運転したり使ってみると良い車なのに、価格が高いために売れ行きが伸び悩む車種がある。商品の価値は機能と価格のバランスで決まるから、機能が優れていても、それ以上に価格が高ければ良い商品ではない。高機能で割安でないと、売れ行きを伸ばせない。
売れ筋の軽・コンパクト・ミニバンは、全般的に機能が高く、価格は割安な商品が多い。実用性が重視されて販売台数も多いため、機能が低かったり価格が割高では競争に負けて売れないからだ。
二度と買えない!? 買っときゃよかった限定車 ベスト20【2010-2018年編】
ところが上記以外のカテゴリーには、価格が高いために売れ行きの低迷する車が散見される。
SUVは人気カテゴリーだが、趣味性が強いため価格にはあまりシビアではない。「価格が少し高くても、好きな顧客は買うだろう」という甘えもあり、割高な商品が生み出される。
また、セダンやミドルサイズハッチバックには海外の需要が多く、国内の事情だけで価格を決めにくい事情もある。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部
「上質だが割高」なCX-3
上記であげた例の筆頭は小型SUVのマツダ CX-3だ。プラットフォームはデミオと共通だが、車の内容はかなり違う。
例えばホイールは、デミオは4本のボルトで支えるがCX-3は5本だ。操舵感が落ち着いた印象で直進安定性が優れ、乗り心地には重厚感が伴う。運転感覚はボディサイズの割に上質で、デミオよりもCX-5に近い。
それなのに主要諸元などのデータには、デミオとの共通点が多い。プラットフォームだけでなく、発売時点ではクリーンディーゼルも同型で、インパネの形状まで同じだった。
居住性は前席は快適だが、後席の足元空間と荷室は狭く、この欠点もデミオと同様になる。
価格は現行CX-3に1.8Lクリーンディーゼルエンジンを搭載した「XD・Lパッケージ(2WD)」が、改良後で283万6080円だ。
デミオ「XDツーリング Lパッケージ(2WD)」の207万3600円に比べると、装備の違いを補正してもCX-3が53万円高い。
また、上級車のCX-5「XD・Lパッケージ(2WD)」は329万9400円だ。差額の46万3320円で、CX-5はボディが拡大され、エンジンは2.2Lのディーゼルエンジンになる。
エンジンと装備の違いが少なくとも26万円に相当するから、ボディの差額は実質20万円程度だ。CX-5と比べても、CX-3は割高だとわかる。
そこでCX-3は発売から2年少々を経た2017年6月に、2Lのガソリンエンジンを追加。アクセラはかつて2Lのガソリンを廃止して、同じ価格で1.5Lクリーンディーゼルを設定した経緯がある。
つまり、アクセラでは両エンジンは同額だが、CX-3は2Lガソリンを1.8Lクリーンディーゼルに比べて27~30万円安くしている。
開発者は「販売のテコ入れのためにガソリンエンジン車を安くした」というが、前述のようにCX-3のディーゼル車は割高だ。
ガソリンと同じく30万円安くすれば、デミオとの差額は20万円に縮まり、CX-5との価格差は拡大して、CX-3の価格における位置付けが最適化される。CX-3のクリーンディーゼルはいまだに割高で、売れ行きも伸び悩む。
スカイラインは400万円以下に抑えたい
かつての日産スカイラインは、超絶的な人気車だった。
“ケンメリ”の愛称で親しまれた4代目は、発売翌年の1973年に、1か月の平均登録台数が1万3133台に達した。
現行型は2017年の平均で243台だったから、45年前のスカイラインは今の54倍売れていた。
2017年に小型/普通車の販売1位になったトヨタ プリウスは、1か月平均が1万3409台、日産ノートは1万1575台だったことからも、スカイラインが物凄い人気車だったことがわかる。
売れ行きが最盛期の54分の1に減った現行スカイラインは、フロントグリルに海外で展開するインフィニティのエンブレムを掲げる。もはや日本の日産車であることを拒絶して、売る気がないともいえるが、価格はもう少し割安に抑えたい。
スカイライン「200GT-t」は、2Lターボエンジンを搭載して416万4480円だ。歩行者を検知できないミリ波レーダー方式の緊急自動ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグ、カーナビ、18インチアルミホイールなどを標準装着するが、価格は高めになる。
マツダ アテンザの2.2Lディーゼル車「XD・プロアクティブ」は336万9600円だから、スカイライン200GT-tも360万円前後になると購入しやすい印象になるだろう。
オプションを加えても、常識的な値引き額を差し引けば、諸費用を含めて400万円以内に収まるからだ。
ちなみにカーナビを含めて360万円/諸費用を加えて400万円以下という価格帯には、日産 エルグランド、トヨタ アルファード&ヴェルファイアといった高価格車の売れ筋グレードが並ぶ。スカイラインもここに収めたい。
シビックはライバル車比で割高感伴う
セダンと同様、ミドルサイズハッチバックも、競争の穏やかなカテゴリーだ。3ナンバー車になることもあり、コンパクトカーに比べて売れ行きが鈍く、価格は高まりやすい。
特にホンダ シビックのハッチバックは、国内生産のセダンと違って英国製の輸入車で、1.5Lターボエンジンを搭載して280万440円になる。
1.5Lターボの動力性能は、自然吸気のノーマルエンジンに換算すると2.2~2.4Lと同等だ。装備は緊急自動ブレーキを作動できるホンダセンシング、LEDヘッドランプ、18インチアルミホイールなどを標準装着するが、ライバル車に比べると割高感が伴う。
アクセラスポーツの1.5Lクリーンディーゼルターボを搭載する「15 XDプロアクティブ」は、スマートブレーキサポートやレーダークルーズコントロール、18インチアルミホイールなどをオプション装着しても約254万円に収まる。
シビックの価格は中途半端で、割高に思えてしまう。
エクリプスクロスは値下げが人気SUV対抗の鍵
エクリプスクロスの価格を日産 エクストレイルと比べると、おおむねバランスが取れる。しかし、エクリプスクロスの全長は4405mmと短く、トヨタ C-HR(全長は4360mm)と同程度。そう考えると少し割高になる。
エクリプスクロスの「4WD・G」の価格は292万2480円だ。これに相当するC-HRは1.2Lターボの「4WD・SーT・LEDパッケージ」で、価格は254万400円に収まる。
エクリプスクロスのエンジンは1.5Lターボで、動力性能は2.4Lのノーマルエンジンと同等だ。
C-HRの1.2Lターボは1.8L並みだから、エクリプスクロスが高くて当然ともいえるが、割安とはいい難い。
売れ筋の「4WD・G」を23万円ぼど値下げして269万円にすると、C-HRに対抗できて、エクストレイルやスバルフォレスターと比べた時の買い得感も強まる。
ロードスターを若者に訴求するなら「もう少し安く」
現行ロードスターは、ソフトトップのエンジン排気量を先代型の2Lから1.5Lに縮小した。しかし、機能や装備と価格のバランスを先代型と比較すると、むしろ値上げされている。
ビルシュタイン製ショックアブソーバーなどを装着した「RS」は325万6200円だ。装備の違いはあるが、先代RSに比べて50万円高い。トヨタ 86「GTリミテッド」の318万3840円(6速MT)とほぼ同額になる。
しかし86とは性能の差が大きく、単純に最高出力で見ると、ロードスターは132馬力、86は207馬力(6速MT)だ。
またロードスターでは、価格が最も安いソフトトップの「S」でも255万4200円になる。もう少し安くしないと、若年層の車好きを増やすことはできない。
◆ ◆ ◆
本稿で紹介したCX-3やシビック、エクリプスクロス等のデビュー(改良)時、概ね高い評価を伝えるメディアが目立ったのは、まさに「モノは良い」からだろう。ハード面を評価すれば、これらのモデルは良い車だ。
ただし、それは適切な値付けあってのこと。冒頭で渡辺氏が指摘するように、海外を主戦場とする車種の価格は、国内の事情で決められない事情も理解できるが、実力ある国産車だからこそ、日本のユーザーに寄り添った今後の値段設定に期待したい。
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