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モデル3に実用性をプラス テスラ・モデルY ロングレンジへ試乗 航続532km

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モデル3に実用性をプラス テスラ・モデルY ロングレンジへ試乗 航続532km

モデル3がベースのクロスオーバー

すでに北米市場では、2020年から販売されていたテスラ・モデルY。2年ほど遅れて、英国市場へ右ハンドル車の導入が始まった。日本にも、首を長くして待つファンがいらっしゃるだろう。

【画像】テスラ・モデルY 欧州で競合する純EVクロスオーバーと比較 トヨタbZ4Xも 全125枚

モデルYは、4ドアサルーンのモデル3をベースとした、コンパクト・クロスオーバー。優れた実用性を得ているぶん、価格も若干高めに設定されている。

英国のスターティング・プライスは、5万4990ポンド(約852万円)から。今回試乗したロングレンジの場合、6万4990ポンド(約1007万円)となっている。

駆動用バッテリーもモデル3と同じもので、容量は75kWhだと考えられる。ちなみに、テスラは公式には容量を発表していない。駆動用モーターは前後に1基つづ搭載され、システム合計で440psと58.5kg-mを発揮する。

間違いなくパワフルといえ、0-100km/h加速は4.8秒でこなす。開発中のトヨタbZ4X AWDの場合は、6.9秒だ。

純EVらしく、パワーデリバリーは滑らかで即時的。このサイズのクロスオーバーとしては、顔がひきつるほど。四輪駆動だからトラクションに優れる一方で、コーナリングも上々。モデルYの長所の1つといって良い。

車重は2tを超えるものの、とてもスムーズにヒタヒタとカーブを抜けていく。ステアリングホイールへ伝わる情報量は少ないものの、軽めのコンフォート・モードを指定していると特に、積極的に操ろうという自信が湧いてくる。

広くクリーンな車内 気になる硬い乗り心地

もう1つ、モデルYのストロングポイントが実用性。4ドアサルーンのモデル3より全高は181mm高く、全長は50mm長い。車内空間もそのぶん広げられ、リアシート側は特にゆとりを感じる。パノラミック・グラスルーフが標準装備で、開放的でもある。

荷室容量は、リアシートの後ろ側で854Lと大きい。背もたれを倒すと、2100Lという巨大な空間を生み出せる。さらに、フロントのボンネット下には117Lの容量の「フランク」がある。

クルマとしてのパッケージングには優れる反面、気になったのが乗り心地。標準サイズだという19インチのホイールを試乗車は履いていたが、不快なほどではないものの、明らかに硬い印象が拭えなかった。20インチなら、より顕著だろう。

インテリアは、テスラらしく驚くほどクリーンで落ち着いている。メーターパネルがなく、物理的なスイッチ類は、ステアリングホイールのスポーク部分とステアリングコラム程度。ダッシュボードには大画面が1枚のみで、不自然に感じる人もいるかもしれない。

ドアの開閉と、パワーウインドウにはスイッチがある。コラムから伸びる2本のバーには、ウインカーとフロントガラスのウオッシャー、クルーズコントロール、オートパイロットなどの機能が割り振られている。

純EVクロスオーバーの有力な選択肢

テスラに初めて乗ると、ほぼすべての機能や操作が15インチのタッチモニターへ集約されることに感心するか、戸惑うはず。ラジオとエアコンだけでなく、スピードメーターやワイパーまで。

タッチモニター自体の表示はとてもクリアで、操作性は良い。だが雨天時に対向車からフロントガラスへ水が盛大に飛んできた場合など、慌てないとも限らない。リアシート側からシートヒーターの温度や、エアコンの風量などを調整することもできない。

試乗車の助手席側の外部カメラは、映像が安定しなかった。おそらく、結露か何かだろう。

インフォテインメント・システムのメニュー構造などは、全般的にわかりやすい。グーグルが開発したナビや、それと連動した急速充電器のスーパーチャージャー・ネットワークの検索、360度カメラなどは、素晴らしいと思った。

モノとしての製造品質は、従来どおり統一感が若干足りない。特にインテリアの一部は、タッチモニターでの印象と一致しない。バックミラーやサンバイザーは華奢な感じだし、ウインカーなど、コラムレバーを動かした時の手応えも改善できそうだ。

そうはいっても、テスラ・モデルYは純EVクロスオーバーのカテゴリーで、有力な選択肢に加えられる。乗り心地やインテリアの質感など、多少のマイナス点はあるものの、モデル3の品質に優れた実用性が加算されている。総合点は、決して低くない。

テスラ・モデルY ロングレンジ(英国仕様)のスペック

英国価格:6万4990ポンド(約1007万円)
全長:4751mm
全幅:1849mm
全高:1624mm
最高速度:217km/h
0-100km/h加速:4.8秒
航続距離:532km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2003kg
パワートレイン:AC誘導モーター(フロント)+AC同期モーター(リア)
バッテリー:75kWhリチウムイオン(予想)
最高出力:440ps(システム総合)
最大トルク:58.5kg-m(システム総合)
ギアボックス:−

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