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【F1第18戦無線レビュー】同士討ちに憤るラッセルをメルセデス代表が遠隔サポート「とにかくレースをしよう」

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【F1第18戦無線レビュー】同士討ちに憤るラッセルをメルセデス代表が遠隔サポート「とにかくレースをしよう」

 2023年F1第18戦カタールGP。気温と湿度の高い厳しい状況のなかでスタートを迎えたが、今回はスタートから波乱のレースとなった。タイヤの周回数に制限が設けられたため、ドライバーは厳しい環境下で毎周予選のようなラップを走ることを強いられ、体調不良者も相次ぐ過酷な戦いが繰り広げられた。カタールGPを無線とともに振り返る。

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GPDA会長ブルツ「レース後の様子は決して素晴らしいものではなかった」F1の暑さ対策として『冷却シート』に注目

 前日のスプリントでは、新鋭オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が初優勝。そして2位に入ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の3連覇が確定した。それを受けての決勝レースは、スタート直後から波乱の展開となった。

 上位勢では、唯一ソフトタイヤを履いたルイス・ハミルトン(メルセデス)。フォーメーションラップで、得意のぼやきが出た。

ハミルトン:これじゃ、全員のカモにされるよ

 前日のスプリントで、ソフトが使い物にならないことは明らかだった。しかし直前に『1セット最大18周』の周回制限が決まり、ミディアムタイヤの少ないハミルトンにはこれが最善の策だった。

 ハミルトンの背後ではニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が、ベテランらしからぬ大ミスを犯してしまう。直前に見つかった燃料漏れトラブルで、カルロス・サインツ(フェラーリ)が欠場。そのために空いた12番グリッドに、真後ろの14番グリッドのヒュルケンベルグが入ってしまったのだ。

ヒュルケンベルグ:みんな、申し訳ない

 ヒュルケンベルグはこれで、10秒ペナルティを科された。そしてスタート直後には、順位アップを焦ったハミルトンが、ジョージ・ラッセル(メルセデス)と接触してしまう。

ラッセル:ダメージだ!

ハミルトン:チームメイトに、はじき出された

 言い方は冷静だが、ラッセルが悪いと主張。一方のラッセルは、怒り心頭だった。

ラッセル:何てことだ! 2戦連続だよ!

 前戦日本GPでも、ふたりはあわやというバトルを繰り広げ、「ハミルトンに順位を譲れ」という指示に、ラッセルは激しく抵抗していた。そして譲った後のハミルトンは、DRSも使わせてくれずに先に行ってしまい、サインツに抜かれてしまう。その遺恨を、ラッセルは決して忘れていなかったということだろう。

 しかしその後、ラッセルはトーンダウンする。

ラッセル:申し訳ない。確かに僕も、後ろは見てなかった。でも突然、(ハミルトンが)どこかから来たんだ

トト・ウォルフ代表:とにかくレースをしよう

 ラッセルは緊急ピットインしたものの、なんとかレースに復帰。一方、リタイアしたハミルトンはのちに、「100%僕のミスだった」と、事故の責任を認めた。

 事故の混乱を切り抜けて6番グリッドから2番手にジャンプアップしたピアストリに対し、ランド・ノリス(マクラーレン)も10番グリッドから、10周目には5番手まで順位を上げていた。しかし13周目の最初のタイヤ交換後は、13番手まで後退してしまった。

14周目
ノリス:ペースはすごくいい。だから次は、このペースをしっかり使おう

 コース復帰の際に渋滞にはまってしまったことに、文句を言っているのは明らかだ。

 依然として30度近い気温、約80%の湿度というコンディションの下、短いスティントを毎ラップ予選のように集中して走り続けるドライバーたち。

26周目
アロンソ:シートが燃えるくらい熱いんだけど。何かピットストップでできるか? 水をかけるとか
クリス・クローニン:わかった。考えてみる。難しそうだけどね

36周目
ローガン・サージェント:ものすごく気分がよくない
ジェームズ・ボウルズ代表:ローガン、君は十分に勇敢に戦った。そのまま戻ってくるんだ
サージェント:いや、ジェームズ。このまま完走すると約束するよ
ボウルズ代表:わかった。君に任せる
サージェント:約束は守るよ

 しかしサージェントの体調は、限界だった。

41周目
サージェント:気分が悪い
ガエタン・イエゴ:リタイアしていい。無理するな

サージェント:本当に申し訳ない
イエゴ:いいんだ。大丈夫だ

47周目
ウィル・ジョゼフ:このままの順位で行くぞ
ノリス:なに言ってるの? 後ろとのギャップはたっぷりあるし、僕の方が全然速いんだけど

 2番手ピアストリを追うノリス。確かにレースペースは、ノリスの方が速い。前日のスプリントで自分より先に優勝を攫われて、意地になっているのだろう。ファステストラップを出して、ピアストリとの差を1秒6まで詰める。するとピアストリもセクター1で最速だ。

47周目
マーク・スレード:ブラボー10、ポジション4にする必要がある
マグヌッセン:そんなの全然意味ないじゃないか

 この指示が具体的に何を意味するのかは不明だが、ペースを落とすものだったのだろう。激しく反発したマグヌッセンは、この時点で14番手だった。しかし自分では、入賞圏内にいると勘違いしていたようだ。

57周目
マグヌッセン:ちょっと乱暴になってしまって、悪かった
スレード:いいんだ。気にするな
マグヌッセン:ポイントを争っていると思ったんだ

 結局14位のまま、チェッカーを受けた。

チェッカー後
ジャンピエロ・ランビアーゼ:よくやった、マックス。チャンピオンにふさわしいレースだった。最高級の運転、最高級のレース支配だった
クリスチャン・ホーナー代表:GP(ランビアーゼの略称)の言う通りだ。

 いつも気の利いたことを無線で言おうとするホーナー代表だが、この日はランビアーゼ以上の褒め言葉を思いつかなかったようだ。

ピアストリ:みんな、ありがとう。間違いなく、人生で最もタフなレースだったよ。そしてターン1で台無しになるところだったのを、見事にアシストしてくれたのにも感謝だ

 6番グリッドのピアストリは、スタート直後のメルセデス2台の同士討ちの間隙を縫って、一気に2番手に浮上した。本人の咄嗟の判断以外にも、チームから何らかのアドバイスがあったのかもしれない。いずれにしても日本GPに続いて、ピアストリとノリスがダブル表彰台。レッドブルは別格として、マクラーレンが改めて強さを見せたレースだった。

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みんなのコメント

2件
  • 日本GPは楽しかったよーでもカタールなどF1レースを行う
    環境では無いよ。まず糞暑いし強風にハンドルを取られ砂が
    舞い上がって視野を遮る。全てオイルマネーにしがみつくFIA
    の思惑だけだ。可哀相なのは操られているドライバー達だ。
  • 知らないうちに日本GPが終わっていた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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