システム総合843psのプラグイン・ハイブリッド
筆者がロンドンの中心部を数時間運転した限り、メルセデス・ベンツのGクラスとは7台すれ違った。だが、メルセデスAMG GT 4ドアクーペの姿を目にすることはなかった。現在のリッチな英国人の嗜好を表す結果といえる。
【画像】間髪入れない怒涛のパワー メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 競合車と比較 全128枚
中古車市場を見ても、GT 4ドアクーペは数台しか売られていない。2018年に発表されたAMG独自のビッグ・サルーン、正確には5ドアハッチバックが、非常に珍しいことは間違いない。Gクラスも悪くないが、こちらも同じくらい魅力的だと筆者は思う。
英国に導入されているGT 4ドアクーペは、最近まで63 Sグレード1本だった。パワーが若干穏やかになる63も存在するが、強力なモデルを好む人が多いグレートブリテン島では販売されていない。
エンジンは4.0LのツインターボV8。最高出力は639psを誇り、英国価格は15万3755ポンド(約2475万円)に設定されている。
だが最近、17万7715ポンド(約2861万円)と更に高価な、63 S Eパフォーマンスがラインナップへ加わった。ボンネット内に収まるのは同じV8ツインターボだが、リアアクスル側に2速ATが組み合わされた203psの駆動用モーターが追加されている。
総合での最高出力は843psを誇る。流石に、5ドアハッチバックにこれ以上の馬力が欲しいと思うロンドンっ子はいないはず。メルセデスAMGでは、ハイパーカーのワンに次ぐパワフルさなのだから。
電気のみで走れる距離は12km 車重は2494kg
63 S Eパフォーマンスは、0-100km/h加速を2.9秒でこなす。最高速度は315km/hで、これは通常の63 Sと変わらない。主なライバルと呼べるのは、アウディRS7やBMW M5、ポルシェ・パナメーラなどになるが、群を抜いた能力といって構わないだろう。
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)で、リアの駆動用モーター上部には容量6.1kWh
の駆動用バッテリーが搭載されている。環境性能より走行性能を重視しており、電気のみで走行可能な距離は12kmしかない。燃費は12.7km/Lがうたわれる。
駆動用バッテリーの位置からご察しの通り、実用性には多少の犠牲が出ている。システムの影響で荷室フロアは持ち上げられており、従来の461Lから335Lへ荷室容量は削られている。もっとも、沢山の荷物を運びたいならGクラスを選ぶのだと思うけれど。
PHEV化に伴い、車重は63 Sの2205kgから2494kgへ300kg近くも増えている。この質量を受け止めるため、カーボンセラミック・ブレーキが標準装備される。
外観上の差別化は最小限。専用のアルミホイールと、テールエンドのエンブレムなどがわかりやすい違いとなるだろう。また、フロントバンパーのデザインも若干異なることがわかる。
間髪入れず怒涛のパワーが放出される
新しいパワートレインを得たGT 4ドアクーペだが、車内は2018年の雰囲気を残す。最新のメルセデス・ベンツのように、巨大なインフォテインメント用モニターは鎮座していない。
センターコンソールには実際に押せる物理スイッチが数多くあり、インフォテインメント・システム用のトラックパッドも残っている。改めて見ると、少々視覚的には賑やかかもしれない。
ステアリングホイールは、ダブルスポークの新デザインのものを獲得した。ドライブモードを選ぶロータリースイッチも備わる。複数あるモードには、PHEVらしくエレクトリック・モードも用意されている。
今回の試乗は、駆動用バッテリーが殆ど空の状態でスタートした。1時間ほど運転させていただいたが、残念ながら駆動用モーターだけでの印象は、充分に確かめられなかった。少なくとも、発進がシームレスだということはお伝えできる。
ケーブルをつないで充電しなくても、63 S Eパフォーマンスは減速時に回生ブレーキが効き、ある程度の充電がまかなわれる。そこで得た電気は、アクセルレスポンスを鋭くするために展開される。
実際、駆動用モーターのアシストは素晴らしい。シフトパドルでギアを落としたり、ターボブーストが高まるのを待つ必要はない。ツインターボで過給されるV8エンジンは、ターボラグが大きいわけではないが、間髪入れず怒涛のパワーが放出される。
アクセルペダルを緩めると、ゴロゴロ、パラパラと、アフターファイヤーのノイズも放たれる。そのさなか、駆動用モーターが単独で仕事をこなす場面もある。
流暢で惹き込まれるような感覚は僅かに薄い
乗り心地や操縦性も素晴らしい。市街地とカーブが続く郊外を両方こなせる、絶妙なブレンドとバランスにある。確かに、AMG仕様のCLSやEクラスとは別の水準の硬さがあるが、AMG独自のGT 4ドアクーペには妥当な設定といえるだろう。
ただし、しばらく運転してみて、最高の仕上がりにまでは届いていないな、という印象も伴った。V8ツインターボだけで走るGT 4ドアクーペ 63 Sは、以前の試乗テストでベストといえる高評価を得ている。
PHEV版の63 S Eパフォーマンスは、その時に感銘を受けた乗り心地や操縦性に迫れていない。流暢で惹き込まれるような感覚が、僅かに薄いように思う。
63 Sの方が明確に遅いわけでもないし、瞬間的に弾けるパワーは伴わないとしても、挙動はより自然で予想しやすかった。ドライバーズカーとして、同等以上の訴求力を備えている。
とはいえ、63 S Eパフォーマンスの動力性能はセンセーショナルなほど見事。荷室は限られるとしても、短距離ながら、電気だけで走れる能力も評価できる。
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)
英国価格:17万7715ポンド(約2861万円)
全長:5054mm
全幅:1871mm
全高:1455mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:12.7km/L
CO2排出量:180g/km
車両重量:2494kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:6.1kWh
最高出力:843ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:9速オートマティック
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みんなのコメント
少しだけ窓枠がくっついてくるんだよね。
ガラス下げた状態だとサッシュが三角だから尖って危険。
見た目も良くない。
窓全下げがクールなクーペなのに、昨今こう言う残念な車種増えたね。
まかりにもフラッグシップなんですから。
2023/4/12 12:33 違反報告
これCLSと同じでリアドア開けると
少しだけ窓枠がくっついてくるんだよね。
ガラス下げた状態だとサッシュが三角だから尖って危険。
見た目も良くない。
窓全下げがクールなクーペなのに、昨今こう言う残念な車種増えたね。
まかりにもフラッグシップなんですから。