911のハードコアモデル 5台を厳選
1963年9月、世界で最も有名なスポーツカーが誕生した。ポルシェ911だ。当初は901という名で発表されたが、翌1964年に911として発売された。
【画像】灼熱砂漠を走るスポーツカー【ポルシェ911ダカールを写真でじっくり見る】 全33枚
それから60年の間に何度も世代交代が行われたが、創業者の孫であるフェルディナンド・アレクサンダー “ブッツィ” ポルシェ(1935-2012)によって描かれたベーシックなフォルムと、リアに搭載されたフラット6エンジンは今も変わらず受け継がれている。
古今東西、数多くのドライバーのハートを射抜いてきた911だが、「過激」と呼ぶにふさわしいモデルも数多く登場している。今回はその中から、特にハードコアな5台を厳選した。もちろん、他にも候補がたくさんあることは承知しているが、それらについては別の記事(後日投稿予定)で紹介したい。
取り上げたのはいずれも公道走行可能なモデルで、レーシングカーやラリーカーは含めていない。
ポルシェ911カレラRS 2.7(1973年)
1964年に発売された初代911は、2.0Lのフラット6エンジンを搭載している。その後、何度か改良を経て1969年に2.2L、1971年に2.4L、そして1973年には2.7Lに拡大され、カレラRS 2.7というモデルが登場する。最高出力210ps、車重1000kg以下(1964年モデルより軽い)のカレラRS 2.7は、それまでの911で最高のパフォーマンスを発揮した。
外観は従来モデルとほとんど変わらないが、大型のリアスポイラーが特徴的だ。ポルシェ社内ではこれを「ダックテール」と呼んでいたが、この名称はすぐに世界中に広まり、現在に至る。カレラRSの現在の価値は驚異的で、例えば英国では45万ポンド(約8190万円)で売りに出されている。
ポルシェ911ターボ(1975年)
911に初めてターボチャージャーを搭載したモデルが1974年のパリ・モーターショーで発表され、翌1975年に発売された。ほとんどの市場では911ターボとして販売されたが、北米では930として知られている。
排気量は3.0Lに拡大され、最高出力は260psと初代911の約2倍に。さらに2年後、排気量が3.3Lに拡大され、最高出力300psに達した。このビッグパワーゆえに、ターボがスプールアップすると一気に加速するため、特にウェットコンディション(雨天)での扱いには注意が必要だ。
ポルシェ911カレラRS 3.8(1993年)
964世代の911で3.6L以上のエンジンを搭載したモデルはほとんどない。その例外として、ボアがわずかに大きく、3764ccのフラット6が搭載されたカレラRS 3.8が存在する。わずか55台しか製造されなかったが、これにはRSR 3.8は含まれていない。
カレラRS 3.8は2023年公開の映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』にも登場している。撮影には5台が使用されたが、ポルシェは希少なカレラRS 3.8にダメージが及ばないよう、レプリカを提供した。
ポルシェ911 GT1シュトラッセンバージョン(1997年)
GT1とはスポーツカーレースのクラスであり、911 GT1はこれに参戦するために作られたモデルだが、標準の911との共通点は名称と少数のコンポーネントにとどまる。完全にサーキット用に設計されたものの、レースの規定により公道走行可能なバリエーションも販売しなければならず、そこで登場したのがシュトラッセンバージョンだ。
シュトラッセンバージョン(ストリートバージョン、公道版の意)は若干のデチューンが施され、公道走行用にさまざまな装備を追加しているが、それでも際立った存在であることは間違いない。また、市販の911としては初めて水冷エンジンを搭載したモデルであり、またエンジンがリアアクスル前方に搭載された唯一の911でもある。競技用に製造された911 GT1のうち、少なくとも1台が公道用に改造されているため、シュトラッセンバージョンではないにもかかわらず、なんと公道で使用することができる。
ポルシェ911ダカール(2022年)
直進加速性能を除くほとんどすべての面で、911ダカールはこれまでで最も極端な公道モデルと言える。その車名は、ポルシェが1984年のダカール・ラリーで、当時の911を大幅に改良した953を駆って優勝したことに由来する。
最高速度は240km/hに過ぎないが、車高が高く(しかも可変)、アンダーボディプロテクションやトランスミッションモードが充実しているため、本格的なオフローダーでもある。ラリーと911の歴史に則った由緒正しきモデルであり、通常の911が目にすることのないような過酷なコンディションでも優れた性能を発揮する。
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