この記事をまとめると
■フォルクスワーゲンから「ID. 2all コンセプト」が世界初公開された
驚異のリッター100km超え! かつてVWが開発した燃費の怪物「XL1」とは
■低価格帯でのコンパクトEVとしてデザインされたコンセプトカー
■2025年に市販モデルを公開予定でベースモデルの販売予定価格は約360万円以下
フォルクスワーゲンらしさを表現したコンパクトEV
欧州の自動車に対する環境規制によって、自動車メーカー各社はEVのラインアップを急激に増やし始めている。なかでもドイツのフォルクスワーゲンは、EV専用ブランド「ID.」を設立して、ハッチバックやセダン、SUV、バンなどさまざまなスタイルでサイズも異なるモデルを用意し、ラインアップの充実化を図っている。日本市場にもすでにSUVのID.4が導入されているが、2024年末以降にはID.Buzzも導入される予定だ。
そんなフォルクスワーゲンが、新たなEVのコンセプトモデルとして「ID. 2all コンセプト」を世界初公開した。
このID. 2all コンセプトは、「ID.」シリーズで現在もっともコンパクトなモデルとしてラインアップされているID.3よりもさらに小さい全長4050mm、全幅1812mm、全高1530mmというボディサイズを実現した。
エクステリアデザインは、親しみやすいフロントフェイス、ホイール上に構築されたクリアで力強いボディシェイプ、初代ゴルフを彷彿とさせるCピラーなど、新しさのなかにもフォルクスワーゲンの歴代モデルの特徴を取り入れたものとなっている。
一方インテリアは、10.9インチのデジタルメーターディスプレイと12.9インチのタッチディスプレイ以外はスッキリとした印象だが、照明付きボタンによる空調コントロールパネルやオーディオの音量を調節するロータリーコントロールなどの物理スイッチを残したことで、乗員が直感的に操作できるように考えられている。
また、積載容量は通常の状態でも440Lを誇るが、後席を倒すことで容量は1330Lまで広がり、ワンサイズ上のクラスのモデルに匹敵するユーティリティを実現。さらに、リヤシートの下にも50Lの収納スペースを確保しており、充電ケーブルや救急セットなどのアイテムを収納することができる。
EVのネックとなる航続距離を考慮したバッテリー性能
電気モーターはフロントアクスルに搭載され、最高出力は226馬力を発生する。そして、床下に配置されたバッテリーはWLTPモードで最大450kmもの航続距離を実現。さらに、EVとして同社初の前輪駆動を採用した。ちなみに急速充電器を使用すると、20分でバッテリー残量を最大で80%まで充電することが可能だ。
さらに、最新テクノロジーとして、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシスト機能などによって部分的な自動運転が可能な「トラベルアシスト」や、駐車を代行してくれる「パークアシストプラス」などを装備しており、ドライバーの負担を軽減してくれる。
市販時の価格は、ベースモデルが2万5000ユーロ(日本円で約360万円)を切るプライスを予定しており、EVの普及を目指した心意気を感じさせる価格設定となっている。
ID. 2all コンセプトは、2025年に欧州市場で市販モデルを公開する予定だが、現時点で市販されてもおかしくないほどの高い完成度となっている。2026年までに10車種の新型EVを発表するというフォルクスワーゲンの計画に、量産モデルのID. 2allももちろん含まれているが、市販化された際には、これまでにない低価格帯のコンパクトEVとして、多くの人にとって魅力的なクルマになることは間違いないだろう。
さらに、フォルクスワーゲンは、新たなEVのコンパクトSUVを2026年に登場させることもアナウンスしているから、今後の動向にも注目したい。
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