最新の人気車を見ると、トヨタ アルファードを筆頭に、大きなグリルで迫力を重視したクルマが多い。その一方で、親しみが湧く優しめのデザインは、ホンダ フィットを筆頭に、販売面で伸び悩んでいる印象がある。
実際には、フィットはそれほど苦戦しているわけではない。販売台数でヤリスに大きく水を開けられているように見えるのは、ヤリスの台数にヤリスクロスが含まれているからで、ハッチバックのヤリスとの対比なら僅差……と思っていたら、2021年に入ってフィットの販売台数が大きく落ち、差が広がっている。どうしたフィット!?
日本のミニバン技術は世界一!! Vクラスになくてアルファードにあるものとは
文/清水草一 写真/編集部、FORD、AUDI
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事前予想と真逆だったフィットとヤリスの売れ行き
フィットは、「癒しの柴犬」のような親しみがある優しいデザインになっている。2021年2月の販売台数をみてみると、フィットが5,782台、一方ヤリスは20,559台と大差がついている
私を含め周囲では、ヤリス対フィットに関しては、「走りや燃費ならヤリスだけど、内外装や居住性なら断然フィット」というのが結論だ。一般ユーザーにはフィットのほうがウケるはず! と思っていた。ところが現実は逆だった。
ヤリスのデザインには、強烈な個性と毒がある。これを私は「毒虫顔」と呼んでいるが、癒しの柴犬よりも毒虫が売れているのである。
私が最も衝撃を受けたのは、60代の姉夫婦が、昨年、「クラウンからヤリスに買い替えた」と聞いた時だった。
典型的なクルマ無関心派である姉夫婦が、まさかあの毒虫顔のヤリスを買うとは! 私は内心激しい衝撃を受けた。
姉「ディーラーの人に、2年後には(クラウンの)下取りがゼロになっちゃいますよって言われたから……」
それを聞いて、もはや「なぜヤリスにしたの?」と聞く元気も湧かなかった。たぶん、なんでもいいから小さいクルマにしたかったのだろう。
ヤリスは、強烈かつ個性的なデザインになっている。2020年2月に登場して以降、販売好調。
そして、トヨタの新しい小型車だからということで、自動的にヤリスに決めたのだろう。ヤリスを見て、「このクルマは顔がイヤ!」みたいな思いは一切抱かずに。
一般ユーザーは、もはや強烈な顔に慣れ切っていて、抵抗がないのである。
ではなぜ、強烈な顔に慣れたのか。
それはもう、街行くクルマの多くが、強烈な顔になったからである。日本のユーザーの大多数を占めるクルマ無関心派は、自分だけが目立つことは嫌うが、みんなが強烈なら赤信号も怖くない。
かつて三菱 iは、自動車メディア絶賛にもかかわらず、販売不振に喘いだ。あの当時は、「田舎じゃこんな目立つクルマに乗れないよ」と言われたものだが、その状況は変わった。なぜなら、みんな目立つクルマになったから!
ではなぜ、みんな目立つクルマになったのだろう。
オラオラ顔が流行する理由として考えられる背景は?
要因はふたつある。第一に、ヤンキー需要の相対的な増大がある。
日本でクルマ離れが言われて久しい。もはやクルマを最初の車検ごとに買い替えるような風習はまったく見られなくなくなった。多くのユーザーが、1台のクルマを大事に長く乗るようになり、「もっといいクルマに乗りたい」という上昇志向もなくなった。
が、ヤンキーは違う。もっと目立つ、もっといいクルマに乗りたいと思っている。彼らは相対的にクルマ消費に積極的である。
オラオラ顔の代表モデル アルファードは、コロナ禍のなか、2020年年間販売台数 90,748台と、販売が好調である
彼らの思いにズバリ応えたのが、アルファード/ヴェエルファイアだ。正確には、先代ヴェルファイアと現行アルファードである。
現行アルファードが登場した時、ハイエース等に乗る職人さんからの視線が猛烈に熱かった。それはもう、食いつかんばかりだった。クルマ好きからはデザインを全否定されたが、結果的にアルファードは大ヒット。ヤンキー系御用達どころか、セレブまでこぞって乗るようになり、大増殖した。
アルファードがそこらじゅうに走っていれば、どんなオラオラ顔も控え目に見える。すでにオラオラ顔は全ミニバン及び全軽ハイトワゴンに波及しており、慣れは全国民に広まっている。
あおり運転問題もオラオラ顔の追い風になった。優しそうなクルマに乗っていると、何をされるかわからない。主婦層までもが――というより、主婦層があえて「なるべく強そうな顔つきのクルマに乗りたい」と思うようになった。恐るべき大転換である。
世界的にも押し出しの強いデザインが潮流に
欧米ではオラオラ顔のデザインがスタンダードになっている。米国で最も売れているクルマであるフォードF150も厳ついデザインになっている
もうひとつの要因は、自動車デザインのグローバル化である。
欧米では、デザインで目立つことは決して悪ではない。特に北米は、大地がケタはずれに広いこともあって、昔からピックアップトラックを中心にオラオラ顔がスタンダードだった。
欧州には、「周囲を威嚇するデザインは好ましくない」という良識があったが、アウディのシングルフレームグリルのヒットでその流れが徐々に変化。こちらも周囲を適度に威嚇するのがアタリマエになった。
欧州ではオラオラ顔が好まれていなかったが、アウディのシングルフレームグリルのヒットにより、厳ついデザインがスタンダードになった
海外で売れるクルマを作るためには、日本車もデザインを攻撃的かつ個性的にする必要がある。
バブル崩壊以来、国内需要は年500万台前後で横ばいから低落傾向を示す一方、海外需要は増大したため、日本車もグローバルモデルが多数を占めるようになり、攻撃的なデザインが主流になったのである。
最近私は、中古のルノー トゥインゴを買ったのだが、買って早々、首都高で良識的な車間距離で走っていたところ、パッソ(たぶん営業車)に延々とアオられてビックリした。
トゥインゴは、欧州現行モデルの中では、指折りに優しくてかわいらしいデザインだが、欧州での販売は思わしくなく、2020年のフランス国内での販売ランキングは8位にとどまっている。1位はルノークリオ(ルーテシア)、2位はプジョー208。今どきオラオラとも言えないが、ごく普通に攻撃的な顔つきだ。
少なくとも今、優しくて親しみやすい自動車デザインは、全世界的にウケないようだ。
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みんなのコメント
ホンダは
素晴らしいデザインを生み出す事が出来なかっただけ