現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > トップ3からベストを選ぶ 凄まじい動力性能のフェラーリ296 GTB 2種のポルシェも BBDC 2022(5)

ここから本文です

トップ3からベストを選ぶ 凄まじい動力性能のフェラーリ296 GTB 2種のポルシェも BBDC 2022(5)

掲載 1
トップ3からベストを選ぶ 凄まじい動力性能のフェラーリ296 GTB 2種のポルシェも BBDC 2022(5)

メーカーや価格を問わず今年のベストを選出

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権の審査は厳しい。サーキットの縁石へ容赦なく乗り上げるし、水たまりが残っていても構わず攻め込む。糖質の高い炭水化物も、休憩時間に避けることは難しい。

【画像】トップ3からベストを選ぶ フェラーリ296 GTB ポルシェ718ケイマン GT4 RS 911 GT3 全149枚

1メーカー1車種というルールを設けることもできるだろう。その考え方には一理あるが、本当に公平な選考基準だとは限らない。公平に見えるようにするための、恣意的な決め事といえる。

AUTOCARでは、そんなことはしない。国やメーカー、価格を問わず、今年を代表するドライバーズカーといえる上位10台と、昨年のディフェンディング・チャンピオンを同時に比較する。数名の審査員で。

比較する場所は、いつものグレートブリテン島の中西部に位置するノース・ウェールズ地方。チャレンジングな一般道とアングルシー・サーキットが舞台。これが毎年のやり方だ。

というわけで、2022年のノミネート車両には2台のポルシェが選ばれた。いずれも秀逸のGTモデルで、1台はディフェンディング・チャンピオンだから、間違いなく最高の仕上がりにある。11台による直接比較を経て、トップ3に勝ち残っている。

ポルシェ911 GT3と718ケイマン GT4 RSは、すべての審査員から疑問の余地がない点数を得ている。好みや考えの異なる5名が、同じ条件で乗り比べ、ドライビング体験の楽しさを採点していく。

最高出力や最高速度も、直接的には点数に関与しない。プロセスは至って公平だ。不要な主観は入ってこない。

レース用ガソリンを持ち込んだフェラーリ

ただし同じ条件という基準では、フェラーリは若干逸脱していたかもしれない。恐らく34回のBBDC選手権を通じて、電気の力まで借りた296 GTBは最高出力が1番高いが、もちろんそれが理由ではない。

フェラーリは今年、極めてグリップ力の高いミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2 Rタイヤを自ら持ち込み、アングルシー・サーキットでの走行に備えた。しかも、独自に手配したレース用のハイオクタン・ガソリンを給油してもいる。

ノミネート車両を貸し出してくれた各メーカーは、もちろんポルシェも、そこまではしていない。BBDC選手権に対する彼らの意気込みは伝わってくるが、これをどう捉えるだろうか。

もちろん、パイロットスポーツ・カップ2は、ショールームで選択できるタイヤではある。しかし、レース用ガソリンについて事前に知らされていれば、筆者は反対しただろう。通常のガソリンで評価したいと主張したはず。

フェラーリ側は、事前許可ではなく事後として許してもらおう、という姿勢だった。296 GTBは2022年のドライバーズカーとして秀抜で、今回の審査から除外することはできなかった。

充分速く走れるのに、それ以上を求める必要はないように思う。不正行為というわけではない。レース用ガソリンに対してはルールを設けていない。これは、AUTOCAR側の不備といえるかもしれない。

必要に応じて能力を最大限に発揮できるよう、事前の整備は認めているが、ラップタイムは審査の得点へ直接結びつくものではない。後味が悪くても、クルマに罪はないが。

センセーショナルな296 GTBの運転体験

とにかく、296 GTBのドライビング体験は、センセーショナルという表現がぴったりだった。ジェームス・ディスデイルは「脳みそがヤラれるほどの驚き」。だと口にし、リチャード・レーンは「芸術作品のようだ」。と称賛する。

ラップタイムは確かに速かった。多くのミドシップ・フェラーリのように。それでいて、2021年のSF90 ストラダーレともひと味違う。コーナーではバランスに優れ、操縦性はダイレクト。ステアリングホイールやペダルの重み付けも繊細だ。

一般道での乗り心地は、穏やかと呼べる範囲。右足の動きに理性があれば、日常的な移動手段にもなり得る。

サーキットでの走りに、より高い得点が集まったことも間違いない。ステアリングホイールにはおなじみの軽さとダイレクト感があり、シャシーは常に旋回できる態勢にあった。

システム総合で830psを生み出す、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)が叶える動力性能は凄まじいのヒトコト。一部のドライバーには、過剰にすら感じられるだろう。

この過剰ぶりが、フェラーリらしさでもあると考える人もいるとは思う。しかし、やりすぎは最高の結果を招かないこともある。スーパーカーとして最大の魅力になり得る、動的能力にも影響が出てしまう。

事実、「公道では殆ど展開できない」。という内容を複数の審査員が口にしていた。それ以外の強みへ、考えを巡らせる必要があった。

審査員を唸らせたPHEVシステム

296 GTBのPHEVシステムは、多くの審査員を唸らせた。V6ツインターボ・エンジンに電気モーターを組み合わせたマクラーレン・アルトゥーラと、V6ツインターボのみで走るマセラティMC20という2台との比較も有効だった。

フェラーリの3.0L V6ツインターボは、高回転域でのドラマチックなサウンドでドライバーを魅了する。それ以外の回転域でも、甘美な音響に浸れる。MC20のサウンドは若干荒々しく機械的。アルトゥーラはボリュームが控えめで、線が細く聞こえる。

そしてマラネロの工場は、世界有数といえる高性能エンジンの産地。痛快なピークパワーが放たれ、完成度の水準は極めて高い。同時に欧州で規定されるCO2排出量を達成するべく、電動化技術を取り入れ目標値を余裕でクリアしている。

V6エンジンの能力には、崇高さすら感じるほど。102オクタンの特別なガソリンを燃やさなくても、われわれは感服していただろう。

ところが、296 GTB以上にアングルシー・サーキットで巨大な驚きを与えたクルマが存在した。ポルシェ718ケイマン GT4 RSだ。一部の審査員にとっては初試乗となったことも、多少は影響していると思うが。

718ケイマンの小柄なミドシップ・シャシーに、ドイツ・ヴァイザッハのポルシェGT部門が組み上げた自然吸気4.0Lフラット6が収められている。ドライバーの直後から、壮大なサウンドが直に響いてくる。

9000rpmへ接近するほど、カーボンファイバー製インダクションを流れる空気も増大。陶酔せずにはいられなかった。

この続きは(6)にて。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
レスポンス
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
バイクブロス
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
motorsport.com 日本版
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
LE VOLANT CARSMEET WEB
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
くるまのニュース
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
VAGUE
「RS」最新モデル日本上陸!! アプリリア「RS457」発売
「RS」最新モデル日本上陸!! アプリリア「RS457」発売
バイクのニュース
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
LE VOLANT CARSMEET WEB
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
モーサイ
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
Webモーターマガジン
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
バイクブロス
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」  理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
くるまのニュース
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
レスポンス
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
AUTOSPORT web
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
乗りものニュース
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
くるまのニュース
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村