現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > XJやXKの価値観に縛られるな!──新型ジャガー I-PACE試乗記

ここから本文です

XJやXKの価値観に縛られるな!──新型ジャガー I-PACE試乗記

掲載 更新
XJやXKの価値観に縛られるな!──新型ジャガー I-PACE試乗記

ジャガーのピュアEV「I-PACE(アイペース)」が、日本で受注開始されたのが2018年9月だ。2019年7月までの約10カ月のあいだ、I-PACE目的で販売店を訪れる客は多いそうで、来店数および試乗率はSUVの「E-PACE」デビュー時よりうわまわっているという。

I-PACEは、全長4695mmの車体のフロントとリアに1基ずつ電気モーターを搭載した全輪駆動システムを搭載する。バッテリー容量は90kWと大きく(テスラモデル3は75kW)、メーカー発表による加速性能は、静止状態から100km/hまでに要する時間はわずか4.8秒。驚きだ。

2代目も大ヒットの予感──新型レンジローバー イヴォーク試乗記

実際乗ると、速くて、そしてスポーティだった。電気自動車で個性を創り出すのは難しいのでは? と、考える“エンジン派”の疑義に対し、フォルクスワーゲンのヘルベルト・ディース最高経営責任者が「エンジン以外でも、乗り心地やハンドリングで充分に個性が出せます」と、コメントしたのをふと思い出した。

事実、I-PACEで印象に強く残ったのは、ハンドリングのよさである。軽快にコーナーを曲がっていくのだ。操舵への反応速度はとても速く、小さくないボディの5ドア車なのに、まるでスポーツカーのように走る。

重いものは、バッテリーといいコンバーターといい電気モーターといい、すべてフロア下に収まっている。鼻先には、ほぼなにも載っていないのだ。

そういったことの恩恵がたっぷり感じられる、すなおでクイック、そして気持のよい操縦性だ。くわえて、高出力バッテリーや大型モーターゆえの大トルク、高いシャシー性能などには、スポーツ・カーを作り続けてきたジャガーらしさを感じた。

私はI-PACEで、横浜・首都高速湾岸線の大黒ふ頭にある、”ろうと”状のループ線を走ったときが、もっとも楽しかった。太いトルクで4輪を駆動しながら、車体のロールを抑えつつ、小さめの舵角でいっきに駆け上がれるのだ。

下りもおなじで、ダッシュ力はあるし減速は確実で強力。箱根などでコーナーを抜けて直線へ、そしてまたコーナーへ……といったワインディングでのドライブは痛快だろうと想像した(未経験)。

コーナリング性能の高さは、電子デバイスにも負う部分が大きいかもしれない。試乗した「ファーストエディション」は、「アクティブエアサスペンション」と20インチタイヤを装着していたが、この組み合わせは想像以上にマッチしていた。

興味ぶかいのは、ピュアEVを手がけているのは、圧倒的にプレミアムブランドが多い点だ。ジャガーしかり、BMWしかり、アウディしかり、メルセデス・ベンツしかり。テスラは、それら3社とは成り立ちが違うものの、高価格のEVを専門としている。

また、2019年は、フォルクスワーゲンが「ID.(アイディー)」で本格的にEV市場に参入する。これにより、EVの裾野が広がり、かつ一般的な乗用車の購買層がEVを購入するケースが増えるはずだ。

なにはともあれ、現在の話をすると、プレミアムブランドが手がけただけあるな! と、思わせるのが、ジャガー I-PACEと、アウディ e-tronだった。

ジャガーとアウディのEVを、比べるとおもしろい。アウディが装備盛りだくさんでプレミアム感を強調しているのに対して、ジャガーの場合、装備はややシンプルなもののスポーティ感を強調し、独自のキャラクターを確立している。

I-PACEは、EVならではの装備として、回生ブレーキの強度を任意で変更出来る機構を持つ。強くすると、意外なほど回生ブレーキが効く。いわゆる“ワンペダル運転”が可能になる。

ただし、“強”での減速Gはあまりに強いので、市街地ではあまり快適ではなかった。乗員ばかりか、ドライバーも違和感をおぼえるかもしれない。私は早々に、弱めに変更した。

I-PACEのもうひとつの特徴は、スタイリングだ。キャビンがぐっと前に出ているいわゆる“キャブフォワードデザイン”である。理由は、エンジンが前にないからだ。ちなみに、フロント部分は物入れになっている。

全長は4695mmとそう大きくない。それに対し、ホイールベースは2990mmもある。ゆえに、インテリアは広々している。とくにリア・シートは、レッグルームもヘッドルームも余裕は十分だ。

冒頭で触れたように、I-PACEに興味を持つひとは多いようであるが、同時に、輸入元のジャガー・ランドローバー・ジャパンの広報部によれば、「充電インフラへの不安などから、購入を躊躇している人も多いです」とのこと。

自宅への充電器設置サポートや、公共充電器の使用をスムーズにする専用充電カードなど、販売店ではさまざまなサポートをし、「多くの人にピュアEVの素晴らしさをアピールしたいです」と、ジャガー・ランドローバー・ジャパンの広報担当者は続けて述べた。

ジャガーのEV戦略に、今後も注目だ。

こんな記事も読まれています

「なんで“鳴らした”!?」 後続車の「クラクション」に“イラ”っと! 一度は感じる「ブレーキ問題」! 見直すべき“ブレーキ技術”とは
「なんで“鳴らした”!?」 後続車の「クラクション」に“イラ”っと! 一度は感じる「ブレーキ問題」! 見直すべき“ブレーキ技術”とは
くるまのニュース
BMW「G 310 GS」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
BMW「G 310 GS」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
軽だけど広い! フラットスペースが魅力のスズキ エブリイがベースの軽キャンパー
軽だけど広い! フラットスペースが魅力のスズキ エブリイがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
えぇ!? 攻めたワゴンの高級車!? 懐かしきホンダ[アヴァンシア]
えぇ!? 攻めたワゴンの高級車!? 懐かしきホンダ[アヴァンシア]
ベストカーWeb
豊田章男会長、トヨタの大逆転王座に歓喜。戦友ヒョンデへ「来年もいい勝負しましょう!」/ラリージャパン後コメント全文
豊田章男会長、トヨタの大逆転王座に歓喜。戦友ヒョンデへ「来年もいい勝負しましょう!」/ラリージャパン後コメント全文
AUTOSPORT web
ラリージャパン主催者に対し2400万円の罰金通告。FIA/WRCがSS12一般車進入事案のさらなる詳細を発表
ラリージャパン主催者に対し2400万円の罰金通告。FIA/WRCがSS12一般車進入事案のさらなる詳細を発表
AUTOSPORT web
ベストカー三人衆に内乱勃発!? 国沢さん、なぜ[ランクル300]じゃなく250にしたんですか!!
ベストカー三人衆に内乱勃発!? 国沢さん、なぜ[ランクル300]じゃなく250にしたんですか!!
ベストカーWeb
くるまりこちゃん OnLine 「バックブザーの音」第124回
くるまりこちゃん OnLine 「バックブザーの音」第124回
ベストカーWeb
「君はその一瞬一瞬すべてにふさわしい」レッドブル代表がフェルスタッペンの戴冠を称賛。懸命に作業に取り組んだクルーにも感謝
「君はその一瞬一瞬すべてにふさわしい」レッドブル代表がフェルスタッペンの戴冠を称賛。懸命に作業に取り組んだクルーにも感謝
AUTOSPORT web
[ダイハツ]に期待しかないよ!? 今後作ったらアツい[クルマ]を語ってみた
[ダイハツ]に期待しかないよ!? 今後作ったらアツい[クルマ]を語ってみた
ベストカーWeb
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
AUTOSPORT web
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
AUTOSPORT web
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

289.0898.0万円

中古車を検索
I-PACEの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

289.0898.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村