■世界に1台の「40×70」誕生!
ランドクルーザーを開発・生産するトヨタ車体がプロデュースする「ランクルBASE」は、東京オートサロン2024でユニークなランドクルーザーを出展しました。
【画像】なんだこれは… トヨタが手掛ける「謎のランクル」 画像を見る!(31枚)
ランドクルーザーはトヨタが世界に誇る本格オフロード車です。
初代モデルは1951年に警察予備隊(現在の陸上自衛隊)への納入を目指して開発され、結局は三菱ジープに敗れたものの、民間向けのみならず警察車両や消防車などとして1953年より本格的な生産が始まりました。
その72年間の歴史の中でランドクルーザーは世界中の過酷な環境でその強靭さと信頼性が証明され続けており、現在は2021年に販売開始された「ランドクルーザー300」が最新モデルとなります。
また、より乗用領域に舵を切ったライトデューティーモデル「ランドクルーザーワゴン」を1984年に販売。
1990年には「ランドクルーザープラド」と改称し、「本家」ランドクルーザーとともに大きな人気を誇る存在となりました。
今まで「プラド」はベースとなるランドクルーザーのフルモデルチェンジと同等のタイミングで1996年、2002年、2009年に次の世代へとバトンを渡してきました。
そして2023年に新たなモデル「ランドクルーザー250」が実質的な後継モデルとして登場しています。
ランドクルーザーは世代を重ねるごとに進化していきましたが、一方で古くからあるモデルも依然として高い人気を誇ります。
初登場が1984年の「ランドクルーザー70」はいまでも生産されており、2023年には3度目となる日本向け販売の復活が発表、順次納車されています。
そんな高いカルト的人気を誇るランドクルーザーのオールドモデルをもっと乗りやすくするべく、ランドクルーザーの生産を担当するトヨタ車体が立ち上がりました。
トヨタ車体が出展した黄色いランドクルーザーは、見た目は1960年登場のランドクルーザー 40ですが、実はベースとなるシャシは1984年に登場したランドクルーザー70となっており、「”70” のシャシに “40” のボディを載せている形」です。
「40×70」は東京オートサロン2023でも展示されましたが、その時はあくまでプロトタイプとしての出展でした。
2台は世代こそ違いますが、どちらもショートボディゆえ全長がそこまで大きく異なることはなく意外とすんなりと「“70” のシャシに “40” のボディが搭載」できました。
ですが、それでもシャシフレーム側の細かな位置合わせはピッタリといかず、ラジエータのサポート部分なども若干ずれていました。(2023年の40×70は一時的にラジエータを外して展示)
そのため、東京オートサロン2023では「70シャシに40ボディを単に載せただけ」の状態で出展し、かろうじて動かすことができましたがとてもじゃないけどハードな走行ができる状態ではありませんでした。
■東京オートサロン2024では劇的進化!ついにナンバー取得
そんな特別なランドクルーザーが、東京オートサロン2024でナンバープレートもついて劇的な進化を遂げました。
ランクルBASEの担当者に「どこがどのように変わったのか」を伺いました。
―― ついにナンバーがついたのですね。
2023年は古いクルマ(ランクル40)でも新しいシャシ(ランクル70)をつけて「走ってみたらどうなる?」というコンセプトで単に1972年製のランクル40と2002年製(出展車は2014年再販時の車両)の70を合体させただけでした。
昨年、ブースを訪れた皆様に約束した通り、ナンバーをつけるというお約束が果たせました。
―― ナンバーはいつついたのですか。
実はギリギリで。2023年12月の下旬でした。
―― 2023昨年の仕様からどのように進化しましたか。
当然ですがナンバーを取るということは、ちゃんと動く、走れるようにしなくてはいけません。
また40が古すぎて法規要件がミートしてない箇所もたくさんあったのでいろいろな改良を施しました。
ナンバー取得(保安基準適合)に向けて、当局(運輸支局)と相談しながら作業を行いましたが、当局からは「走る、止まるなどの操作系は全部70を使ってください」との指示がありました。
2023年の車両はペダル関係、ステアリングなどそのまま40のものを使っており、ハンドルを切って動かすことはできましたが、ランクルのオフロード走破性能には程遠い状態でした。
なお、主な変更部分は以下となります。
・70のベアシャシーは40よりも長いため、40のボディを70に乗せようとすると長さが足りません。そこで、フロント部分を165mm伸ばしています。最高レベルの技術を持った匠の方が「手たたき」で綺麗に仕上げてもらいました。もちろん外から見ても全く分かりません。
・ダッシュパネルやエンジンルームと室内を分けるパネルも元の40から改造しています。
・フロントガラスは合わせガラスから強化ガラスに変更
・天井や内装の材料も難燃性のものに変えました。当時の材料を調べる上で部品メーカーに聞いても、当時はそもそも難燃性の試験もやっておらず、難燃性かどうかもわからないということでしたのでこちらで難燃性の部品を購入して燃焼試験をやってデータを作りました。ステッチ部分などはできるだけオリジナルの雰囲気を残しながら作り直しています。
・シートベルトにはリトラクター(巻き取り装置)をつけています。この部分は昨年もありましたが、強度的にはほとんど計算ができていなかったので強度計算をしたうえで、ブラケットなども補強しています。
・電圧に関しても70は12Vですが40は24Vなのでそのあたりの修正も行っています。
・ペダル類も70のシャシーに合わせるため作り直しています。このほかにもありますが主なところはこんな感じです。
―― かなりの時間と手間、そして費用が掛かっていると思いますがこの車を「40×70」として販売するお考えはありますか。
70のベアシャシは現在も生産していますが、40自体の入手が価格高騰もあり相当困難な状況となっています。現実的には販売ベースにのせることは難しいでしょう。
ですが、40×70にナンバーをつけるにあたってこの1年間やってみてすごく勉強になりました。
パーツをどう見つけてくるか?法規適合のための対応や国内のルートづくりなど。
トヨタ車体としてできることやるべきことなどもわかってきました。
※ ※ ※
現時点での市販はかなり難しいようですが、将来的にコンプリートカーとして販売される可能性もゼロではなさそうです。
数年後のオートサロンではコンプリートカーとして市販されていることを期待したいです。
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みんなのコメント
赤い奴なら、大佐なんだけど。