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日本車なのに外国生まれ!? 急増した“逆輸入車”の思惑と利点

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日本車なのに外国生まれ!? 急増した“逆輸入車”の思惑と利点

 1988年に登場したアコードクーペが先駆車となった「海外生産の日本車」が、ここ2、3年増えている。直近では2017年に発売されたシビックハッチバックも英国生産だ。

 ただ、同じシビックでもセダンの日本仕様は埼玉・寄居工場製。さらに、ホンダでいえばアコード、トヨタならカムリなど「海外市場メインの車種」でも、日本仕様は国内の工場で生産されるケースがほとんどだ。

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 では、なぜわざわざ日本で売るモデルを、海外で生産しているのか? 

 現在、日本で販売されている「海外生産の日本車」を紹介するとともに、海外生産車を日本で販売する狙いについて考察したい。

文:永田恵一


写真:編集部

トヨタはハイラックス&意外な車も海外生産

■ハイラックス/タイ生産

 2011年に孤軍奮闘していた三菱のトライトン(こちらもタイ生産)が絶版になって以来空白となっていた日本のピックアップトラック市場に、「楽しい自動車会社」に変わりつつあるトヨタを象徴する1台として2017年9月に登場。

 日本仕様はピックアップトラックとしては標準的なドアがある5人乗りのダブルキャブで、エンジンは6速ATと組み合わされる2.4Lディーゼルターボを搭載。

 乗った印象は細かく跳ねるような乗り心地が大きな欠点ながら、それ以外は全体に乗用車的で「小山のような大きなクルマを動かしている」という感覚も楽しい。

 ハイラックスは当初年間2000台という試験的な販売目標台数で導入されが、2018年1月から9月までに4400台を販売し、現在も納期が3カ月以上という静かな人気車となっている。このことは「普遍性はなくても個性的、魅力的な車なら日本でも一定数売れる」という裏付けにもなった。

■タウンエース&ライトエース/インドネシア生産

 日本車では軽商用車とマツダ ボンゴの中間のサイズとなる、登録車では最少の1ボックスバン&トラックで、インドネシアにあるダイハツの工場で生産されている。

 エンジンは4速AT、5速MTと組み合わされるダイハツ製の1.5L・NAを搭載し、最近ではバンが小型キャンピングカーのベースとして使われることも増えている。

日産はスペイン生産の日本仕様車も!

■マーチ/タイ生産

 2010年7月に登場した4代目の現行マーチは、新興国を中心に販売されるコンパクトカーに移行。三菱のミラージュと同じく日本仕様はタイ生産となる。

 標準仕様は1.2L・3気筒エンジンを搭載し、燃費は良好ながら全体的に特にいい印象もなく、積極的に買う理由に欠ける。

 ただ、5速MTと組み合わされる1.5リッター4気筒エンジンを搭載し、オーテックがチューニングを担当したNISMO Sが楽しい車なのは救いだ。

■e-NV200/スペイン生産

 e-NV200は、簡単に言うと先代リーフのモーターや現行リーフのバッテリーといったユニットを使ったNV200バネットの電気自動車版。

 1ナンバーとなる商用バンと3ナンバーとなる5人乗りと7人乗りのワゴンが設定される。

 公表される航続距離は300kmで、30万円の補助金も適応となる。ガソリンスタンドが少ない地域で使う商用バン、ミニバンとして使うと特に利便性が高いだろう。

ホンダは話題のシビックとスーパースポーツが海外生産

■NSX/米国生産

 2016年8月に11年振りに復活したNSXは、9速DCTと組み合わされる3.5L・V6ツインターボエンジンに、前輪2つ、後輪1つのモーターを加えた3モーターハイブリッドというパワートレーンを持つなど、新しいスーパーカーの世界観を提案。

 また、ホンダは以前から「需要のある(≒多い)ところで生産する」というポリシーを持っていることもあり、NSXは生産に加え開発も一定部分アメリカで行われている。

 乗ると絶対的な速さはもちろん、乗り心地の良さなどスーパーカーにはあってもいい軟派な部分も持ち合わせている点も印象的だ。近日中に2019年モデルと呼ばれる完成度を高めた改良型が登場する予定となっており注目だ。

■シビックハッチバック&タイプR/イギリス生産

 2017年7月に日本仕様の正規モデルとして7年振りに復活したシビック。

 ライバルとなるアクセラやVWゴルフと同様に車格は欧州でいうCセグメントに属し、ボディサイズも世の中の流れに乗り全幅1800mm級に拡大。4ドアセダンは日本生産となるが、ハッチバックとタイプRはイギリス生産で、4ドアセダンとハッチバックは1.5Lターボエンジンを搭載する。

 ハッチバックはハイオクガソリン指定のハイパワー仕様エンジンを搭載するうえ、6速MTも設定しており、密かな人気を集めている。

 2Lターボを搭載するタイプRのコンセプトはズバリ“FFニュル最速”で、そのタイムは7分43秒80と今のところその座に君臨。

 乗ってみるとサーキットなどでの速さに加えて、路面が酷く荒れたニュルを走るクルマだけに硬いながらも乗り心地は極上で、普通に乗っていても「高級な走り」を楽しめるクルマに仕上がっているのには驚かされる。

スズキはハンガリー製多し!

■エスクード/ハンガリー生産

 2015年10月に登場した4代目モデルとなるエスクードは、スズキの大きな生産拠点の1つであるハンガリー製。日本仕様のバリエーションは、それぞれ4WD+6速ATと組み合わされる1.6L・NAと1.4Lターボとなる。

 日本では地味な車ながら、乗ると全体的に欧州車のような硬質感があり、悪いクルマではない。しかし、価格は安くもなく、自動ブレーキの性能も遅れているなど、日本人が積極的に買いたくなる車でないのが惜しい。

■SX4 Sクロス/ハンガリー生産

 2代目となるSX4は、コンパクトSUVのエスクードに対するクロスオーバーとなる存在で、2015年2月に登場。ラインナップは1.6Lエンジン+6速ATにFFと4WDが設定される。全体的な印象はエスクードと良くも悪くも同様で、日本市場では厳しい。

■バレーノ/インド生産

 バレーノはハンガリー以上にスズキにとって大きな生産拠点となっているインドで生産。VWポロやルノー ルーテシアのような3ナンバー幅となる“大き目のコンパクトカー”だ。

 ラインナップは1L・3気筒ターボ+6速ATの「XT」と1.2L・4気筒NA+CVTの「XS」の2つとなる。クルマ自体は車重の軽さや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールが標準装備される点は評価できるが、それ以外は残念ながら魅力に欠ける。

海外生産の日本車を日本で販売する狙い、メリット

 まず気になるのは価格について。定価は為替の変動に対応するため安く決めにくいこともあり、円高が長期的に続くことでもない限り、海外生産車は特に安くないというのが実情だ。

 この点はマーチやミラージュの価格が、日本生産の競合車パッソ&ブーンに対して安くないことからもよくわかる。

 では何が狙い・メリットなのか? ユーザーにとって最も大きいのは「日本で生産できるほどではないけれど、一定の需要がありそうな面白い、変わった車がディーラーで普通に買える」ことだろう。

 この点はメーカーにとっても比較的少ない投資でラインナップのバリエーションを拡充できることに通じる。

 もうひとつは、特に欧州生産の場合、ショックアブソーバーなどの部品が生産地のものとなる可能性が高い関係で、日本車でありながら欧州車のようなフィーリングを味わえることだろう。

 一例として現行シビックの標準モデルは日本生産の4ドアセダンよりイギリス生産のハッチバックの方が乗り心地がいい。

 このように海外生産の日本車は日本の自動車市場を面白くしており、日本国内の雇用などに影響を与えない“ほどほどの範囲”で増えることを望みたい。

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