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カワサキ Z650RS 試乗インプレ【回し切れる悦楽。令和版ザッパー】

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カワサキ Z650RS 試乗インプレ【回し切れる悦楽。令和版ザッパー】



’18年のデビュー以来、快進撃を続けているカワサキのZ900RS。その弟分として今年発売されたレトロスポーツがZ650RSだ。ベースとなっているのはスポーツネイキッドのZ650で、最小限の変更で往年のZらしい外観の構築に成功。その走りをじっくりとチェックした。

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●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン

’22 カワサキ Z650RS

’20年モデルでユーロ5対応となったカワサキのZ650。それをベースに誕生したのがこのZ650RSだ。最新のSugomiデザインから空冷Z時代を彷彿させるスタイリングへの変貌ぶりは見事であり、各部の質感も高い。カワサキケアが付帯することもあり、650ccの2気筒モデルながら車両価格は100万円を超えるが、この完璧な外観と質感を考えれば納得の範疇だろう。

―― 【KAWASAKI Z650RS】■全長2065 全高1115 軸距1405 シート高800(各mm) 車重188kg ■水冷4スト2気筒DOHC4バルブ 649cc 68ps/8000rpm 6.4kg-m/6700rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量12L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●色:緑 灰 ●価格:101万2000円

カワサキ Z650RS 試乗インプレ:基が傑作ミドルなので、よく走ってよく曲がる

まずはエンジンから。649ccの水冷並列2気筒はZ650から特に変更はなく、最高出力は68psを公称する。3000rpm以下では軽やかなビート感があり、6000rpmから上では180度位相クランクならではのシャープな伸び上がりが味わえる。

兄貴分のZ900RSのように、ライダーが置いていかれそうになるほどの強烈な加速感こそないが、代わりにスロットルを大きく開けられるという快感がある。トラコン非採用なので、試乗中に何度かリヤタイヤがツツツッとスライドしたが、忠実なレスポンスのおかけで恐怖感は少なめだ。

クラッチレバーの操作力は軽く、シフトフィーリングもスムーズ。存在感こそ薄めながらも、完成度の高さではミドルクラスで一、二を争うといってもいい。

続いてハンドリング。キャスターやトレール、前後のホイールトラベル量、タイヤ銘柄とサイズに至るまでZ650と共通であり、ディメンションで異なるのは軸距が5mm短いぐらいだ。それもあって、どんな操縦でも車体を傾けてさえしまえば曲がれるという安心感を、このZ650RSも受け継いでいる。

厳密には乗車姿勢がアップライトになっているので、特に峠道でペースを上げるとフロントへ荷重を掛けづらいと感じるが、気になったとすればその程度。前後サスは作動性が上質というわけではないが、しなやかなフレームと柔軟なタイヤがそれを補っており、全体的なバランスは優秀だ。

ブレーキについては、フロントは片押し式2ピストンキャリパーながらも強力で、下り勾配のきつい峠道でも不満なし。リヤもコントローラブルで、ABSの介入も適切だ。

[△] 燃料タンクは少なめ。早めの給油が吉かも

燃料タンク容量は、少ないことが指摘されているスズキ・カタナと同じ12L。今回の試乗では、250kmを過ぎたあたりで燃料計の最後の目盛りが点滅し始めた。この時点での残量は約2.7Lなので、点滅に気が付いたら早めに給油をしよう。

[こんな人におすすめ] 傑作車揃いのネオレトロ系で抜きん出た1台

ミドルクラスは世界的にも激戦区であり、そこで勝ち残ったモデルを基に作られたネオレトロ系が傑作車揃いなのも合点がいく。中でもZ650RSはスタイリングも含めて完成度が高く、今回の試乗が幸せだったことを告白しておこう。

カワサキ Z650RS 車両紹介

◆スタイリング

―― 【カワサキケア付帯によって価格は高めに】鋼管トレリスのメインフレームはZ650をベースにシートレールの角度を水平基調とし、単体重量は15→13.5kgに。標準装着タイヤはZ650と共通のダンロップロードスポーツ2だ。なお、ベースモデルのZ650や兄貴分のZ900RSらと大きく異なるのは、3年間の定期点検やオイル交換が無償となるカワサキケアが付帯することだ。

◆ライディングポジション

―― 【ライディングポジション】日本仕様のシート高は800mm。車体がスリムなこともあって足着き性は優秀だ。ハンドル位置は高めで、上半身はアップライトに。[身長175cm/体重62kg]

◆エンジン/マフラー

―― 180度位相クランクを採用した649cc水冷DOHC4バルブ並列2気筒エンジンは、68psの最高出力から6段ミッションの変速比、1次/2次減速比に至るまでZ650と共通であり、外観上の違いはサイレンサー程度だ。デュアルスロットルバルブを採用し、スロットル径はφ36mm。ライディングモードの切り替えやトラコンなどの電子デバイスはなし。アシスト&スリッパークラッチを採用。 [写真タップで拡大]

◆足まわり

―― 前後ホイールはZ650が5本スポークなのに対し、Z650RSは20本スポークを採用。さらにブレーキディスクはZ650のペタルタイプに対し、正円タイプとなっている。ニッシン製のキャリパー(フロント片押し式2ピストン、リヤシングルピストン)やφ41mm正立式フォーク、ホリゾンタルバックリンク式のリヤサスペンションなどは共通で、ホイールベースは5mm短い。 [写真タップで拡大]

◆主要装備

―― 丸型のLEDヘッドライトは上下2室とし、ポジションランプで全体が点灯しているような光り方を実現。LEDテールランプはフィラメント球のような点灯パターンで、レトロモダンな雰囲気を演出する。 [写真タップで拡大]

―― レトロな2眼メーターを採用した結果、Z650のライディオロジーは省略に。瞬間・平均燃費計/航続可能距離/エコインジケーターなどが表示可能だ。 [写真タップで拡大]

―― Z650よりもワイドかつ立ち上がりの大きなバーハンドルを採用。スイッチボックスは左側がZ650とは異なり、メーターの表示切り替えなどが手元で行えるのは便利だ。レバーは左右とも5段階の調整ダイヤルあり。 [写真タップで拡大]

―― 燃料タンク容量はZ650よりも3L少ない12Lなので、ツーリングの際には注意を。 [写真タップで拡大]

―― シートは欧州仕様より20mm低いものを採用し、純正アクセサリーでハイシートも用意する。シート下にはZ650と同様にETC2.0車載器を標準装備する。 [写真タップで拡大]

―― 【大人気のグリーンは立体エンブレムだ!】’76年登場のZ650を彷彿させるキャンディエメラルドグリーンは、タンクに立体エンブレムを採用。全て大文字のエンブレムも純正アクセサリーで用意。 [写真タップで拡大]

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