技術力が光るPHEVの調律 BMW 2シリーズ・アクティブツアラー 225eへ試乗 好感触な246ps

最高総合246psのプラグイン・ハイブリッド

2代目へ生まれ変わった新型2シリーズ・アクティブツアラーへは、既に2022年の春に試乗している。今回ご紹介するのは、そのプラグイン・ハイブリッド（PHEV）版となる。

前回の試乗で、2シリーズ・アクティブツアラーの好感触ぶりは確かめている。運転に惹き込まれるようなドライバーズカーではないものの、前輪駆動で背の高い実用性に長けたファミリー・ハッチバックといえる。

古くからのBMWファンの気持ちには、そぐわないかもしれない。それでも全長4386mm、全幅1824mm、全高1576mmというボディサイズに、家族持ちがうれしいゆとりある車内空間を実現している。英国でも販売は好調だ。

この225e xドライブの場合は、リアアクスル側に109psの駆動用モーターを搭載。EVモード時は14.2kWhの駆動用バッテリーによる電力で、最長90kmをエンジンへ頼らず走行できる。この距離は、先代の同等モデルで主張されていた51.5kmを大幅に超えている。

駆動用バッテリーは、最大7.4kWで充電が可能。こちらも先代の3.7kWから2倍へ増えており、英国の家庭用充電器なら2時間半で満充電にできる。

フロントに搭載されるのは、1.5Lの3気筒ガソリンターボ・エンジン。7速デュアルクラッチATを介して、前輪を駆動する。この最高出力は137psがうたわれており、駆動用モーターを組み合わせたシステム総合での最高出力は246psある。

BMWの技術力が光るドライブトレインの調律

モーターとエンジンが組み合わされる複雑なPHEVだが、使い勝手を左右する要素の1つがその調律具合。225eでは、BMWの技術力がキラリと光る。

日常的な環境で運転している限り、3気筒エンジンが低い回転域からパワーを高めるまでの間、駆動用モーターがトルクをアシスト。追い越しなどの全力ダッシュ時にも、明確に効果を体験できる。

たとえ駆動用バッテリーの残量が空になっても、システムは積極的にEVモードで走ろうと務めてくれる。メカニズムが複雑に働いていても至って走りはスムーズで、ドライバーがそれを感知することは殆どない。

ガソリンエンジン自体も非常に静かで、市街地を走っていると始動しても気付かないほど。効率的でもあり、駆動用バッテリーの残量がほぼない状態でも、燃費は18.0km/Lを超える時すらあった。

巧妙なPHEVを搭載しつつ、2シリーズ・アクティブツアラー本来の強みは変わらず。駆動用バッテリーなどが追加され荷室は多少狭められ、容量は415Lから380Lになるが、それ以外の車内空間への影響はない。

フロントシート側はゆとりの空間で、前後とも大きく開くドアで乗り降りしやすい。ちなみに、パワー・テールゲートは標準装備される。

車内はBMWとしては明るく開放的。反面、ドライバーを包み込むような雰囲気とはいえない。センターコンソールは高い位置に浮いたように設えられ、その下には大きな小物入れ用トレイがある。ダッシュボードから離れているため、横方向の広がり感もある。

思慮深く穏やかな前輪駆動ファミリーハッチ

ただし、iドライブ・インフォテインメント・システム自体の仕上がりは褒められるものの、エアコンの操作パネルなどは用意されない。12.25インチのタッチモニターへ、インターフェイスが集約されている点は惜しい。

操作性に優れる、ロータリー・コントローラーは装備されない。少なくともマルチファンクション・ステアリングホイール上には、実際に押せる物理スイッチが残っていて、手元での操作はしやすい。便利なショートカットキーもあるけれど。

運転した印象も、このクラスのモデルとしては優秀。伝統のBMWらしい、意欲的な走りを求めなければ。

乗り心地は良好で、風切り音やロードノイズなどはしっかり抑えられている。2シリーズ・アクティブツアラーは高さのあるプロポーションだが、コーナーでの姿勢制御には優れ、ステアリングホイールの反応も滑らかだ。

高めの速度域で急いでも、至って安定して走ってくれる。深い水たまりを通過したり、強い横風を受けても不安感はなかった。BMWだからといって、これにはダイナミックな刺激を求めないで欲しい。

2シリーズのクーペとは異なり、アクティブツアラーはあくまでも思慮深く穏やかな前輪駆動のファミリー・ハッチバックだ。その好感度は、PHEVの225e xドライブでも変わらない。

BMW 2シリーズ・アクティブツアラー 225e xドライブ Mスポーツ（英国仕様）のスペック

英国価格：3万9590ポンド（約657万円）
全長：4386mm
全幅：1824mm
全高：1576mm
最高速度：194km/h
0-100km/h加速：6.7秒
燃費：166.7km/L
CO2排出量：15g/km
車両重量：1825kg
パワートレイン：直列3気筒1499ccターボチャージャー＋電気モーター
使用燃料：ガソリン
最高出力：246ps
最大トルク：48.5kg-m
ギアボックス：7速デュアルクラッチ・オートマティック

Comments

調律とか言っても、エンジンが前輪、後輪がモーターの二個一じゃん。日本のPHEVみたいな４輪の統合制御はできないのね。電池がなくなったら２００kgのオモリを抱えた鈍重なＦＦになってしまう。雪道等のバランスも危険なのでは？

調律とか言っても、エンジンが前輪、後輪がモーターの二個一じゃん。日本のPHEVみたいな４輪の統合制御はできないのね。電池がなくなったら２００kgのオモリを抱えた鈍重なＦＦになってしまう。雪道等のバランスも危険なのでは？