野尻智紀(TEAM MUGEN)にとって、富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラの第6戦、第7戦はうまくいかない週末になった。
野尻は第6戦の予選では3番手、第7戦の予選では2番手と、予選では好調なパフォーマンスを見せた。しかし決勝ではいずれもポジションを落としてフィニッシュとなり、第6戦は6位、第7戦は7位。VANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔が連勝したこともあり、チャンピオンシップリーダーの座から陥落し、さらに牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)にも抜かれ、ランキング3番手という立場で、鈴鹿サーキットで行なわれる最終2戦に挑むことになった。
■岩佐歩夢、富士スピードウェイでの第7戦は6ポジションアップの6位「悪くはなかったけど、良くもなかった」週末
初日の第6戦を終えた段階で野尻は、クリーンエア(前方に他のマシンがいないポジション)を走れる戦略を採れなかったことが敗因だと語っていた。そのため第7戦に向けては、ダウンフォースを増やしたセッティングで臨んだが、これが逆に悪い方向にいってしまうことに繋がった。
「パフォーマンスを引き出そうと、セットアップを含めてかなり尖ったモノを用意して臨んで、幸いというか2番グリッドを手にできたということは、そのあたりがうまく機能したのかなと思っています」
野尻は第7戦のレース後にそう語った。
「レースに向けて色々とトライしたんですが、思ったような結果が得られませんでした」
「ダウンフォースをつけ気味で走ったんですが、それでもセクター3のパフォーマンスはまったく改善されませんでした。セクター3で追いつかれ、防御のためにOTS(オーバーテイクシステム)を使わざるを得ない状況になって、翌周に後ろのマシンだけがOTSを使える状態になって抜かれるという、そういうワンパターンなレース展開になってしまいました」
「ダウンフォースをつけたのは、セクター3の改善であったり、全体的なリヤグリップの向上を狙ってのことでした。でもそれがあまり出ず、むしろアンダーステアが強くなってしまった。欲しいところでリヤのグリップが足らず、コーナー途中ではすごいアンダーステアに悩まされてしまった。ダウンフォースを増やした旨みをまったく使えませんでした。マシンとして、かなり悪い方向に行ってしまいました」
野尻曰く、今回の富士は、自身のキャリアの中でも特に苦しんだ週末だったという。それをバネに、最終2戦までの1ヵ月を、「人生で一番頑張った」と言えるような時間にすると誓った。
「今日のもがいて苦しんだ1日は、必ずどこかでプラスになって返ってくるモノだと信じています。それが鈴鹿になるのか、もっと先になるのかは分かりませんけどね」
そう野尻は語る。
「ゴールしてから無線でも言ったんですが、個人的にはこれからの1ヵ月は、人生で一番頑張ったと言える1ヵ月にしないといけないと思っています。まだまだチャンピオンシップは諦めていませんし、鈴鹿は開幕戦で優勝しているサーキットですから、なんとか挽回して、まだまだ終わっていないぞというのをお見せできると、さらに盛り上がると思います」
「そういう盛り上げられる役者のひとりになりたいなと思います」
鈴鹿はコーナリングが重要視されるコース。コーナーでの速さには、冬のテストの時から自信を持っていると、野尻は語る。しかしその一方で、今回の富士もそうではあるが、直線のスピードに苦しんだ部分があり、それを解析していく必要があるという。
「冬のテストの時はストレートが伸びていなかったということがあってタイムを伸ばしきれませんでしたが、コーナーだけを見ると僕の方が速いなと思っていました。ですから、個人的には期待しています」
「でも現状を見ると、ストレートだけがちょっと遅いなというのは今週も同じだった気がするので、もう少し解析が必要なのか……自分たちによくないモノがあると思うので、そこを改善するのが大切だと思います」
「ただ僕らにとって幸いなのは、少なくとも(チームメイトの)岩佐(歩夢)選手も似たような部分で悩んでいると思います。チームとして、同じ課題を共有できているのは、ひとつ大きいです」
苦しい中でも、この日獲得したポイントがタイトル争いに活きてくるかもしれないと、野尻は考えている。
「今日も最終的には7位でしたが、ポイントを稼いだということ、そして次の予選Q1はB組で臨めるというところが、わずかながらではありますが、ポジティブなところかなと思っています」
「そういうポジティブなことが我々にも残っているので、まだチャンスはあるんだろうなと思っています」
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