若返りを目指すクラシックカーの世界
クラシックカーという趣味は、世界中で楽しまれている奥深い世界だ。しかし若い世代にとっては、情熱を持っていたとしても、少々門戸を叩きにくい世界でもある。
<span>【画像】アンダー30クラスのコンクール・デレガンスの様子 BMCミニとBMW Z1 全55枚</span>
その傾向は、クルマのコンディションや経歴が重視される、コンクール・デレガンスで特に当てはまるといえる。運転免許を取って日の浅い人からすれば、老人クラブの1ジャンルに見えているかもしれない。
保守的な見られ方を変えようとする動きも、なくはない。だが、期待通りの成果が得られていないことは事実だ。
そんななかで英国では、2021年にアンダー30クラス(30歳以下限定)という枠で、コンクール・デレガンスが開催された。次世代の自動車エンスージァストのために創設したと、主催者も認めている。
これはロンドン南部、テムズ川沿いのハンプトンコート・パレスで毎年開かれる、コンクール・デレガンス・イベントの1つとして設けられたもの。様々なクルマがエントリーし、若いクラシックカー・ファンの発掘につながったようだ。
アンダー30クラスで総合優勝を掴んだのは、ピアーズ・トリベルヤン氏が大切にする1921年式ヴォグゾール30-90 Eタイプ・ツアラーというビンテージモデル。しかし、1995年のメルセデス・ベンツSL320など、モダンクラシックも数多く出展された。
クラシックカーとなると、ご高齢の方へ話を伺うことが多い。今回は、将来有望な参加者へのインタビューをご紹介させていただきたい。
シュタイアー・プフ500(1962年)
オーナー:ヘンリー・リスニー氏
来場者の多くがフィアット500と勘違いしていた、真っ赤な1台があった。「これは1962年式のシュタイアー・プフ500。フィアットではありません」。と、笑顔で説明してくれたのは、オーナーのヘンリー・リスニー氏。
「シュタイアー・プフ社は、フィアットから500の生産権を買取ったダイムラー社がオーナーでした。駆動系はオリジナルのフィアット500とは、まったく異なるんです」
「エンジンは直列2気筒ではなく、水平対向2気筒ユニットで、排気量は後期型で650ccあります。最高出力は30psほど。変速しやすくするシンクロメッシュ付きのZF社製4速MTが組まれていて、タッチも別物です」
ここまで状態の良いシュタイアー・プフ500も珍しいが、オーナーが30歳以下ということも珍しい。29歳のヘンリーは人生での優先事項として、このクルマを掲げている。
「自分が8歳の頃からシュタイアー・プフ・クラブのメンバーでした。ずっと欲しかったクルマなんです。非常にレアで、売りに出ることは殆どありません」
「数ヶ月前に開かれたロンドン・クラシックカー・ショーで、偶然これを発見。なんとかお金を工面して、手に入れたんですよ」
トライアンフ・スピットファイアMkIII(1969年)
オーナー:ジョージ・マクレガー氏
まだ20歳だという、トライアンフ・スピットファイアのオーナー、ジョージ・マクレガー氏。「以前は、おじいさんのクルマでした。25年前に買ったと聞いています」
「趣味として、知り合いの医者からレストア済みのクルマを購入したそうです。その人は離婚手続きの最中で、資産を少なくするため、実際以上に安い価格で買うことができたと話していました」
「医者の考えが正しかったのかはわかりませんが、クルマが良い後継者に渡ったとはいえます。買い戻す可能性もあったようですが」
結果として、マクレガー一家は掘り出し物のスピットファイアMkIIIのオーナーになった。医者との連絡はまだ続いているそうだが、今は孫のジョージが面倒を見ている。
ジョージが優先していることは、コンディションの維持。これからもマクレガー一家で乗り継げるよう、できる限りのことはしたいと話している。その医者が、クルマとの復縁を迫らなければ良いのだが。
BMW Z1(1989年)
オーナー:マックス・ティム氏
1980年から1999年に生産されたクルマのカテゴリーで優勝を掴んだのが、マックス・ティム氏がオーナーのBMW Z1。1989年式で、一家で大切にしている1台だという。
「BMW Z1は、父がデザインスケッチを見て購入を決めたそうです。今はわたしが受け継いでいます」。と、25歳のマックスが話す。
「このZ1は本格的な量産が始まる前の、プリプロダクション・モデル。80台製造されたうちの1台です。走行距離は2万8000kmくらい」
マックスの父は、このBMWをロンドンで乗っていたというが、現在はティムの実家がある、ドイツ・ベルリンにある。今回のアンダー30カテゴリーへの参加のために、英国へやってきたという。
「クルマはオリジナル状態で、レストアはしていません。手入れも行き届いていて、乗るのに躊躇したこともありませんよ」。珍しいロードスターのドアを下ろしながら、マックスが笑顔で答えてくれた。
ローバーP5B クーペ(1968年)
オーナー:リバーズ・ドノヴァン・グレワル氏
「自分にとって夢の英国ブランドは、ロールス・ロイスとベントレー。でも、母が乗っていたローバー75 エステートとの思い出の影響で、ローバーも小さい頃から好きでした」
そう笑顔で話すのは、まだ20歳のリバーズ・ドノヴァン・グレワル氏。ベスト・オブ・ブリティッシュ・カテゴリーで優勝を掴んだ。
「数年前に運転免許を取得し、最初に運転したのがローバーP6 3500Sでした。でも、伝説的なローバー社製のV8エンジンに、過去60年間で最もエレガントなボディが組み合わされたP5Bこそ、乗るべきクルマだと考えていたんです」
「内装の雰囲気は、ロールス・ロイスにも迫る良さがありますよ」。と満足気に話すリバーズだが、この3.5Lエンジンを積んだクーペを探し出すのに、かなりの時間を費やしている。しかも、思いがけない場所にあったようだ。
「中古車情報を数100台、2年間探し続け、イタリア北部のブレシアという町でレストアされたクーペを発見したんです。これまで見てきたなかで、ダントツの状態の良さでした。左ハンドル車は402台だけ。それにも強く惹かれましたね」
「今では日常的に乗っています。乗る度に好きだと思います。しばらく手放すことはないでしょう。究極のペアを作るため、P5Bのサルーンを買おうかとも思っています」
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
もともと、金持ちの道楽だからね。
税金が高いのどうのを言う層にゃ、所詮無理な趣味なんだよ。