を味わいながら快適に走れる、そのレンジは圧倒的に広い。懐の深さ、と言い換えることもできる。それは、多彩な場所へ出かけていくアクティブなドライバー、すなわちトコトン走りこむタイプの人には、乗れば乗るほど付加価値として実感できることだろう。

FRの1シリーズと乗り比べてみた

 さて、今回は比較用に先代1シリーズの最終型、2017年式「118i」のオーナーである友人E氏に協力してもらい、FRとFFで乗り比べてみた。エンジンは118iがガソリンの1.5L直3ターボなので比較対象にならないが、FRの1シリーズに乗ってみると、やはり前後重量配分50:50で鼻先が軽く、しっかり重心がドライバーの背中あたりにあるイメージで気持ちよく曲がっていける爽快さは、快楽発生装置としてはとても魅力的だ。

 ここからは、普段から118iにロードバイクを積んであちこち走りに行っているE氏に最新118dに触れてもらって、彼が感じたことをまとめてみよう。もちろん、FRの走りに惚れて買ったクチなのでその分のバイアスはあるが……。まずは肝心の走りについて。

「FFで頭が重くなった分、ハンドリングが落ち着いていて、それだけではなく走りに上質感がありますね。アクセルを踏みこんだとき新型のほうが回転を上まで引っ張ってくれるのも好ましいです。外からの音が入ってこないしエンジン音も響かないし、静粛性の高さも印象的でした。ウインドシールドが立っていて前方視界も良くなり、フロントフードが高くなっている分、車両感覚がつかみやすくなっています。あとは、ステアリングホイールのリムが細めで操作感がゆったりに感じたので、太めの革張りでスポーティなものに換えたら、“走らせる喜び”はもっと高くなるかなぁ」

パッケージングとユーティリティは圧倒的にFF

 プロペラシャフトが不要になって車体リヤ側のスペースが広くなったのは、1シリーズがFF化して手に入れた最大のメリットと言えるだろう。後席の足元のスペースは約40mm広くなり、ラゲッジ容量は先代の360Lから380Lに拡大しているが、後席を倒したときの最大容量1200Lは変わっていない。先代オーナーE氏はどう感じただろうか。

「後席に座ると頭上スペースも足元も広くなっていて、センターのドラシャが無くなったことで快適性が大きくアップしてますね。とくに、リヤのハッチの間口がFRモデルだと内側に少し出っ張っていて、自転車を積みこむときに気を使う部分だったのですが、FFだとハッチゲートがシンプルな形なので便利になっています。4人乗車で荷物も載せるような使い方なら、断然FFですね」

プレミアムコンパクトのFF、中古で狙い目なFR

 FFレイアウトになったことで「とがった」特徴こそなくなったものの、走行性能、快適性、スペース効率など、あらゆる点で死角のないコンパクト・ハッチバックとなった現行型1シリーズ。ライバルの多いカテゴリーのなかでもクオリティと質感の高さ、懐の深さをそなえるBMWらしさは健在だ。

 また一方、FRの先代1シリーズがじつは中古車マーケットで今とても「美味しい」存在であることも付記しておきたい。先代は2015年にフェイスリフトし、パワートレーンはガソリンの118iが2015年に1.6L直4ターボから1.5L直3ターボにシフト。120iが2016年に1.6L直4ターボから2.0L直4ターボに、「M」は3.0L直6ターボで326psだったM135iから2016年に340psのM140iに世代交代していて、2.0L直4ディーゼルの118dが2016年から追加されている。

 パワートレーンの過渡期で分かりにくいのだが、おおむね2015年式~2019年式までの先代後期モデルで中古車を探せば、118iや118dなら100万円台でタマ数豊富で、選び放題といった状況だ。今のうちにFRハッチバックに乗っておきたい人や、BMW入門としては、先代1シリーズもぜひお勧めしておきたい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
motorsport.com 日本版
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
AUTOSPORT web

みんなのコメント

4件
  • 走りで選べばFRは不変だな。
    1シリーズを選ぶ購入層が走りより実用性を重視してるから方向転換した。
    それだけの事でしょ
  • F20型はいいぞぉ〜。
    ただ18インチでスポーツタイヤはダメですね、それがランフラットならなおさらダメ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1680.02480.0万円

中古車を検索
FFの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1680.02480.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村