比較的に新しいGV/GR系も要注意! エンジンまわりにポイントが潜む
衰えぬ人気とは裏腹に、ハードウェアとしてはデビューから10年が経過したスバル・インプレッサGV/GR系。前回は、その前世代にあたる「GD/GC系のチェックすべきメンテナンスポイント」を指南したが、こちらも好調を維持するための定期的なメンテナンスが必要なゾーンへと突入している。 今回は、プロショップ「ディーランゲージ」でポイントを聞いてみることにした。
【凄さを再検証】スバル史上もっとも激しい 変化を遂げた「GD系WRX」の魅力
チューニングベースとしての魅力も含め、いまだ輝きを失わないスバル・インプレッサ(GV/GR系)。乗り換えなどまったく眼中にないほど、心底惚れ込んでいるオーナーの多いことでも知られている。 ただ、長く愛される存在ゆえ寄る年波への対策を怠ると、大変な事態を招くことも忘れてはならない。今回話を伺ったプロショップ「ディーランゲージ」の岡田代表も、水平対向エンジンの構造に由来する弱点を指摘する。 エンジンを支えるふたつのマウントよりも外側にピストンが配置されるという、横に長い構造となるのが水平対向。爆発を繰り返し激しく動くピストンとエンジンマウントとの距離がどうしても離れてしまうため、マウントにかかる負担が大きいというのだ。その劣化具合は、クランキングしただけで確認できるほどだとか。
チェック1【エンジン振動による不具合を確かめる】
5年/8万km走行の撮影車両のボンネットを開け、エンジンを始動。どんなエンジンも始動時には揺れは発生するが、問題なのは振れ幅で明らかに大きいのだ。 これが8万kmの距離を走った真実。シンメトリカルのメリットを享受できないばかりか、振動がクランプを緩ませパイプ抜けを誘発することも。しかし、対策は簡単でエンジンマウントを新品に交換するだけ。作業としては1時間もあれば完了する。 純正パーツは値上げするケースがあるが、STI製の強化品ならば安定した価格で購入可能。始動するエンジンを自分で見ることは難しいので、友人に手伝ってもらうなどして目視することをおすすめする。
チェック2【インタークーラーホースの抜け】
走行中はブースト圧をつねに受けているパイピング。 これも気づかぬうちに劣化しているポイントだ。クランプの部分は一見、締まっているように見えてじつは緩んでいたりするので定期的にチェックしておくのはもちろん、このように締めすぎてパイプに傷をつけないように留意しよう。
チェック3【ラジエターホース抜け&冷却水漏れ】
エンジンマウントの劣化による、エンジンの過大な振動が影響するポイントはまだある。 例えば、ホース類は素材の特性から経年による傷みも確実に発生するので劣化のダブルパンチを受けやすいという。抜けてしまってからあわてないためにも、これらは”定期交換部品”という認識を持ちたい。
チェック4【ミッションマウント他の交換】
エンジンマウントは、純正新品にするだけで乗り味がシャッキリ。効果も高く、新車の頃のフィーリングに近づけることができる。 このマウント交換と同時にやっておきたいのが、エンジンの縦方向の揺れを軽減させる「ピッチングコントロールロッド」の新品交換。さらにミッションマウント交換も同時に施工すれば工賃が節約できるのでオススメとのこと。
チェック5【パワステポンプのオイル漏れ】
比較的わかりやすいのが、パワステフルードの漏れ。タンク周囲やパイプからのにじみがないか目視で日常からチェックしておこう。耳からの情報としてはパワステポンプからの異音にも注意。「ウィンウィン……」という起動音がふだんより大きくなったと感じるようならギヤボックスの寿命が近いことも考えられる。 自分の五感に自信がないならプロショップに相談するのが結果的に近道だ。
チェック6【5速の変速操作でギヤ鳴りしたら……】
コストダウンのためにミッションのオイルポンプが省略されてしまったGR系。 それはシフトフィールへも影響を及ぼしている。”2速~3速”と”4~5速”間のクランク状にシフトする変速の際、動きに渋さを感じるのはオーナーならば自覚しているポイントだろう。無理矢理シフトするとギヤ鳴りを発生させてしまう。根本的な対策はないので、ていねいなシフトワークを心がけたいところだ。
チェック7【フロントパイプからの遮熱対策をしっかりと】
構造上しかたないのが、熱源である排気系とドライブシャフトとの距離の近さ。 800度近くまで過熱されたフロントパイプが、シャフトブーツ内部へ悪影響を及ぼすというのだ。グリスを劣化させ、ベアリングが正しく動かなくなってしまったシャフトは、破損を招くことも。 パワーを上げている車両はなおさら要注意。遮熱板による熱対策がオススメとのこと。
ディーランゲージがススメる、プチチューニング! サスペンションを支えるメンバーは、ゴムブッシュを介してボディへとマウントされている。おもに音振対策によるものだが、快適性とトレードオフして失われているのがリアサスやアーム類の正確な動線。ゴムは構造上、時間とともに劣化していくし、大きな入力の際にはねじれを発生させる。わずか数mmにも満たない動きがジオメトリーのズレを誘発させるのだ。 それを抑止するのがメンバーカラー。装着すれば本来の性能を発揮できる。
ディーランゲージ・リアメンバーアルミマウント ¥28,000
ディーランゲージ TEL03-6807-1557 http://dlanguage-z.com
“エンジンマウントは、クルマでいう“土台”のような存在。基礎をしっかりと作ることでトラブルを未然に防ぐことができます”とは、代表の岸サン。数百台の水平対向を診てきた言葉には重みがある。
(リポート:スバルマガジン編集部)
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