2022年はミニバン豊作の年である。ノアにヴォクシー、さらにはステップワゴンなど、ミニバンブームを支えるヒットブランドたちが続々と新型に切り替わったのだ。内外装の質感アップに先進安全装備の充実など、かつては200万円もあれば買えたものが、今や400万円級の高級車に。
そして最大の注目ポイントがボディサイズにある。これまで彼らは5ナンバーサイズを死守していたが、新型モデルたちは軒並み3ナンバーに!! そう、5ナンバーミニバンはフリードやシエンタに譲り、レベルアップを果たしたワケだ。一体どうして!? そして5ナンバーにこだわり続けた意味ってなんだったの!?
ノアヴォクにステップワゴンが3ナンバーに!! 5ナンバーサイズを守ってきたのはなんだったの!?
文/片岡英明、写真/ベストカー編集部、HONDA、MITSUBISHI、TOYOTA
■初代ステップワゴンは超偉大!! 今のミニバンの基礎を作った功労車
1996年に登場した初代ホンダ ステップワゴン。現在のミニバンの礎となった歴史に残るモデルだ
日本の風土が生んだ多彩なファミリービークルが3列シートを採用するミニバンだ。
商用のワンボックスをルーツとするが、1990年代に乗用車ベースなってから独自の発展を遂げた。その引き金となったのは、ホンダが1996年5月にミドルクラスのミニバン市場に投入したステップワゴンである。
キュービックスタイルにFFレイアウトを組み合わせ、5ナンバーの小型車サイズのなかで最大のキャビンスペースを実現した。同じ時期にタウンエースノアが登場したが、FR方式だったこともあり、キャビンスペースではステップワゴンに差をつけられている。
初代ステップワゴンは、排気量2Lの4気筒エンジンを短いノーズのなかに収め、ボディサイズは全長4605mm×全幅1695mm×全高1845mmだ。FF方式の採用によりホイールベースは2800mmの足長であった。
■頑なに死守した5ナンバーサイズ! 税制で有利でもないのになぜ!?
すでに平成の時代になっていたから、排気量が2L以下なら全幅が1700mmを超えても自動車税は割増にならない。だがナンバー区分は5ナンバーではなく、3ナンバーに変えられている。昭和の時代、普通車に分類される3ナンバー車は高級車の証だった。この定説は、消費税に変わった平成の時代に覆されている。
しかし、ファミリーカーの多くは、消費税が導入されてからも小型車枠にこだわり続けた。3ナンバーはステイタスだが、やはり高級車というイメージが根強い。エンジンは同じ2Lでも、上司が乗るクルマは5ナンバー、部下が乗るミニバンは3ナンバーでは都合が悪いのだ。
この辺りの事情はメーカーの開発陣もよく知っている。だからカローラは少し前まで、頑なに5ナンバーボディにこだわり続けてきた。ミニバンも同じだ。ステップワゴンだけでなく、トヨタのノア/ヴォクシー、日産のセレナはモデルチェンジしても5ナンバーボディを死守した。
■駐車場問題も要因! ステップワゴンたちが5ナンバーを死守していたワケとは
2003年のマイナーチェンジを受けた2代目ホンダ ステップワゴンに設定された「スパーダ」
いち早くFF方式を採用して大成功したステップワゴンは、2代目以降も5ナンバーサイズの量販グレードを主役に据えた。
変化が出るのは2003年のマイナーチェンジだ。2.4Lエンジンを積み、専用フロントグリルやエアロフォルムバンパーなどを採用したスポーティな「スパーダ」を設定している。エンジンが大きいこともあり、3ナンバー車だ。そこで割り切り、プロテクターモールなどで全幅を30mm広げ、1725mmに拡大した。
2005年にデビューした3代目ステップワゴンも5ナンバーサイズで登場する。ただし、低床フロアをさらに追求したから全高は先代より75mmも低くなった。また、助手席側だけだったスライドドアを両側に設け、利便性を大きく向上させている。
話題をまいたのは、2代目の途中で登場したスパーダが整理されたことだ。だが、木目調パネルを張ったフローリングフロア採用のグレードを設定するなど、新しい試みも行った。2007年11月にスパーダを復活させている。だが、2.4Lエンジン搭載車でも第2世代は、標準タイプと同じ5ナンバーボディをまとった。
低全高はファミリー層に不人気だったので、2009年秋に登場した4代目は、全高を引き上げている。ボディをサイズアップしたが、全長、全幅ともに5ナンバー枠のギリギリのところに抑えた。全長は4690mm、全幅は1695mmだ。このサイズで最大級の広いキャビンと上級ミニバンを凌ぐ快適性を実現している。
5代目は15年春にベールを脱いだ。パワーユニットを一新し、初めてハイブリッド車とターボ車を投入した。また、売れ筋になったスパーダ系はバンパーを延ばして3ナンバー枠に踏み込んでいる。
だが、このときもエアロパーツ装着車以外の全幅は1695mmにとどめた。ちなみに、エクステリアでの注目ポイントは、バックドアを観音開きとした「わくわくゲート」の採用だ。
ライバルのノア/ヴォクシーとセレナも、標準ボディの全幅は5ナンバー枠にとどめ、限られたボディサイズの中で快適性と利便性を高めていった。子育てファミリーご用達となり、2家族世代にも好評なミニバンが5ナンバー枠にこだわるのは、駐車場が狭いからだ。
ちょっと設計の古い建売住宅の駐車場はほとんどが小型車サイズとなっている。後席がわはスライドドアと言っても、ワイドボディでは使いづらいのだ。また、平日は奥様が子どもり送り迎えや買い物などで運転することが多いから、ワイドボディだと大きさを持て余すと嘆くユーザーも少なくない。
■3ナンバーでも売上好調! 少しの拡大ならユーザーも問題なし!?
三菱 デリカD:5。ミニバンの中で初めて全幅1700mmを超えて3ナンバーとなった
唯一の例外は三菱のデリカだ。5代目にモデルチェンジしたときに全幅を1795mmまで広げている。だが、デリカD:5に追随するミドルクラスのミニバンはなかった。
この図式を変えたのが2022年1月に登場したノア/ヴォクシーである。プラットフォームを刷新し、パワーユニットも新しい。もっとも衝撃を与えたのはボディサイズだ。先代ではエアロ仕様は3ナンバーのワイドボディだったが、主力は全幅を1695mmにとどめていた。
だが、新型ノア/ヴォクシーは全車の全幅を1730mmまで広げている。ついに5ナンバー車を消滅させてしまったのだ。
ライバルを見ても分かるように、今のミドルクラスのミニバンの主流は1700mmをちょっと超えた3ナンバーのエアロ仕様である。ステップワゴンもエアロパーツを装着したスポーティ派のスパーダが売れ筋となっている。
だからモデルチェンジした新型ステップワゴンも1750mmの全幅で登場した。この戦略は当たったようで、今のところノア/ヴォクシー、ステップワゴンともに販売は好調だ。しかもステップワゴンは、フロントマスクが凛々しいカスタム系のスパーダがダントツ人気で、新設定のエアーを圧倒している。
全幅は広がっても、50mmくらいまでならドアミラーまでの長さは5ナンバー枠を守った先代と大差ない。また、タイヤの切れ角などを大きくできるから取り回し性などは逆によくなる。
5ナンバーボディのミニバンは、今後はフリードやシエンタなどのコンパクトサイズに限定されていくだろう。遠からずモデルチェンジするであろうセレナも、次期モデルは3ナンバーのワイドボディを採用すると思われる。
ミドルサイズのミニバンは、これから先、3ナンバーに踏み込んだワイドボディが主役になるだろう。時代は変わった。
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みんなのコメント
昭和脳ってマジでクソだわ