現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > フリーランス自動車ライターが選ぶ、カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

ここから本文です

フリーランス自動車ライターが選ぶ、カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

掲載 更新
フリーランス自動車ライターが選ぶ、カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

本当に早いですね。なんだかまだ3月くらいの感覚です。ぜんぜん間に合ってない。何も終わってない感じさえするのですが、もう年の瀬。こうして時間とは過ぎていくのですね。怖いものです。さて、そんなことを改めて実感したのは編集部から「今年、中込さんが選ぶ個人的カーオブザイヤーは?」という連絡を受けてのこと。だいたい11月くらいからのイベントがらみの原稿だってまだ終わっていないのに。恐ろしい限りです。

今年もおかげさまで様々なクルマに乗せていただきました。そんなクルマの中で今年を締めくくる一台というのを少し振り返ってみたいと思います。

日本で年間に1万キロ以上走ると「過走行」と言われる件について思うこと

ニューモデルではないですが、好感触だったのは、フォルクスワーゲンのマイナーチェンジしたup!と、モデル末期、最後の5ナンバーボディのポロでしょうか。最近のクルマ、やたらと、乗る人を「ステージに上げる」ようなところがあります。しかし、クルマってパーソナルな空間であって、個人的なモビリティという側面は強いですよね。だから、「嗚呼、帰ってきたな」と思える感覚って大事なことではないでしょうか。この2台は、そこのところとても色濃く残しているように感じます。up!も手漕ぎで乗ればスムーズに行く・・・と思っていましたが、自動変速モードで、クルマと会話しながら変速のタイミングを諮るような乗り味は、それこそ、昔でいうところのマニュアル車が持っていた楽しさに近いものなのではないでしょうか。「慣れればOK」は、本来みんなが使うクルマではあってはならないことなのではないか、と思ったこともありましたが、あのコツをつかむと、むしろマニュアル車よりも楽しいのではないかと思う瞬間すらありました。軽自動車も、ちょっと贅沢を言い出すと200万円では収まらないこのご時世。200万円できっちりおさまる価格帯で、ザ・ドイツ車のしっかり感が買えるのは、とても素晴らしいことなのではないでしょうか。

あと、アテンザのワゴン「ディーゼル・マニュアル・四駆」が21世紀の今乗れることの喜びは感涙モノでした。しかもあのクルマ、マニュアルなのに追従型クルーズコントロールまでついていて「手でキコキコ変速する楽しさがあれば疲れなんて感じない」ばかりでなく、「本当に疲れ知らずのマニュアル車」である点は感動を覚えたというか、思わず笑いがこみ上げてくるほどでした。ああいうクルマをしっかりカタログに乗せ続ける一点をもってしても注目に値しますし、そんなに小ぶりなクルマではないのについつい寄り道してしまう、乗る人のフットワークを軽くさせる一台。印象的でした。

マツダと言えば、このエンジンが刷新されて搭載された、グローバル視点を国内にも展開、ではなく、国内市場を見据えたニューモデルCX-8も、ずっと大きく重たいはずなのに、アテンザよりも身軽にすら感じるとてもよくできたクルマでした(これについてはCLでもできればレポートしたいと思っています)。

また、コンパクトなクルマという点では、ホンダのN-BOX。誤解を恐れずに言えば、ホンダ車の中で一番いいかもしれないと思う出来栄えでした。N360、シビックと、こういうベーシックなクルマを作らせると昔からうまいメーカーでしたが、惜しみなくお金もかけて作られているし、それが鈍重になるのではなく、スリム化にもかなりのきんすをかけている。目に見えないホンダイズムみたいな部分へのこだわりも強く感じることができる一台。軽自動車として、ではなく全方位的に非の打ち所がないクルマに仕上がっており、感銘を受けた次第です。

ただ、私としては、マセラティ レヴァンテSも強く推しておきたいと思います。マセラティがSUVなんて!と腹を立てるエンスージアストがいるのも理解はできます。しかし、見栄えからして、多くの人に受け入れられるのが今のご時世、SUVなのです。この手のクルマが売れて、お金を稼いで、看板商品を開発するという手法は、もはやプレミアムカーブランドの常套手段と言ってもいいでしょう。しかしそんな中にあって、ただちょいちょいとお手軽にトライデント付けたSUV作りました、ではないところに「さすがマセラティ」と思ったわけです。

今や、グラントゥーリズモ以外のすべてのモデルで四輪駆動が選べるマセラティ。そんなブランドで、そこに特化したニューモデルを出すにあたっては、独自の優位性、プレミアム感が必要でした。ドライバーに執拗にトライデントあるいは「マセラティ」のブランドを主張する設えや、初の全モデルエアサスペンションの採用などで、ベースとなっているギブリにも負けないフラットでジェントル…。そしてスポーティーな振る舞いすら見せるのです。一度アクセルペダルを踏み込めば、GTである主張も当然のこととして披露してくれるこのレヴァンテ。ビトゥルボが世に出た時だって、それなりの抵抗がファンの中にはあったのではないでしょうか。それを思うと、レヴァンテいいじゃないか!心ときめく一台でした。

しかし、今年乗った一台としては、シボレー コルベット グランスポーツを挙げておきたいと思います。まさに内燃機関の最後のきらめきを見たような気がしたからです。6.2リッターV8 OHVエンジンというのも唯一無二ですが、それと組み合わせられる7速のMTを操りながら、デロデロとトルクの波を背で感じて走ることは、おそらく金輪際人間が許されることのないことなのではないでしょうか。日本で本気を出せる場所などありません。7速あったって使い切れっこないのです。でもそういう問題ではないのではないか。あの時乗って、思わずほろりと熱いものがこみ上げてきた。そんな体験はここ最近ありませんでした。できることならもう一度乗りたい。利口な人は日本の道路事情に合わせたクルマがないから日本でアメ車は売れないとアメリカに食って掛かる。しかしそうではないと思うのです。アメ車はこうでないと。

昔のイギリス車よりも旧弊で、イタリアのクルマよりも日本のことなどみじんも考えていない。明日のことを考えるのはドイツ車に任せた。こういうキャラクターのクルマに乗って豪快に笑っている陽気なアメリカにこそ、魅力を感じるのではないでしょうか。トランプ政権からの要求にこたえられる奴はお前しかいないんだ!無責任にもそう思わずにはいられないので、この「陽気な特殊車両」を今年の一台としたいと思います。

[ライター/画像 中込健太郎]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

突如裏切る日本の路面。「あちこちでスライド」「一体どこでパンクしたのか」/ラリージャパン デイ2コメント
突如裏切る日本の路面。「あちこちでスライド」「一体どこでパンクしたのか」/ラリージャパン デイ2コメント
AUTOSPORT web
フェルスタッペンが2024年チャンピオンに輝く。これで4連覇! 優勝はラッセルでメルセデス1-2。角田も耐えのレースを凌ぎ9位入賞|F1ラスベガスGP決勝
フェルスタッペンが2024年チャンピオンに輝く。これで4連覇! 優勝はラッセルでメルセデス1-2。角田も耐えのレースを凌ぎ9位入賞|F1ラスベガスGP決勝
motorsport.com 日本版
勝田貴元、3度目のWRCラリージャパンは総合4位。トヨタのメーカータイトルに安堵も「来年は表彰台の一番上で」
勝田貴元、3度目のWRCラリージャパンは総合4位。トヨタのメーカータイトルに安堵も「来年は表彰台の一番上で」
motorsport.com 日本版
災害時&過疎地の新ヒーロー? 「移動ATM車」をご存じか
災害時&過疎地の新ヒーロー? 「移動ATM車」をご存じか
Merkmal
[Pro Shop インストール・レビュー]メルセデスベンツ GLC(根本俊哉さん)by イングラフ 後編
[Pro Shop インストール・レビュー]メルセデスベンツ GLC(根本俊哉さん)by イングラフ 後編
レスポンス
F1ラスベガスGP決勝速報|フェルスタッペンがドライバーズタイトル4連覇! 優勝は盤石ラッセルでメルセデス1-2。角田は9位入賞
F1ラスベガスGP決勝速報|フェルスタッペンがドライバーズタイトル4連覇! 優勝は盤石ラッセルでメルセデス1-2。角田は9位入賞
motorsport.com 日本版
東北道「浦和ICの大改造」ついに“最後のランプ”建設へ 並行ランプを通行止め 側道利用者は注意!
東北道「浦和ICの大改造」ついに“最後のランプ”建設へ 並行ランプを通行止め 側道利用者は注意!
乗りものニュース
トヨタWRCマニュファクチャラーズ王者に豊田章男会が破顔「苦労して獲ったタイトル」ライバルのヌービル初王者にも祝意
トヨタWRCマニュファクチャラーズ王者に豊田章男会が破顔「苦労して獲ったタイトル」ライバルのヌービル初王者にも祝意
motorsport.com 日本版
波乱だらけのラリージャパン! ニッポンの勝田が意地をみせSS連続ステージ優勝で総合4位につける
波乱だらけのラリージャパン! ニッポンの勝田が意地をみせSS連続ステージ優勝で総合4位につける
WEB CARTOP
最新「サファリ」がスゴイ! 「ハリアー」と兄弟車で登場! 「3列7人乗り」&英国風の“超精悍顔”がカッコイイ! 便利機能モリモリのタタ「最上級SUV」とは?
最新「サファリ」がスゴイ! 「ハリアー」と兄弟車で登場! 「3列7人乗り」&英国風の“超精悍顔”がカッコイイ! 便利機能モリモリのタタ「最上級SUV」とは?
くるまのニュース
1000万円以下で買えるV12搭載ランボルギーニ!…世界に4台しかない「ハラマ 400GTS」のAT仕様の出来は当時どうだった?
1000万円以下で買えるV12搭載ランボルギーニ!…世界に4台しかない「ハラマ 400GTS」のAT仕様の出来は当時どうだった?
Auto Messe Web
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
AutoBild Japan
ソニー損保、自動車保険満足度調査で2部門1位を獲得…事故対応に高評価
ソニー損保、自動車保険満足度調査で2部門1位を獲得…事故対応に高評価
レスポンス
最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後
最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後
motorsport.com 日本版
スズキ 新型「スポーツクロスオーバー」登場! 斬新デザインの“尖った”スタイリング!? 軽量な車体を活かした軽快な走り! 「Vストローム250SX」何が変わった?
スズキ 新型「スポーツクロスオーバー」登場! 斬新デザインの“尖った”スタイリング!? 軽量な車体を活かした軽快な走り! 「Vストローム250SX」何が変わった?
くるまのニュース
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
AUTOSPORT web
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
くるまのニュース
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1299.02349.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

298.02295.0万円

中古車を検索
レヴァンテの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1299.02349.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

298.02295.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村